呼吸とはまず吐いて吸ふ花疲れ 携帯からスマホへ花に疲れをり 花疲れ一句も詠めずうすれけり 花疲れ内蔵助は何故来ないのか 花疲れまさかのマグニチュード7の揺れ 句の軽さは人の軽さか花疲れ 放哉はイケメン花の疲れ消ゆ 花疲れカレーとラーメンどっちが好きか どの猫のどの闇なのか花疲れ ボールペンの赤失せしまま花疲れ
再臨までの巨大な沈黙復活祭 フィリピーナの歓声ばかり復活祭 わが系譜辿ればバラバ復活祭 ホモ・デブ・スカンピンの友あり復活祭つづく 復活祭戦争はあっても滅ばざる イースター天皇が人間でありし理由 復活祭地球は完膚なきまでの地獄 イースター何かごろんと固きもの イースターもはや神国は日本だけ ストリート・ミュージシャン復活の日も愛の歌
宇宙から見える春空ももいろに 火を焚けり「プラトニック・セックス」読み継ぐとき ジパングと呼ばず春黄金花覗き込む 無帽の人菜の花畑に現れて消ゆ 死にそこないの青ってやつは飛花落花 引き込み線一駅ごとに緑立つ 花筵闇とは白きものと知る 銀河より遥か落花のけむりたつ イースターまさか盲愛のドラマとは はらはらと日めくりの音花の闇 薄れゆく水菜の青を水に追ふ
テーブルを叩いて去りぬ飛花落花 ひとときは恋の残り香落花の日 ミニチュアの名無しの城にもある落花 落花落日あの闘いは続いている 大落花船団もぬけのからになり いっせいに隣家に向かふ飛花落花 東京の闇の明るさ余花終わる 余花ちるときもう人間には戻るまい 人工の滝も拒まず飛花落花 ある阿呆の一生落花のしきりなり
連翹忌またもこの世ではぐれけり これはジャニスのサマータイムと推定無罪 落花地点は無数に どれが私かわからぬ 冬林檎を剥いても肉も骨も見えず 海へにげても空へにげても帰るところはひとつ 平成はまだ始まったばかり海のそばでむほん 白兎は白のまま巨大な不幸を語る ここまでは人猿ここからはキャシャーンの支配地 北乃きいは空中から「第三の性」を取り出した ふらここの交差す私の抜け殻が散乱