
二・二六事件のことは良く知らないが、時間があれば少しずつ勉強しているつもりである。上は、立野信之の小説をもとにしたもので、佐分利信(←!)監督の映画。
実際はどうだったかわからんが、完全に頭にきてしもうている青年将校達が「やるぞ貴様裏切るのか自決するぞいや法廷闘争だ暗黒裁判だ天皇陛下万歳」みたいな感じでいきり立っているのに対し、北一輝おじいちゃんが「まあいいか」みたいな感じで傍観しているという……この事件に限らないよくある風景を描いている。無論、実際はもっといろいろとあったはずである。事を有利に運ぼうとしているのは、軍人や政治家達だけではない、驚いたふりをしている国民や、昭和天皇だって同じである。勝手に自分の軍隊が動きまわっているのを見て見栄の上でもイライラしない大将がどこにいるというのだ。どうも、尊皇の連中というのは、天皇をなにかインパーソナルな何物かと思い「過ぎる」ところがあるのではなかろうか。三島由紀夫はそこんとこよく分かっていて、天皇個人に対する反感を隠そうとしていなかった。──いや、私は三島に影響されたために、そんなことを思うに過ぎないかもしれない。実際の二・二六事件は、もっとしょうもない理由で起こった政治的騒乱だったのかもしれない。昭和天皇に関しても、高峰秀子様が「たぶんいいひと」と言っていたので、たぶんそうなのであろうが、秀子様は青年将校に会ってもそう言ったかもしれない。