正太 「それと、マスコミの問題点としては、「暗黒思想の強力な発信源」になっている点も指摘しておかなきゃいけないね」
勇二 「ふーむ、「暗黒思想」というと?」
正太 「暗黒思想というのは、前に説明した光明思想の逆。つまり、人間や世の中の暗黒面ばかりクローズアップしたり、否定的に物事を捉えていく考え方のことなんだ。マスコミには、暗黒思想を垂れ流すことによって、人々の暗い気持ちを増幅したり、不安や疑いといったネガティブな思いを煽っていく傾向があるんだよ。
たとえば、テレビや新聞は、殺人事件とか暴力や犯罪を、昼となく夜となく流し続けているよね。その結果、人々の心にどれほど暗い犯罪の影を色濃く落しているか、ということを根本に立ち返って考えてみなくてはいけないんだよ。
家族の楽しい団欒の時間である夕食時のテレビで、殺人現場が生々しく報道されたりするけど、こういう非常識なことが当然のようにまかり通っているんだ」
勇二 「本当だな。テレビのニュース番組なんか見ていると、心が暗くなってくるよね。世の中には、いい出来事や善意の行為もいっぱいあるはずなのに、ニュースで流したり、クローズアップするのが、なぜ一握りの犯罪や事故ばかりなのか、よくわからないよね。まるで「犯罪や事故じゃなきゃ、ニュース・バリューはない。報道する価値はない」と言わんばかりだよね。
むごい犯罪が一件起きることもそりゃ悪いことだけど、その一件の凶悪犯罪を朝から晩まで日本中に流し続けて、人々を暗い気持ちにさせていくのも、バランス感覚を欠いてるっていうか、そのこと自体どこかおかしいんじゃないかと思うな。マスコミの人たちは「起きた以上、自分たちには報道の義務がある」とか言うだろうけど、報道する内容の「取捨選択」とか「ウェイトづけ」には、やっぱりバイアスがかかってるんじゃないのかね」
正太 「世の中全体をみれば、悪い事件や事故はいくらでもあるんだけど、問題なのは、「それをどう扱うか」ということにあるんだよ」
勇二 「同じ犯罪にしても「人を殺して首をちょん切った」とか「遺体をバラバラにした」とか、猟奇的なものやスキャンダラスなものほど大きく取り上げるよね。それで何日か大騒ぎするけど、次に何か起きると、「今までのは何だったの?」というくらい、パタッと取り上げなくなって、次のに移っていくんだね。
「事件が重大だから」とか言うんだろうけど、結局は「どれだけ刺激が強くて目を惹けるか」が報道の基準になってるんじゃないのかね。視聴率をどれだけ取れるか、とかさ」
正太 「日本に一億人以上の人が住んでいれば、殺人のようなこともどこかで起きるだろうし、悪い事件というのはいつの時代にもあるんだよ。
問題なのは、それをセンセーショナルに大きく取り上げて、さも「世の中は悪い事件ばかりで狂乱している」かのように印象づけることなんだ。マスコミの報道を見ていると、同じニュースを繰り返し報道するから、だんだん洗脳されてしまって、「世の中は犯罪や悪人ばかりが満ち満ちている」という暗黒思想が染みこんでしまうんだ。
これに負けてしまうと、暗黒思想がもっと強くなってそれに支配されてしまい、「他人を見れば泥棒と思え」といったことになりかねないんだよ」
勇二 「なるほどね。暗黒面ばかりクローズアップして、「どうです皆さん。世の中こんなに暗いですよ。こんなに悲惨ですよ。こんなに悪人たちが闊歩してるんですよ」とやるわけだね。そういうエグいアプローチで読者や視聴者の心を刺激して、商売につなげていくわけだ」
正太 「マスコミには「事故好き」「犯罪好き」という地獄体質があるんだね。そうしたものばかり好んで取り上げたがる嗜好があるんだよ。
悪い出来事についての情報も「人生でつまずかないための注意や警告」という意味での知恵の部分はあるから一概には否定できないけど、やはり公平な取り扱いとトータルのバランスが必要なんだよ。
というのも、職業の本質というのは「ユートピア建設への貢献」にあるからなんだね。マスコミの人たちは、「積極的に世の中を明るくし素晴らしくしていく報道とは何なのか。言論とは何なのか」ということを、価値判断の基準に据えて仕事をするべきなんだ」
勇二 「なるほどな。「人生の目的」は「魂の修行(魂を磨き高めること)」だけど、「人生の使命」は「ユートピア建設」だからね。「職業」っていうのは、その具体化なわけだ。単に「お金が儲かりゃいい」ってわけじゃなくて、「ユートピア建設」に貢献することが、仕事の本質だからだよね。
メーカーに勤めてる人も、お店屋さんをやってる人も、お百姓さんも、漁師さんも、みんな職業を通して「人々の幸福増進」「理想社会の建設」に貢献してるわけだ。
じゃあ、マスコミの人たちは、一体どんな仕事をすることが「人々の幸福増進」「理想社会の建設」につながるのか。この原点にいつも立ち返らないといけないよね。ここを外していくら売り上げだけ上げても、地上人生という試験には合格できないよね。
他人のゴシップやスキャンダルをほじくったり、中傷記事を垂れ流すことが、自分たちの使命じゃないはずだよね。マスコミの人たちにだって、生まれてくるときに誓ってきた、あるいは、あの世に還ったときに「自分はこういうことをしてきました」と胸を張って誇れるような、もっと尊い使命があるはずだよね」
正太 「それから、マスコミの暗黒思想についてもう一つ代表的なものをあげておくと、「政治家イコール悪人」という「政治家性悪説」もそうなんだね。マスコミは、お金の問題にからめて「とにかく政治家は汚い」というイメージを中心にキャンペーンを展開してるんだけど、これも一種の「暗黒思想」なんだよ」
勇二 「テレビの街頭インタビューなんか見てても、政治家っていうと「自分たちの金儲けのことしか考えていない」とか「腐りきったどうしようもない連中だ」みたいなコメントが多いよね(局側の編集もあるんだろうけど)。バラエティ番組に政治家が出てきても、「うかつに共感しちゃいけない、いかがわしい人たち」って扱いだよね、芸能人たちからも。
まあ、マスコミ自体がそうした方向で報道してるし、テレビなんか見てたらそうした見方に染まっちゃうだろうね」
正太 「お金儲けがやりたくて政治家になる人はいないんだね。これは自民党から共産党まで同じなんだよ。政治家になる人というのは、党派や理想の違いはあっても、「国をよくしていきたい」という思いを持って、政治の世界に入ってきていることは事実なんだ。お金儲けがやりたければ、もっと違う世界があるわけで、政界というのはそうした世界じゃないんだよ。
昔から「井戸塀議員」といって、たいていの場合は、選挙に出て大金を使ってしまい、井戸と塀だけが残るような議員が主流であって、それは今でも変わらないんだ。落選した場合は借金を返せない状態になるのが普通なんだよ。
政治にお金がかかることは事実だし、選挙や事務所の運営、秘書等の雇用を含めると億単位のお金がかかるものなんだ。だから国からの歳費だけでは足りない面があるんだけど、そうした事実を公平な視点でマスコミが報道したり国民に問題提起することはまずないんだね(最近マスコミは政治資金に関しては「入り」のほうはつつきづらくなってきたので、「出」のほうをしきりに問題にしてきてるけどね。政治家とお金の問題については、別途テーマを設けて論じる必要があるだろうね)」
勇二 「マスコミにすれば、政治家っていうのは、「悪役」としての配役がカッチリ決まってるんだろうね。「金儲けしか念頭にない悪代官たち」というイメージから外れるような報道はやりたくないんじゃないのかな」
正太 「「日本の国自体が悪人たちに占拠されて、いいように壟断されている」という報道ばかり流して、国民がそう信じ込み始めたら、日本という国は絶対に悪くなっていくしかないんだよ。
たとえば、自分の子供に「おまえはダメな子だ」というような悪いことばかり言ったら、その子は良い子にはならないし、「おまえの学校の先生は悪人しかいない」ということばかり子供に吹き込んだら、勉強ができるようにならないのと同じなんだね。
ましてや、国民が投票によって選んでいる政治家たちが、悪人や盗賊の集まりなら、そんな国に住んでいること自体が恥だし、そういう人を選んでいる国民自身が大きな恥なんだね。
こうした見方は根本が間違っている、ということから認識しないといけないんだよ」
勇二 「悪人たちに国の中枢を乗っ取られてるなんて思うと気持ちもめげるし、国民のほうも「上はもっと悪いことをやってるじゃないか」なんて、自分の悪を正当化したり棚上げしやすくなるかもしれないね」
正太 「今言っていることは、現代の政治家をことさら美化しようとか持ち上げてるわけじゃなくて、「政治家に対するマスコミ報道は、最初からバイアスがかかっている」「公平さが欠けている」ということなんだね。
政治家の中にも、金塊をためこんでたような人はいたし、死んでフタをあけたら、国の政治を曲げながらごっそりお金を儲けていたため地獄に堕ちているような人もいるけど、そうしたことはあくまでも個々人の問題であって、その点は一般の人と事情は変わらないんだね。ことさら、「政治家という人種」イコール「悪人」というレッテルを貼るのはおかしいということなんだ(まあ、地獄に堕ちている比率は一般の人よりはちょっと高めのようだけど、これには、軍人なんかもそうだけど、職業的に天国・地獄の振幅が激しくなりやすいという面もあるし、それでもマスコミ関係者ほど高くはないこともはっきりしているんだよ)。
マスコミがやらなきゃいけない大切なことは、政治家を単に「悪く見る」ということじゃなくて、「個々の政治家の実績判定をフェアにやる」ということなんだ。その際、大事なことは「国益にどれだけ寄与したか」という観点から判定することなんだよ」
勇二 「ふーむ。「この議員は、こういう法律の立法化に努力した。その点は評価できる」とか「この政治家はこういう外交を展開したが、この点で国益を損なった」とか、あくまでも政治家としての活動実績を評価するわけだね」
正太 「今は、政治家の仕事自体に対する判定は少なくて、仕事以外の「スキャンダル系統の追求」が多いのが現状で、ほんとに情けない限りなんだよ。その主たる原因は、記事を書いているマスコミ人に政治についての勉強や知識が足りないということ。結局、自分たち自身が「よく分からない」ので、どうしてもワイドショーのような論調や切り口でやらざるをえなくなるんだよ」
勇二 「「要するに金に汚い人たちなんです」という定番メニューでやるわけだね。結論がそれなら国民にも一番わかりやすいしね」
正太 「それと、マスコミは政治課題の重要度についての判定ができないから、どうしても枝葉末節のほうに走っていく傾向があるんだね。国家として喫緊の課題、優先順位の高い問題をなおざりにして、瑣末なことで大騒ぎしていく傾向があるんだ(これについては、政権の打ち出す方向性が自分たちの考えに沿わない場合、意図的に論点をスリかえて騒ぐ場合もあるんだけどね)。これなんかも国政の運営にきわめて大きなダメージを与えているんだよ。
いろいろ述べてきたけど、マスコミは、犯罪や事故ばかり拡大視して報道したり、「自分たちの国は悪人たちに牛耳られている」という歪んだ見方を流すことによって、国民の不安や不信を煽っているんだね。こうした「暗黒思想からの決別」も、マスコミに課せられた大きな課題なんだよ」
勇二 「ふーむ、「暗黒思想」というと?」
正太 「暗黒思想というのは、前に説明した光明思想の逆。つまり、人間や世の中の暗黒面ばかりクローズアップしたり、否定的に物事を捉えていく考え方のことなんだ。マスコミには、暗黒思想を垂れ流すことによって、人々の暗い気持ちを増幅したり、不安や疑いといったネガティブな思いを煽っていく傾向があるんだよ。
たとえば、テレビや新聞は、殺人事件とか暴力や犯罪を、昼となく夜となく流し続けているよね。その結果、人々の心にどれほど暗い犯罪の影を色濃く落しているか、ということを根本に立ち返って考えてみなくてはいけないんだよ。
家族の楽しい団欒の時間である夕食時のテレビで、殺人現場が生々しく報道されたりするけど、こういう非常識なことが当然のようにまかり通っているんだ」
勇二 「本当だな。テレビのニュース番組なんか見ていると、心が暗くなってくるよね。世の中には、いい出来事や善意の行為もいっぱいあるはずなのに、ニュースで流したり、クローズアップするのが、なぜ一握りの犯罪や事故ばかりなのか、よくわからないよね。まるで「犯罪や事故じゃなきゃ、ニュース・バリューはない。報道する価値はない」と言わんばかりだよね。
むごい犯罪が一件起きることもそりゃ悪いことだけど、その一件の凶悪犯罪を朝から晩まで日本中に流し続けて、人々を暗い気持ちにさせていくのも、バランス感覚を欠いてるっていうか、そのこと自体どこかおかしいんじゃないかと思うな。マスコミの人たちは「起きた以上、自分たちには報道の義務がある」とか言うだろうけど、報道する内容の「取捨選択」とか「ウェイトづけ」には、やっぱりバイアスがかかってるんじゃないのかね」
正太 「世の中全体をみれば、悪い事件や事故はいくらでもあるんだけど、問題なのは、「それをどう扱うか」ということにあるんだよ」
勇二 「同じ犯罪にしても「人を殺して首をちょん切った」とか「遺体をバラバラにした」とか、猟奇的なものやスキャンダラスなものほど大きく取り上げるよね。それで何日か大騒ぎするけど、次に何か起きると、「今までのは何だったの?」というくらい、パタッと取り上げなくなって、次のに移っていくんだね。
「事件が重大だから」とか言うんだろうけど、結局は「どれだけ刺激が強くて目を惹けるか」が報道の基準になってるんじゃないのかね。視聴率をどれだけ取れるか、とかさ」
正太 「日本に一億人以上の人が住んでいれば、殺人のようなこともどこかで起きるだろうし、悪い事件というのはいつの時代にもあるんだよ。
問題なのは、それをセンセーショナルに大きく取り上げて、さも「世の中は悪い事件ばかりで狂乱している」かのように印象づけることなんだ。マスコミの報道を見ていると、同じニュースを繰り返し報道するから、だんだん洗脳されてしまって、「世の中は犯罪や悪人ばかりが満ち満ちている」という暗黒思想が染みこんでしまうんだ。
これに負けてしまうと、暗黒思想がもっと強くなってそれに支配されてしまい、「他人を見れば泥棒と思え」といったことになりかねないんだよ」
勇二 「なるほどね。暗黒面ばかりクローズアップして、「どうです皆さん。世の中こんなに暗いですよ。こんなに悲惨ですよ。こんなに悪人たちが闊歩してるんですよ」とやるわけだね。そういうエグいアプローチで読者や視聴者の心を刺激して、商売につなげていくわけだ」
正太 「マスコミには「事故好き」「犯罪好き」という地獄体質があるんだね。そうしたものばかり好んで取り上げたがる嗜好があるんだよ。
悪い出来事についての情報も「人生でつまずかないための注意や警告」という意味での知恵の部分はあるから一概には否定できないけど、やはり公平な取り扱いとトータルのバランスが必要なんだよ。
というのも、職業の本質というのは「ユートピア建設への貢献」にあるからなんだね。マスコミの人たちは、「積極的に世の中を明るくし素晴らしくしていく報道とは何なのか。言論とは何なのか」ということを、価値判断の基準に据えて仕事をするべきなんだ」
勇二 「なるほどな。「人生の目的」は「魂の修行(魂を磨き高めること)」だけど、「人生の使命」は「ユートピア建設」だからね。「職業」っていうのは、その具体化なわけだ。単に「お金が儲かりゃいい」ってわけじゃなくて、「ユートピア建設」に貢献することが、仕事の本質だからだよね。
メーカーに勤めてる人も、お店屋さんをやってる人も、お百姓さんも、漁師さんも、みんな職業を通して「人々の幸福増進」「理想社会の建設」に貢献してるわけだ。
じゃあ、マスコミの人たちは、一体どんな仕事をすることが「人々の幸福増進」「理想社会の建設」につながるのか。この原点にいつも立ち返らないといけないよね。ここを外していくら売り上げだけ上げても、地上人生という試験には合格できないよね。
他人のゴシップやスキャンダルをほじくったり、中傷記事を垂れ流すことが、自分たちの使命じゃないはずだよね。マスコミの人たちにだって、生まれてくるときに誓ってきた、あるいは、あの世に還ったときに「自分はこういうことをしてきました」と胸を張って誇れるような、もっと尊い使命があるはずだよね」
正太 「それから、マスコミの暗黒思想についてもう一つ代表的なものをあげておくと、「政治家イコール悪人」という「政治家性悪説」もそうなんだね。マスコミは、お金の問題にからめて「とにかく政治家は汚い」というイメージを中心にキャンペーンを展開してるんだけど、これも一種の「暗黒思想」なんだよ」
勇二 「テレビの街頭インタビューなんか見てても、政治家っていうと「自分たちの金儲けのことしか考えていない」とか「腐りきったどうしようもない連中だ」みたいなコメントが多いよね(局側の編集もあるんだろうけど)。バラエティ番組に政治家が出てきても、「うかつに共感しちゃいけない、いかがわしい人たち」って扱いだよね、芸能人たちからも。
まあ、マスコミ自体がそうした方向で報道してるし、テレビなんか見てたらそうした見方に染まっちゃうだろうね」
正太 「お金儲けがやりたくて政治家になる人はいないんだね。これは自民党から共産党まで同じなんだよ。政治家になる人というのは、党派や理想の違いはあっても、「国をよくしていきたい」という思いを持って、政治の世界に入ってきていることは事実なんだ。お金儲けがやりたければ、もっと違う世界があるわけで、政界というのはそうした世界じゃないんだよ。
昔から「井戸塀議員」といって、たいていの場合は、選挙に出て大金を使ってしまい、井戸と塀だけが残るような議員が主流であって、それは今でも変わらないんだ。落選した場合は借金を返せない状態になるのが普通なんだよ。
政治にお金がかかることは事実だし、選挙や事務所の運営、秘書等の雇用を含めると億単位のお金がかかるものなんだ。だから国からの歳費だけでは足りない面があるんだけど、そうした事実を公平な視点でマスコミが報道したり国民に問題提起することはまずないんだね(最近マスコミは政治資金に関しては「入り」のほうはつつきづらくなってきたので、「出」のほうをしきりに問題にしてきてるけどね。政治家とお金の問題については、別途テーマを設けて論じる必要があるだろうね)」
勇二 「マスコミにすれば、政治家っていうのは、「悪役」としての配役がカッチリ決まってるんだろうね。「金儲けしか念頭にない悪代官たち」というイメージから外れるような報道はやりたくないんじゃないのかな」
正太 「「日本の国自体が悪人たちに占拠されて、いいように壟断されている」という報道ばかり流して、国民がそう信じ込み始めたら、日本という国は絶対に悪くなっていくしかないんだよ。
たとえば、自分の子供に「おまえはダメな子だ」というような悪いことばかり言ったら、その子は良い子にはならないし、「おまえの学校の先生は悪人しかいない」ということばかり子供に吹き込んだら、勉強ができるようにならないのと同じなんだね。
ましてや、国民が投票によって選んでいる政治家たちが、悪人や盗賊の集まりなら、そんな国に住んでいること自体が恥だし、そういう人を選んでいる国民自身が大きな恥なんだね。
こうした見方は根本が間違っている、ということから認識しないといけないんだよ」
勇二 「悪人たちに国の中枢を乗っ取られてるなんて思うと気持ちもめげるし、国民のほうも「上はもっと悪いことをやってるじゃないか」なんて、自分の悪を正当化したり棚上げしやすくなるかもしれないね」
正太 「今言っていることは、現代の政治家をことさら美化しようとか持ち上げてるわけじゃなくて、「政治家に対するマスコミ報道は、最初からバイアスがかかっている」「公平さが欠けている」ということなんだね。
政治家の中にも、金塊をためこんでたような人はいたし、死んでフタをあけたら、国の政治を曲げながらごっそりお金を儲けていたため地獄に堕ちているような人もいるけど、そうしたことはあくまでも個々人の問題であって、その点は一般の人と事情は変わらないんだね。ことさら、「政治家という人種」イコール「悪人」というレッテルを貼るのはおかしいということなんだ(まあ、地獄に堕ちている比率は一般の人よりはちょっと高めのようだけど、これには、軍人なんかもそうだけど、職業的に天国・地獄の振幅が激しくなりやすいという面もあるし、それでもマスコミ関係者ほど高くはないこともはっきりしているんだよ)。
マスコミがやらなきゃいけない大切なことは、政治家を単に「悪く見る」ということじゃなくて、「個々の政治家の実績判定をフェアにやる」ということなんだ。その際、大事なことは「国益にどれだけ寄与したか」という観点から判定することなんだよ」
勇二 「ふーむ。「この議員は、こういう法律の立法化に努力した。その点は評価できる」とか「この政治家はこういう外交を展開したが、この点で国益を損なった」とか、あくまでも政治家としての活動実績を評価するわけだね」
正太 「今は、政治家の仕事自体に対する判定は少なくて、仕事以外の「スキャンダル系統の追求」が多いのが現状で、ほんとに情けない限りなんだよ。その主たる原因は、記事を書いているマスコミ人に政治についての勉強や知識が足りないということ。結局、自分たち自身が「よく分からない」ので、どうしてもワイドショーのような論調や切り口でやらざるをえなくなるんだよ」
勇二 「「要するに金に汚い人たちなんです」という定番メニューでやるわけだね。結論がそれなら国民にも一番わかりやすいしね」
正太 「それと、マスコミは政治課題の重要度についての判定ができないから、どうしても枝葉末節のほうに走っていく傾向があるんだね。国家として喫緊の課題、優先順位の高い問題をなおざりにして、瑣末なことで大騒ぎしていく傾向があるんだ(これについては、政権の打ち出す方向性が自分たちの考えに沿わない場合、意図的に論点をスリかえて騒ぐ場合もあるんだけどね)。これなんかも国政の運営にきわめて大きなダメージを与えているんだよ。
いろいろ述べてきたけど、マスコミは、犯罪や事故ばかり拡大視して報道したり、「自分たちの国は悪人たちに牛耳られている」という歪んだ見方を流すことによって、国民の不安や不信を煽っているんだね。こうした「暗黒思想からの決別」も、マスコミに課せられた大きな課題なんだよ」