月の雫海の吐息

月海です。うさうさと感じるままに、思うままに、
言の葉つづりしてます

深まりゆく秋のある瞬間の出来事

2009-09-25 20:20:00 | 恋物語


その日は朝から穏やかな気持ちが続くと 信じていた
緩やかだけれど 夏が終わり秋がゆっくりだけれど
深まりを見せ始めていた

空の蒼さがもう 夏の色を失って
秋の色へと変わっていた
白い雲も銀色に輝くことをやめて
透き通った白へと変わり始めていた

久しぶりに本屋さんへ立ち寄った
目的もなくふらりふらりと書棚を巡り歩いた
新刊が山と積まれている
タイトルをゆっくりと眺めている

聞き覚えのあるタイトル
まったく覚えの無いタイトル
推理小説は目に留めず
今日の空の色を思わせるようなタイトルを
ゆっくりと探し始めた

長く休日が続こうとしている その少し前
こんな中途半端な時間でも 本屋さんはにぎわっている
子供たちが運動会をしているコーナーをさけて
奥まった書棚を巡る


表紙の絵にドキッと 一目惚れ
手を伸ばすのを 少しためらう
その絵は 間違いなく私の好きなイラストレーターの絵
違っていたら 私の落胆は間違いない
だから ためらいながらゆっくりと 手を伸ばした

表紙をめくる
タイトル
ページをめくる
目次
さらにページをめくる

作家名と

挿絵画家の名前が



あぁ。。。

心の中で小さくつぶやく


そのままページをめくり続ける

ささやかなラブストーリーが続いてく


そのまま会計に向かい
ごくごく普通のペーパーカバーを掛けてもらう
ビニル袋を断り
そのまま本を片手に近くのコンビニへ向かった

冷えたペットボトル入りの炭酸水を買った
ここでもまた ビニル袋を断った
あの中途半端なサイズの袋が好きではないから

片手に本を一冊
片手に冷えたペットボトルを一本

ふらっと歩く
こんな時間が好きだったりする

自宅へ戻り 庭の秋風の通る場所に簡単な
丸い椅子をおき
ペットボトルのキャップをねじってあけた
空の蒼さを確かめるような角度で
ボトルに直接口をつけて
舌先がしびれるような 炭酸を口に含んだ

飲み込む瞬間 夏の清涼感を感じることなく
体の中へ気泡が静かに広がる不思議さに包まれて
秋の風を感じていた



ペーパーカバーをはずし
もういちど表紙カバーの絵をながめる
その絵を手に入れたことを とても満足しつつ
丁寧にカバーを戻し
ゆっくりと 本に目を通し始めた

夏を終わりにしよう。。。



タイトル


『サマータイム』






Good day and Peace



コメント
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