戦争ごっこの誰かが撃たれ暑気つのる 青水無月サハラはかつて湿地帯 バングラデシュのダッカ想えば明早し 東京地震またもや不発極暑なり 大衆の原像とは何か書を曝す 実写版の進撃の巨人夏なかば 氷河期はこれで四度目冷奴 麦焼酎何度か生きて漂へる 大海に漕ぎ出すごとくラムネ飲む 走馬灯一度止まればままならず サングラス静かの海に漕ぎ出せり 残鶯の鏡のごとき虚空かな 百日紅耳を澄ませば風の音 白牡丹首打たれしはいつの世か 竹皮を脱ぐ一瞬を誇りをり 断酒会跳ねて胡瓜の湾曲す サザンテラスは鉄砲百合の咲くところ まだまだ白紙夕顔のいさぎよさ モロッキューまたも胡瓜の弾けをり ひとところ濁流となる大蚊遣 滅亡の記憶揺るがず透谷忌(5月16日)