獅子風蓮のつぶやきブログ

日記風に、日々感じたこと、思ったことを不定期につぶやいていきます。

ガーシー(東谷義和)『死なばもろとも』(19)

2023-12-21 01:55:42 | ガーシー

ガーシーには嫌悪感が先に立つほどだった私ですが、ガーシーのおかげで救われたという人もいたのですね。
また彼は家族思いで、母や妹には今でも慕われているようです。
ガーシーについて、好奇心がわきました。
ガーシーはどのように育ったのでしょうか。
彼なりの正義とはいったいどういうものなのでしょうか。

そこで、ガーシーの自伝的な本があるというので読んでみました。

ガーシー(東谷義和)『死なばもろとも』(幻冬舎、2022.07)

かいつまんで読んでみたいと思います。

(目次)
□序章 ジョーカー誕生
■第1章 逃亡者
□第2章 しゃべりだけで成り上がる
□第3章 芸能界への扉
□第4章 アテンダーという裏稼業
□第5章 酒と女とカネと反社
□第6章 死なばもろとも
□第7章 社会の不満が生んだ怪物

 

第1章 逃亡者
■ポケットの中で握り締めた110円のジャリ銭
□ギャンブル依存症がハマる「カネの底なし沼」
□やめたくてもやめられない 俺を破滅させた博打
□一晩1000万円が動く裏カジノが主戦場
□YouTuberのヒカルのギャラ
□ギャンブルで自殺した俺のオヤジ
□雪山で大酒を飲んで死ぬつもりだった
□下4ケタ「1234」 
□PCR検査へ急げ 
□1泊500円のゲストハウスを泊まり歩く
□日当3000円の日雇い労働で糊口をしのぐ
□暴露系 YouTuber ガーシーの誕生


第1章 逃亡者

ポケットの中で握り締めた110円のジャリ銭

成田空港から片道切符で約12時間のフライト。時差はマイナス5時間程度や。機内では気分が高揚して眠るどころやない。徹夜状態でドバイ国際空港にたどり着き、到着ロビーに足を踏み入れると、寝不足と時差ボケと鈍痛のような疲労が混じり合った。頭がフラフラし、目眩に襲われた。
ドバイに到着したとき、俺のポケットにはたった110円のジャリ銭しか入ってなかった。無論、俺とて一文無しで逃亡生活を始めるほどのアホやない。日本からの出国直前、一生のお願いだからと親戚に連絡して泣きついた。10万円ポッキリ貸してもらえた。
この10万円でチケットを買ったから残り3万円もない。このカネが、逃亡生活を始めるにあたっての当座の頭金や。
かれこれ30年近くにわたって、俺は芸能人やタレントのアテンダーとして生きてきた。華やかなスポットライトを浴びながら数百万人、数千万人の視聴者から注目される仕事は、精神的ストレスがハンパやない。仕事が終わればドッと疲れが襲い、憂さ晴らしをせにゃ翌日の営業に差し支える。アテンダーの仕事は、そんな彼らに束の間の安らぎを与えてあげることやった。
歌舞伎町や銀座、六本木に西麻布、札幌のすすきの、大阪の北新地とミナミ(道頓堀)、那覇の辻や松山。北から南まで、かわいい女の子、きれいな女の子を血眼になって探し求めてきた。その子らを有名人に紹介するアテンド業が、俺の職業や。ええことばかりやない。汚れ仕事なんざいくらでもある。いや、汚れ仕事ばっかりや。芸能人のケツを拭いても俺自身がスポットライトを浴びることなんて一度もない。アテンダーは黒子や。黒子が前にしゃしゃり出て目立とうなんざ、論外や。一生、日の目を見ない。それでええんや。
アテンダーとして俺が守ってきた絶対のポリシーは、人の秘密を守ることや。何を笑っとんねん。ホンマや。
絶対に人の秘密を言いふらさない。「ここだけの話やけどな」なんてうっかり口が滑ったら、そこから噂はあっという間に広まる。病原菌がパンデミックを引き起こすみたいに、夜の街に広がり、ネットに拡散され、週刊誌やスポーツ紙でまことしやかに書き立てられる。「ここだけの話」なんて、この世のどこにもあらへん。だから口は徹底的に堅くないとアカン。
せやから俺は貝のように口を閉ざし、墓場までもってかなアカン秘密を山ほど抱え、ただただ芸能人のために献身的に生きてきた。連中の代わりになって、汚い泥を何十トンもかぶってきた。

2021年12月、俺の人生は激変した。
YouTuberのヒカルが、あいつのYouTube で俺の実名と正体を明かして、「BTS詐欺事件」とやらを言い募って攻撃を始めたんや。するとその瞬間から、それまでさんざん俺に世話になってきた芸能人たちが一斉にソッポを向いた。俺と関わってることが知れたらまずいとビビったんやろうな。自分がヘマをこいたときはさんざん世話になってきたのに、俺のピンチにはしらばっくれて、ポイ捨てした。
お前ら、なんなんや。どういう了見なんや。
あいつらには映画やテレビ、Netflix に舞台、CMに雑誌モデルと、仕事がめっちゃある。人気商売の仕事に差し支えるから、表立って俺をフォローしづらい事情もわかる。そんなんアテンダーの俺が一番ようわかってるやんか。
だったらせめて、せめてLINEでコソッと連絡くれてもええやないか。そんくらいしてもバチ当たらんやんけ。女の子をいっぱい当てがってもらい、孕ませてしまったら泣きついてくる。ファンに言えんことをさんざん世話してきたアテンダーに対して、連絡もせん、LINEも既読無視。いくらなんでもここまでの手のひら返しはないやろ。
俺はアテンダーや。所詮は裏方や。芸能人の秘密は墓場までもってかなアカン。一時は本気で死のう思った。ただ、ほんの数人だけは、お前一人で抱えて死ぬ必要はないと言ってくれたんや。
アテンダーとしての半生をつぶされた俺は、アテンダーとしての鉄の掟を破り、すべてを暴露することにした。死なばもろとも。もうすべてを失った。どうせ死ぬんやったら全員道連れにしたる。

 


解説
俺はアテンダーや。所詮は裏方や。芸能人の秘密は墓場までもってかなアカン。一時は本気で死のう思った。ただ、ほんの数人だけは、お前一人で抱えて死ぬ必要はないと言ってくれたんや。
アテンダーとしての半生をつぶされた俺は、アテンダーとしての鉄の掟を破り、すべてを暴露することにした。死なばもろとも。もうすべてを失った。どうせ死ぬんやったら全員道連れにしたる。

この身勝手な行動は、ガーシーの中でどのように筋を通したうえでなされているのでしょうか。
そもそも、この本の題名『死なばもろとも』ですが、これって走り屋をしていたときの仲間が「根本にしていた」言葉なんだそうです。
「腹を括って何かをやって、自分一人だけでは死ねへんでという気概」とのこと。
「そんなもん死なばもろともやんけ」っていうような。
もしも何か悪さをして自分が沈んでいくんやったら、同じぐらい悪さしている奴も一緒に沈めたるで、と。

 

彼らは、「死なばもろとも」という言葉を、何かかっこいいことと勘違いして使っていますね。

これがガーシーの行動規範だとしたら恐ろしいかぎりです。

違法なことをして、追い詰められて死ぬときは、周りの人間を巻き添えにしてやるということでしょう。

周りからしてみたら、いい迷惑です。


「死なばもろとも」……

こんな言葉を大切にしていたから、ガーシーは、金策に困ったあげく、かつての友人の秘密を暴露してカネを稼ごうなんて思ったのですね。


ある意味納得しました。

 

獅子風蓮



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