夏来るマルコポーロのごとく来る 大枯野別れの一本杉はどこだ 無法松の一生涅槃図に参入す さみだれや祝詞一行で事足りる 大祓詞の余白あをあらし 泣いた泣いたの荒野に裸木一本見ゆ ヘッドギアに大利根月夜流れだす マザーデー松島水族館の終幕 隣人の声なき声か梅雨に入る ビリギャルの青巨大化す聖五月
うつくしと歩を緩めゐる躑躅かな 駅までの徒歩二十五分つつじ燃ゆ 躑躅咲く空に分け入る道ほそし 対抗試合どちらも躑躅撫で過ぎぬ 箱舟捨つれば街つつじ野と化せり 明歴の大火鎮火せず躑躅咲く 鉄塔の解体工事躑躅咲く 出火の理由知ってか躑躅紅うすれ のこる蕊こころが三つ花躑躅 表札に庭師とありぬ躑躅咲く 庭つつじロックンロールという人生