月の雫海の吐息

月海です。うさうさと感じるままに、思うままに、
言の葉つづりしてます

曼珠沙華の咲くころ

2012-10-02 21:50:00 | かんじるままに


彼岸花という花を初めて見たのは小学校1年生のとき
広い石垣に一間ほどの石の階段があり
そこにはこんもりとした森があった

春には野の菫が咲き 夏には鳥が鳴き虫が飛び交い
秋には団栗がたくさん落ちている
そんな不思議な場所がだった

今でも その土地が どんな土地だったのか
一考に解らずじまいでいる
その森の中には 秋には彼岸花が咲いていた

その土地に入り込むことを 大人たちは良くは言わなかった

でも 私はそこでたくさんの野の花を・・・
他人(ひと)は 雑草と呼ぶのかもしれないけれど
観て好んでいた

深い緑の森の中で
彼岸花は真っ赤に 美しく見えた


そばによると
不思議な香りがする

甘い香りではない
青いような 水のような 土のような
不思議な香り

花泥棒は盗人にならないと・・誰が言ったのだろう
そのころの 私は
あちらこちらで 花摘みをした気がする

ただ 庭先で咲いていて
どうしても欲しいときは
連日 その家の前をとおり
庭の持ち主を見かけるまで通い
みかけると
おそるおそる・・ 一輪だけ ください。。
と 頼みこんでいた

かすかな記憶だと
その森の奥に 小さな家があった気がする
廃屋だったのか
世捨て人が住んでいたのか
それも 判らずじまいだった

真っ赤に咲き誇る彼岸花を
私は 思わず引きちぎるように摘んでいた

そう。。子供の手で彼岸花をつむのは
折り花をして摘めるものではない

ドキドキしながら家に帰ると
玄関に着くや否や
母から玄関から中に入ることを禁じられた

彼岸花は家屋に持ち入ってはいけない
と きっちりと叱られてしまった

花摘みは悪いことではないけれど
摘んではいけない花もあると
その時 母に教えられた

彼岸花は 亡くなった人に手向けてあること
根に毒のある植物もあること
曼珠沙華と呼び名があって 天上の花であること
仏様に因む花だから むやみに 摘んではいけないことを
教えられた

真っ赤で綺麗だったから・・・

摘んだ場所も聞かずに
母はあったところへ返していらっしゃいと
私に言った



その日以来
私の記憶の中では
その 石段を登った記憶はない















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