表相は方便

我々の生活の上に襲いかかるものは、それには真実なものがない。
仮相と言うべき、実態のないものである。
それゆえに、こうした表面的な事柄という表相は、方便でしかない。

表相に現れるる裏には、実相がある。実態がある。
それ故に我々は、表面に現れる表相にうろちょろせずに、それは方便的なものと知り、その方便的なものが示す背面の実相と実態を知ろうと努めなければ゜ならない。

人生には辛苦の連続と言っていい、四苦八苦が充満する。
だがこの四苦八苦は、我々を人間として鍛えなさしめるものは、これを置いて他にはない。
それ故に四苦八苦は「方便」なのであり、この四苦八苦によってもたらされ忍耐によって得られるものが、方便の意味するものとなる。

もっとも、こちらがこの方便を用いたとしても、相手が方便として受け取らない以上、ただの四苦八苦でしかなくなる。