獅子風蓮のつぶやきブログ

日記風に、日々感じたこと、思ったことを不定期につぶやいていきます。

山崎浩子『愛が偽りに終わるとき』第3章 その5

2022-12-20 01:20:39 | 統一教会

山崎浩子『愛が偽りに終わるとき』(文藝春秋1994年3月)
より、引用しました。
著作権上、問題があればすぐに削除する用意がありますが、できるだけ多くの人に読んでいただく価値がある本だと思いますので、本の内容を忠実に再現しています。
なお、漢数字などは読みやすいように算用数字に直しました。

(目次)
□第1章 「神の子」になる
□第2章 盲信者
■第3章 神が選んだ伴侶
□第4章 暴かれた嘘
□第5章 悪夢は消えた
□あとがき



飯星景子さんが教会との決別を宣言
11月になって、タレントの飯星景子さんの脱会報道が持ちあがった。正確にいえば、入信はしていだが入会はしていなかったようで、決別宣言だった。
教会内部でも、飯星さんが統一原理を勉強していることは耳に入っていたので、やめると聞いた時はビックリした。
何でも、まだ勉強の途中の段階だったらしい。それを父親が、よく知りもしないで無理やりやめさせたらしい。
「今、統一教会に反対すると大変なことになります」
常々、そう聞かされてきた。
以前テレビに出て反対活動をしていた元信者は、交通事故で亡くなったという。景子さんは、まだ未熟だったし、勉強の途中だったというから仕方ないかもしれないが、お父さんが悲惨な末路をたどるんじゃないかと思って、かわいそうになった。
「親に反対だけはさせないように、みなさんがんばってください」
礼拝でもそう聞いていたので、姉たちが反対しないようにと祈った。
そして、こうしてメシアを裏切り、神様を悲しませた人がいるのだから、私はその分がんばらなければと思った。
夜11時半ごろになって、インターホンが鳴った。
(こんな夜遅くに誰だろう)
そう思いながら、「はい」と応答すると、
「すみませぇ~ん、『ルックルックこんにちは』ですぅ」
という女性リポーターの元気な声。
(今はお昼じゃないんだゾ、何が“こんにちは”だ!)
と、ガシャンと切りたくもあったが、教会から、これからはマスコミもまるめこんで統一教会側の味方につけなければならないと言われていたので、ていねいに応対することにした。
この人たちにとっては、たくさん話してくれる人がいい人であって、無視する人は悪い人、という図式ができあがっているように思えた。
飯星景子さんの決別宣言についてのコメントを求められ、
「誰が何を真実としてとらえるかっていうのは、人それぞれの判断でいくわけですよね。飯星さんと私は違う人間ですから……」
と答えた。


信仰を捨てた人々の末路とは
飯星さんがやめたからといって、私もやめるというわけにはいかない。
むしろ、私の信仰はより強くなった。世界中の誰がやめても、たとえ聖人だけになったとしても、決して神とメシアを裏切ることはない、誰が信じなくとも私だけは最後まで信じる、と固く心に誓った。
御言、いわゆる統一原理を理解し、そして受け入れることは、本当に大変なことだと聞いた。
俳優のTさんは、御言をひと通り学んだのだが、堕落論が理解できずに離れていったのだという。女好きで色情の因縁が強すぎるために、サタンが邪魔して堕落論を理解させないようにしてるのだろう、教会ではそう分析していた。
理解するのが大変と聞くと、自分が受け入れられていることに、ほんの少し優越感にも似た気持ちが湧いた。
元首相のNさんは、お父様から直接御言をいただいたにもかかわらず、お父様の言うことを聞かなかったために、悲惨な状態になってしまったのだという。それで、その後、悔い改めて、もう一度原理を学んでいるのだそうだ。
「お父様から直接御言をいただいて、堕ちたら大変ですよ。みんな悲惨な末路をたどっています」
私は8月の合同結婚式の際、直接お父様とお話をさせていただいていた。だから、その言葉を聞くたびに、堕ちるわけにはいかないと気を引き締めるのだった。
皇族の中にも、御言を学んでいる方があると聞いたし、ほかにも学者や、芸能界でもたくさんの人たちが学んでいるんだということを聞き、それが心の支えにもなっていた。


迫害がさらに決心を固くする
テレビでは、元信者たちがまたほえている。自分は韓国人との祝福だったが、相手は御言も何も知らない人だったと言っている。
以前、ジャーナリストが、韓国人男性には日本人女性の写真をバラまいて選ばせているとか、韓国の農村の男性に日本人女性が嫁にくるからと祝福をすすめているとかいう話をしていたので、多少不安になった。
(この人のいってるのはホントなのかなあ)
一瞬そう思ったが、次の瞬間にはすぐ否定した。
(きっと、反牧にあやつられて、ウソを言っているに違いない。もし、ホントだったとしても、今はお父様が勝利されて、恵みの多い時だから、たとえ御言を知らなくても、お父様は祝福を与えてくださったんだ)
後日、M先生が一過の手紙を見せてくれた。
「テレビで、御言を知らない韓国人との祝福の話をしてだでしょう。まあ、ほんとにそれは大変なことですよ。よっぽど基準が高くないと、普通の食口(信者)じゃ、耐えられないと思いますよ。でも、この手紙を見て私もびっくりしたんだけど、こんな高い基準でやってる人もいるんだなあと思って、涙が出ましたよ」
その手紙の差し出し人もまた、韓国人との祝福を受けた人だという。電気もないぐらいの田舎で、柏手は御言も全然知らない人だったのだそうだ。でも、ここから、私がこの人を救っていくんだという気持ちでがんばっていきたい、神に感謝して歩んでいきたい。そういう内容がきれいな文章で並べられていた。
なるほど。それぐらいの基準で、何があっても神とメシアに感謝して、神を喜ばせる人間にならなければならないんだなあと思った。
私は、どんなことでも「神の摂理」ということで疑問を抱かないようになっていた。
92年は大騒動のうちに幕を閉じていく。母が亡くなり、信仰告白会見をやり、祝福を受けて……目まぐるしい毎日だった。気が休まる時はなかった。いつでも反牧やマスコミの目にさらされているようだったし、姉たちの理解も得られなかったし----。
講演や仕事の数も極端に減っていった。
祝福後の講演を、マスコミに取り上げられたことにより、他の講演がキャンセルになったりもした。
経済的にも苦しかったし、一日一日が重く長かった。
いっそのこと統一教会の仕事だけに従事した方が楽なのではないかと思うほど、サタン世界で生きていくことがつらく思えた。
けれど時が満ちれば、きっといいことがあると思った。わかってもらえる日が訪れる。それを信じて歩み続けてきた。
来年も、その先も、どんなにつらくても地上天国実現のために歩んでいこう。

 

 


(つづく)

 


解説
第3章では、山崎浩子さんが旧統一教会での合同結婚式に参加するもその後“拉致・監禁”に至るまでの様子がていねいに描かれています。


タレントの飯星景子さんの脱会報道や韓国人男性と結婚した女性信者のことなど、いろいろな情報が彼女の耳に入るも、教会側の論理に言いくるめられていくようすが、よく分かります。


獅子風蓮