18-1(一)読み
13 両者にさほどの軒輊(けんち)はない。
「新漢字辞典」の至部の内、
①咥は、くわえるという訓の見出し語はあるが、音読み見出し語がない。
到は、「説文」では、音符は、至ではなく、立刀(トウ)。なお、「字通」は会意文字説。
鵄は⑥鴟(シ、とび)の異体字。尤も、金鵄勲章という見出し語があるが、異体字は出ないだろうから、異体字でしか書かない熟語は出ないと考え、熟語の上に×。
屋は会意文字
耋は△
これらを除外しますと、「辞典」に音読み見出し熟語のある至の音符字は次のとおりです。括弧内は音読み見出し熟語と訓です。1級漢字だけ、見出し語数を①とかつけました。
シ 至
シツ 室、①桎(桎梏)
チ 致、①輊(軒輊)
チツ 窒
テツ 姪、蛭(肝蛭 ひる)、②垤(丘垤 ありづか=蟻塚)
至の音符の読み方は、5種類ですが、準1級までに全部出ています。だから、1級漢字がどれに当て嵌まるかを考えればいいことになります。
以下音読み変化の法則性ですので、丸暗記すればよい、法則性などつまらんという方は、無視して下さい。
音読み変化の法則性について、大岡様に纏めて戴いた白石本の変音法則に従いますと、
シ→シツは、下字添加。添加される下字は、「インチキツク」の6文字の何れかしかない。この場合はツが添加される。
「インチキツク」のことは、宮下本に明記されていますが、結構驚きでした。音読みの種類は、二つの音の場合は下字は「インチキツク」のいずれか、他に4種類(一音、拗音、長音、拗長音)で、全部で10種類しかないのです。
シ(shi)→チ(chi)は、サ行からタ行への子音変化
チ→チツは、下字ツの添加
チツ(chitsu)→テツ(tetsu)は、子音は同じタ行で、母音がi(イ)→e(エ)への変化。i→eへの変化は白石本にはないがi→a、a→eの変化はあるので、途中を省略してi→(a)→e、ということでしょうか。
(追記)
記事をアップしてから、白石本を読んでいましたら、失(シツ)→鉄(テツ)の変化は、法則外の全く自由奔放な変化とあり、音符の例外変音の項にありました(35頁)。シ(shi)→テ(te)の変化の内、子音のサ行からタ行への変化は法則内の変化だから、i→eの変化が、法則外ということでしょう。そうすると、至(シ)→垤(テツ)も法則外であり、例外変音ということになります。
ただ、私はまだ白石本は、各論のとっかかりまでしか読んでいないのですが、総論を読んだ限りでは、母音変音について、何故、a←→i、a←→e、a←→o、o←→u、o←→iの変化だけが法則に合致し、i→eなど、それ以外の母音変音が法則外の例外と言えるのか説明がないように思います。iとeは、近い音で、変音し易いのではないでしょうか。i←→eの音の変化がどのくらいあるか、今後も調べていこうと思っています。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます