鑿壁偸光 漢字検定一級抔

since 2006.6.11(漢検1級受験日) by 白魚一寸

「三点セット」では解答できない読み問題(7) 饕餮

2007年12月12日 | 19-2(第44回)

饕餮(とうてつ)

 饕の見出し語は、訓の【饕(むさぼ)る】8-2Y 17-1Y一つです。饕るは、饕餮とセットで19-2Y でも出題されました。下付欄に、餮饕(てっとう)がありますが、音読み見出し熟語はありません。

 餮については、下付欄に、本問の饕餮が載っていますが、見出し語はなく△の字です。賻のときに、△の漢字の出題は1年振りだから、優先順位は低いと書きましたが、19-2では2字(3点分)出題されています。でも、3点分だけですから、私は、見出し語のある漢字の方を優先します。

 なお、「辞典」には、餮の訓はありませんが、「必携」には、むさぼ(る)という訓が載っており、12-3Yで出題もされています。ただ、 「辞典」には載っておらず、「必携」に載っている訓については、14-3以降は出題されていませんので、私は無視をしてきました。

1, 訓が出題された漢字は音も憶える

 饕る→饕トウも憶えるということです。熬(い)る13-3K→煎熬19-2Y と同じです。 餮るの方は、無視していましたが、もしかすると、「辞典」に載っていない訓読みで出題された漢字は、訓読みは出題されないとしても、音読みで出題されるのかもわかりません餮る→餮テツです。

2, 捻った音符読みは押さえる

 饕は、会意か形声かは対立がありそうですが、號+食です。號は、号(ゴウ)の旧字体です。

號(ゴウ)→饕(トウ)

と変化します。

 一方、餮は、殄(テン)+食です。殄の音符は、(シン)です。の音符字( 「新漢字辞典」の番外5画参照)は、シン・チン・テンと読みますが、テンと読むのは殄だけです。こういう仲間外れな読み方をするのは出題されやすく、殄熄(てんそく)9-3Y(訓は、殄(つ)きる、殄(つ)くす15-1Y)が出題されています。

 (シン)→殄(テン)→餮(テツ)

音符の2段捻りをします。こういうのは、見出し語がなくても憶えた方がいいのかもしれませんが、結構あって大変です。

 尚、饕と餮は、どちらがトウで、どちらがテツか混乱しますが、號(ゴウ)→饕(トウ)殄(テン)→餮(テツ)と憶えておけばいいでしょう。あるいは、虎(とら)のある方がトウと押さえておこうと思います。

3, 殷周史を学ぶ

 殷周史の本を読んでいると必ず饕餮は出てきます。漢字の関係で1冊ご紹介すれば、白川静著「漢字百話」(中公新書)など。ただ。饕餮という化け物は、私の中で、うまく像を結びません。



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