2 コメント コメント日が 古い順 | 新しい順 要素形的漢字学習指導法による説明 (大岡) 2006-10-07 01:14:50 白石光邦『要素形的漢字学習指導法』おうふう22頁以下にまとめられた音符の変音法則を、目次に本文から説明と具体例を適宜補って板書風にご紹介します。第二章 形声漢字の音符の変音法則(一) 変音法則の概説 音符の音が一字である場合を一字音、二字である場合を二字音という(ショなどの拗音は一字とみなす)。二字音の上の字の音を上字音、下の字の音を下字音という。上字音の変化法則は一字音の変化法則を兼ねる。下字音はあまり変わらない(下字不変の法則)。(二) 五十音法 五十音法というのは、二字音の音符の上字音の変化については、五十音図を基準にして法則を設け、下字音の変化については、かな相互の間の変化の法則を設けたものである。 一 上字変化の法則とその指導 (1) 同段変化(例:「至」→「致」、「占」→「点」) (2) 同行変化(例:「反」→「返」、「山」→「仙」) (3) 拗直変化 (イ) 同段同行変化(例:「古」→「居」、「丁」→「灯」)かなりが後掲げローマ字法のyの添落に相当。 (ロ) 混合変化[(3)イと(1)(2)の混合](例:「尺」→「択」、「酸」→「俊」) (ハ) 上字添落変化(例:「尺」→「訳」、「由」→「宙」、「挙」→「誉」) (4) 例外変化 二 下字変化の法則とその指導 (1) 下字添落変化(脱落の例:「必」→「秘」、「インチキツク」どれかの添加の例「古」→「克」) (2) ツ・イ変化(例:「列」→「例」、「祭」→「察」) (3) ウ・ク変化(例:「口」→「谷」、「告」→「浩」) (4) 例外変化 三 二字変化の法則とその指導 二字音の上の字も下の字もどちらも変わる変化。 (1) 既修法則変化[二字音の上の字は一項で処理し、下の字は二項で処理](例:「鬼」→「塊」:同行変化+下字添落変化) (2) □ェイ・□ョウ変化(例:「青」→「情」、「令」→「領」、「敬」→「驚」) (3) 例外変化(三) 五十音法による指導字一覧(475字)(四) 五十音法の運用(五) ローマ字法 (イ) 二字音の上字音の変音法則 (1) 子音変化の法則 【転音】 k←→s←→t[これが転音の中心] r←→k(例:「林」→「禁」) n←→t(例:「任」→「賃」) s(z)←→n(例:「然」→「然」) k←→h(例:「記」→「妃」) m←→b(例:「免」→「勉」) 【再転変化】「吏」→「使」のr←→s変化は、rが一度kに転じ、そのkから再びsに転じた再転変化であるが、この再転の音までを法則変音とし、それ以後の変音は例外として扱う。 【音の添落】五十音法のキョ→コ、ショ→ソ、チョ→トの変化はyの添落による変化。転音の中心であるk,s,tもかなり添落する。 (2) 母音変化の法則 a←→i(例:「可」→「奇」、「皮」→「波」) a←→e(例:「干」→「軒」、「原」→「願」) a←→o o←→u o←→i aの添落(例:「非」→「俳」、「台」→「治」) e←→yo(五十音法の□ェイ・□ョウ変化) (ロ) 二字音の下字音の変音法則 五十音法では、下字の変音法則を下字変化と二字変化との二つに分けたが、ローマ字法では、一緒にして次のようにする。 (1)ツ・イ変化、(2)ウ・ク変化、(3)ウ・イ変化----------------------------以上の分類を今回の記事にあてはめてみましょう。>リュウ→ビュウ五十音法における同段変化、ローマ字法におけるr→(k)→bの再転変化。>リョウ→ロウ、コウは子音の揺れでしょう。リョウ→ロウは、五十音法における拗直変化のうちの同段同行変化、ローマ字法におけるyの脱落。ロウ→コウは、五十音法における同段変化、ローマ字法における子音変化の法則のr←→k変化。>また、リュウ→リクへの揺れもよくわかりません。五十音法における二字変化のうちの既修法則変化(上字音のリュ→リは拗直変化、下字音のウ→クはウ・ク変化)、ローマ字法におけるウ・ク変化。 返信する 白石先生の本買いました。 (白魚一寸) 2006-10-14 12:17:39 >白石光邦『要素形的漢字学習指導法』おうふう22頁以下にまとめられた音符の変音法則を、目次に本文から説明と具体例を適宜補って板書風にご紹介します。ありがとうございます。板書ですから、手書きで写すのが礼儀でしょうが、失礼ながらプリントアウトしました。法則性って私好きなのです。自分の音符ノートと対照して学習してみようと思っています。大岡さんの纏めを見て、とても欲しくなり、「日本の古本屋」で注文し、本日届きました。青い表紙に和同開珎、いいですねえ。当用漢字プラスアルファの1975字の教育法が全部解説されています。索引も充実しています。序文だけ読みましたが、当用漢字(現在は常用漢字)を音符別に勉強すれば、常用外の漢字の学習にも有益という点は我が意を得たりです。字源が、加藤常賢氏と藤堂氏に拠っていて、白川説が参照されていないのは残念ですが、白石先生は、東大系だからやむを得ないですね。白石先生は、学校の先生もしたのですね。こういう先生に教えて貰った生徒は幸せだなあと思います。心ある国語教師が、こういう本や宮下先生の本などを繙いて、子供達にどうやって漢字を教えたらいいか、心を砕いて欲しいなと願っています。逆説的ですが、現今の漢検の隆盛は、却って、漢字教育の危機ではないかと思っております。なお、今日「日本の古本屋」で著者名「白石光邦」で検索したら、まだ2冊売っています。書名の記載が若干違っていたので、書名からは検索できなかった。いずれも1500円で私が買ったのより500円も安い。古本買いはよくこんなことがあります。著者名で検索するということを失念していましたが、書名くらい正確に入力して欲しいよね。白石先生の「祝詞の研究」も欲しいけど、これは、本当にお預けにしておこう。 返信する 規約違反等の連絡 コメントを投稿 goo blogにログインしてコメントを投稿すると、コメントに対する返信があった場合に通知が届きます。 ※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます 名前 タイトル URL ※名前とURLを記憶する コメント コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。 コメント利用規約に同意する 数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。 コメントを投稿する
第二章 形声漢字の音符の変音法則
(一) 変音法則の概説
音符の音が一字である場合を一字音、二字である場合を二字音という(ショなどの拗音は一字とみなす)。二字音の上の字の音を上字音、下の字の音を下字音という。上字音の変化法則は一字音の変化法則を兼ねる。下字音はあまり変わらない(下字不変の法則)。
(二) 五十音法
五十音法というのは、二字音の音符の上字音の変化については、五十音図を基準にして法則を設け、下字音の変化については、かな相互の間の変化の法則を設けたものである。
一 上字変化の法則とその指導
(1) 同段変化(例:「至」→「致」、「占」→「点」)
(2) 同行変化(例:「反」→「返」、「山」→「仙」)
(3) 拗直変化
(イ) 同段同行変化(例:「古」→「居」、「丁」→「灯」)かなりが後掲げローマ字法のyの添落に相当。
(ロ) 混合変化[(3)イと(1)(2)の混合](例:「尺」→「択」、「酸」→「俊」)
(ハ) 上字添落変化(例:「尺」→「訳」、「由」→「宙」、「挙」→「誉」)
(4) 例外変化
二 下字変化の法則とその指導
(1) 下字添落変化(脱落の例:「必」→「秘」、「インチキツク」どれかの添加の例「古」→「克」)
(2) ツ・イ変化(例:「列」→「例」、「祭」→「察」)
(3) ウ・ク変化(例:「口」→「谷」、「告」→「浩」)
(4) 例外変化
三 二字変化の法則とその指導
二字音の上の字も下の字もどちらも変わる変化。
(1) 既修法則変化[二字音の上の字は一項で処理し、下の字は二項で処理](例:「鬼」→「塊」:同行変化+下字添落変化)
(2) □ェイ・□ョウ変化(例:「青」→「情」、「令」→「領」、「敬」→「驚」)
(3) 例外変化
(三) 五十音法による指導字一覧(475字)
(四) 五十音法の運用
(五) ローマ字法
(イ) 二字音の上字音の変音法則
(1) 子音変化の法則
【転音】
k←→s←→t[これが転音の中心]
r←→k(例:「林」→「禁」)
n←→t(例:「任」→「賃」)
s(z)←→n(例:「然」→「然」)
k←→h(例:「記」→「妃」)
m←→b(例:「免」→「勉」)
【再転変化】「吏」→「使」のr←→s変化は、rが一度kに転じ、そのkから再びsに転じた再転変化であるが、この再転の音までを法則変音とし、それ以後の変音は例外として扱う。
【音の添落】五十音法のキョ→コ、ショ→ソ、チョ→トの変化はyの添落による変化。転音の中心であるk,s,tもかなり添落する。
(2) 母音変化の法則
a←→i(例:「可」→「奇」、「皮」→「波」)
a←→e(例:「干」→「軒」、「原」→「願」)
a←→o
o←→u
o←→i
aの添落(例:「非」→「俳」、「台」→「治」)
e←→yo(五十音法の□ェイ・□ョウ変化)
(ロ) 二字音の下字音の変音法則
五十音法では、下字の変音法則を下字変化と二字変化との二つに分けたが、ローマ字法では、一緒にして次のようにする。
(1)ツ・イ変化、(2)ウ・ク変化、(3)ウ・イ変化
----------------------------
以上の分類を今回の記事にあてはめてみましょう。
>リュウ→ビュウ
五十音法における同段変化、ローマ字法におけるr→(k)→bの再転変化。
>リョウ→ロウ、コウは子音の揺れでしょう。
リョウ→ロウは、五十音法における拗直変化のうちの同段同行変化、ローマ字法におけるyの脱落。
ロウ→コウは、五十音法における同段変化、ローマ字法における子音変化の法則のr←→k変化。
>また、リュウ→リクへの揺れもよくわかりません。
五十音法における二字変化のうちの既修法則変化(上字音のリュ→リは拗直変化、下字音のウ→クはウ・ク変化)、ローマ字法におけるウ・ク変化。
ありがとうございます。板書ですから、手書きで写すのが礼儀でしょうが、失礼ながらプリントアウトしました。法則性って私好きなのです。自分の音符ノートと対照して学習してみようと思っています。
大岡さんの纏めを見て、とても欲しくなり、「日本の古本屋」で注文し、本日届きました。青い表紙に和同開珎、いいですねえ。
当用漢字プラスアルファの1975字の教育法が全部解説されています。索引も充実しています。序文だけ読みましたが、当用漢字(現在は常用漢字)を音符別に勉強すれば、常用外の漢字の学習にも有益という点は我が意を得たりです。
字源が、加藤常賢氏と藤堂氏に拠っていて、白川説が参照されていないのは残念ですが、白石先生は、東大系だからやむを得ないですね。
白石先生は、学校の先生もしたのですね。こういう先生に教えて貰った生徒は幸せだなあと思います。心ある国語教師が、こういう本や宮下先生の本などを繙いて、子供達にどうやって漢字を教えたらいいか、心を砕いて欲しいなと願っています。逆説的ですが、現今の漢検の隆盛は、却って、漢字教育の危機ではないかと思っております。
なお、今日「日本の古本屋」で著者名「白石光邦」で検索したら、まだ2冊売っています。書名の記載が若干違っていたので、書名からは検索できなかった。いずれも1500円で私が買ったのより500円も安い。古本買いはよくこんなことがあります。著者名で検索するということを失念していましたが、書名くらい正確に入力して欲しいよね。白石先生の「祝詞の研究」も欲しいけど、これは、本当にお預けにしておこう。