社会不安障害:SAD、ボランティアとセカンドライフ

SADで会社を休職したが、一年で復帰し、無事定年を務めて、その後の生活とボランティアについて気ままに掲載中

野沢尚(のざわひさし)『破線のマリス』

2008-06-13 09:40:12 | 趣味(読書)

東野圭吾『鳥人計画』を図書館に返却に行き、篠田節子「ハルモニア」の時同様に、ふと目に止まった書籍ですが、この野沢尚氏の書籍を読むのは始めてです。第43回江戸川乱歩賞受賞作と言う事で、氏のコーナーの他の書籍に目が止まったのだが、その書籍の中の紹介でこの作品を知り、先に読む事にした。

さて、この作品も篠田節子「ハルモニア」と同様にTVか映画になっていそうな面白さがあったので調べて見ると、案の定、既に映画になっており、ビデオ・DVDが販売されていた。

映画『破線のマリス』

・第12回東京国際映画祭正式出品作品
・第29回ロッテルダム国際映画祭正式出品作品
 1999年/カラー/ヴィスタ・サイズ/DTSサウンド/1時間48分

・主演:黒木瞳・陣内孝則
 山下徹大・筧利夫・白井晃・篠田三郎・中原丈雄・鳩山邦夫
 中村敦夫・秋本奈緒美・大場久美子・辰巳琢郎(友情出演)・中尾彬
・監督:井坂聡


上記の様に豪華キャストで、主人公役に黒木瞳と言うのは、これもはまり役かなと思った。

実は以前にも記載したが、図書館には膨大な書籍があり、とてもではないが、読みきれないので退職後の楽しみに残して置く事に一旦はしたのだが、またふつふつと本の虫がさわぎ、東野圭吾を読み始め、今度また新しい作家を見つけてしまった。本の偶然なのだが・・・。しかも野沢氏+αで・・・。
従って、近い内にまた新たな作家の書籍を紹介する事になると思う。

遠藤遥子は、ジャーナリズムつまりTV局でその放映される報道番組の5分間の為に、そのテープ編集に全てを捧げ、結果視聴率を確実に稼いでいたが、逆にそれを利用されてはめられ、犯人ではない人物をあたかも犯人のように報道してしまい、結果その郵政官僚は破滅に向かい、最後喧嘩状況の中、その男を工事中のホールに突き落としてしまう。警察に自首する前に彼女自信がナレーションも含め、編集した放送が、最後に流される。自分の生い立ちから、事故で殺すに到った背景までも話し、最後に「ここに映っている私を信じないで下さい」と・・・。

※本当の犯人が誰かは、明らかにされなかったが、罠にはまった遠藤遥子と犯人にされた麻生公彦の家庭環境と仕事環境を生々しく描写しながら、ジャーナリズムの危険な考え方が主流に流れてはいる。とは言っても私的にはやはり生きる目的に付いて考えてしまい、なかなか考えさせられる作品です。

破線のマリスA.jpg書籍名:『破線のマリス』
著 者:野沢尚(のざわ ひさし)
発行所:株式会社講談社
発 行:1997年9月11日初刊発行
定 価:1,500円+税
頁 数:縦一段組み315ページ 

<著者紹介>
1960年、愛知県生まれ。日本大学芸術学部卒。1985年、テレビドラマ「殺して、あなた」、映画「Vマドンナ大戦争」で脚本家デビュー。その後、映画「その男凶暴につき」、ドラマ「恋人よ」など、多くのヒット作を手がける。

<著者紹介ハードカバーの帯の紹介> 

テレビ報道の内幕を抉る(えぐる)サスペンス最高傑作!
本年度江戸川乱歩受賞作
ニュース番組を作り上げる独身編集ウーマン。
彼女を待ち受けていたのは自らが仕掛けた映像の罠だった・・・。

<主要登場人物>

  1. 遠藤遥子(ようこ):首都テレビの契約社員。プライムタイムの報道番組『ナイン・トゥ・テン』の高視聴率を稼ぎ出す「事件検証」の右に出るものの入ないテープ編集者。若くして結婚し、子供をもうけたが、夫と息子(淳也)と別れ、必死に「事件検証」で生きるために、戦う。
    春名誠一の内部告発のテープから、容疑者ではない麻生を、容疑者に仕立てる編集で、麻生を容疑者にしてしまった。これにより麻生は、家族からも逃げられ、左遷も決まり、麻生からのしつこい強迫や隠し撮りビデオ等の送付を受ける事になる。結果事故で麻生を殺害してしまう。自首後、自分をずっと隠し撮りしていたのが、自分の息子の淳也で有る事を知る。
  2. 赤松:首都テレビの担当ディレクター。つまり瑤子の上司にあたるが、通常は瑤子が独断で全て先行している。
    常に、瑤子の力になり、最後まで瑤子を守ろうとする。
  3. 春名誠一:郵政省・放送行政局・電波管理課・次席と名乗って、内部告発テープを瑤子に渡すが、実際は、郵政省の人間ではなく、瑤子を利用して、隠し撮りしたビデオテープを渡し、瑤子の編集を逆手に取って、浅生に罪をなすりつけようとしていた。
    実際は、借金に負われ、受取人が夫人の保険金を自分に掛け、殺されてしまう。
  4. 淳也:瑤子の実の息子。 父親の再婚後、母親つまり瑤子と会う事を禁じられたが、代わりに瑤子を見続けるが為に瑤子の殺人現場をビデオに収めてしまう。
  5. 麻生公彦:謀略にはまり、結果的に瑤子に犯人に仕立てられ、家族からも仕事上も破滅していく中で、瑤子に謝罪を求めるが、最後瑤子に詰めより、突き放された事で工事のマンホールに落ち亡くなってしまう。  
  6. 森嶋一朗:首都テレビのチーフディレクター。瑤子の上司ではあるが、瑤子を快く思っていない。

※1 なお題名の『破線のマリス』の破線はTVの走査線・つまり切り刻まれた映像を、マリスは悪意を指します。
 切り刻まれた映像を組み合わせる事によって悪意を持った放送をしてはならないと言う事になるかと思います。

※2 実際は、経費削減の為に孫孫孫会社へ支払いが減っており、結果捏造となっているのかも知れませんが、それとは別にして、この小説も面白かったと思います。

※3 DVDが有るかが問題だが、多分レンタル屋に行けばあるのだろう。
将来は、図書館でDVDも扱って欲しいと思うが、これはレンタル屋さんとの問題もあるので、あまり強くは言えない。

 


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