春空や二十世紀の馬鹿げた死 まほろば 旧作
2010年代後半の現在、この国で信じられないことが起こっている。新世紀カラオケによる、これまで見たことも聞いたこともない《自己》表現の凄さが目立つ。テレビ東京(大阪)系の【THEカラオケバトル】、日本テレビ・読売系【全日本歌唱力選手権ー歌唱王】、TBS・毎日系【音楽チャンプ】・・などである。世紀が明け、AVEXの【EXILE】などのダンサブルやモー娘を発展的に継承し、新世紀のアイドル=人間像を示した【AKB48】とそのグループ、着うたの女王【西野カナ】・・などが私たちの前に提示されて来た。そこには人間の精神性の最も奥深いところに横たわる【うた】の復興が高らかに宣言されている。そして2010年代に入って、10~20歳代の若者を中心に、何と私たち20世紀世代が生まれ育った温床であった【昭和歌謡】が再びブームを呼んでいるという。まさに考えられないことである。このようなあり得ないことが発生している理由は、彼らにとって自分自身を最も至近距離で表現し、確かな生の充足感を手に入れる手段【肉声】がリアルタイムには成立しなかったことであろう。運良く、彼らの目の前には【カラオケ】という新しい定型的な表現手段が前世紀以来存在し続けていた。・・・《続く》
藤井舞乃空 6曲メドレー(小5~小6)
彼女は最も若く、最も深い自画像を《うた》に乗せて、この世界(カラオケ)に遊ぶ。私たちは、21世紀の虚空のどこかで、シンガー舞乃空と出遭った記憶の海に浸る。新しい自己表現の【型】を目の当たりにしている。