松岡圭祐『霊柩車No.4』以来の氏の作品となる(と思う)。氏の作品は、ほとんど読んでしまい、後は新しい作品がいつ出るか?それだけを待っていた。
昨年、朝日新聞に新刊案内の広告が掲載されていた。ふと見るとこの作品『万能鑑定士Qの事件簿』だった。最もこの作品はシリーズ物らしくⅣだった。つまりⅠ~Ⅲがあると言う事だ。私としては迂闊と思いながら、かといって今更書店に駆け込んでもないだろうなと思い、図書館にダメもとでこのシリーズを申し込んだ。もちろん奥様に頼んで・・・。
そうしたら何と、あったⅠ、Ⅱが。そして一週間もしない内にⅢとⅣも借りる事ができた。と言う事で今回一挙に『万能鑑定士Qの事件簿Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ』の紹介とする。なおⅠ、Ⅱは続き物の前半後半の作品だ。ⅢとⅣは一巻で完結。
今回のスーパーヒロインとなるのは、凛田莉子。日本最南端の沖縄の島「波照間」に育った自然系の勉強が全くできなかった劣等生。島をなんとかしたい思いで働く先も決めずに上京し、そこで大手リサイクルショップのオーナー瀬戸内陸と出会う。莉子の余りの純粋さに、元牧師を目指した陸は触れ、リサイクルショップで扱う様々な商品の鑑定ができる様に勉強の仕方を教える。そして莉子は、余りにも感受性が高く純粋だった為に、陸から教えられた方法を実践する事で、その能力を極限まで開花させて行く。わずか数年で・・・。と言うのがスーパーヒロイン万能鑑定士Q凛田莉子の誕生秘話だ。(チョット簡単すぎるかも知れないが)
本来これを最初に説明してしまうと面白くないかも知れない。しかし話の概要からするとそうだ。この生い立ちと以下の事件が、行ったり来たりで章ごとに絡み合って話が展開される為、複雑に思われる方がいるかも知れない(ⅠとⅡ)。実際、奥様は、このパターンは好きではないようで、現在と過去が章毎に、交互に展開されると読みづらいと言っていた。
そして、不思議な事件が発生する。都内のガードレールに”力士シール”と言う得体の知れないシールが貼られるようになる。これに関心を持った週刊角川の記者小笠原悠斗。この力士シールの謎を解く為に、万能鑑定士Q凛田莉子を訪ねる。と言うのが始まりと言うか、以降この万能鑑定士Q凛田莉子と小笠原悠斗とそして凛子を手伝う早稲田大学理工学部物理学科の準教授氷室拓真と言った所が、主役だろう。
このシリーズ作品も本当にあっと言う間に読める娯楽作品です。この作品も楽しく読んで「千里眼」シリーズの様にスカーとしましょう。
但し一言注意があるとすれば、決して深く考えない事。そうそんな馬鹿な等思ってはいけない。そこはさらっと読み進んでください。ⅠⅡで完璧な偽札が現れるが、これも真面目に考えれば、そんな馬鹿なあり得ませんとなるし、これぐらいでハイパーインフラにはなりません。そうはならないところがなる事にエンターテインメントがある。だから氏の作品はエンターテインメントなのであって、ゲームの様に考えるべき作品と思う。
最後に、千里眼(一作目:最近読んだ本3(松岡圭祐))との比較をして見る。実は比較をするまでもなくこの万能鑑定士Qの事件簿(ⅠⅡ)は、そのシナリオ展開と構成が同じだ。もちろん同じ作者なのだから当然となる。そう思って先(終わり)を予測して見るのも面白いかも知れない。
もちろんⅢもⅣも途中から落ちが推定できてしまったが。そうは言ってもあり得ないトリックがどうやって組み立てられているのかそこが、このシリーズの面白さだろう。既にⅣの最後に次の予告が掲載されていたのでとっくに万能鑑定士Qの事件簿Ⅴ(2010年8月25日)が発売されているだろう。
千里眼 | 万能鑑定士Q | |
スーパーヒロイン | 岬美由紀 航空自衛隊で女性初の戦闘機乗りで、男性以上の武芸の達人、多言語を話し、豊富な知識、そして友里から伝授された心理学の実践により、自らも千里眼となる。 |
凛田莉子 沖縄南端島育ちの自然系劣等生。感受性が高く、純粋な為、勉強する方法を習得する事で、その能力を開花。世の中の多くの知識をまる毎覚える事で、それを利用して分析する。 |
スーパーヒロインを育てた人(犯人) | 友里佐知子(千里眼) 東京晴海医科大学付属病院院長 臨床心理士であり脳神経外科の天才、心理学の天才。 |
瀬戸内陸 大手リサイクルショップ、チープグッヅの社長。牧師になって人助けをするのが夢だった。その為にリサイクルショップで人助けをする。 莉子の純粋さにひかれ、学習する方法を教える。 |
パートナー(刑事、他) | 警視庁捜査一課の蒲生誠 嵯峨敏也 |
週刊角川の記者小笠原悠斗 早大理工学部準教授氷室拓真 |
不思議な事件(事件への布石) | 茨城の古寺が爆発炎上。 東京湾観音へ多くの人が・・・。 |
東京23区に得体のしれない”力士シール”が貼られていく。 見分けがつかない偽札の登場 |
※上記の表を書いてしまったので、少なくとも??の落ちは読めてしまうかも知れません。
書籍名:『万能鑑定士Qの事件簿Ⅰ』 東京23区を浸食していく不気味な”力士シール”。誰が、何のために貼ったのか? 謎を追う若手記者・小笠原は、猫のように鋭く魅惑的な瞳を持つ美少女と出会う。凛田莉子、23歳ーー瞬時に万物の真価・真贋・真相を見破る「万能鑑定士」だ。信じられないほどの天然キャラで劣等生だった凛子は、いつどこで広範な専門知識と観察眼を見につけたのか。稀代の頭脳派ヒロインが日本を変える!書き下ろしシリーズ第1弾!! |
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書籍名:『万能鑑定士Qの事件簿Ⅱ』 『週刊角川』記者小笠原は途方に暮れていた。わずか2日で、コンビニの弁当は数千円から数万円に、JRのひと区間は九千円以上になり、いくら金があっても足りないのだ。従来のあらゆる鑑定をクリアして偽札が現れ、ハイパーインフレに陥ってしまった日本。だが、まだ万能鑑定士・凛田莉子の鑑定がある!パーフェクトな偽札の謎を暴き、未曾有の危機から国家を救うことができるのか!?書き下ろし「Qシリーズ」第2弾! |
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書籍名:『万能鑑定士Qの事件簿Ⅲ』 人気ファッションんショップで、ある日突然、売り上げが落ちてしまう。いつも英語は赤点の女子高生が、東大入試レベルのヒアリング問題で満点を取る。この奇妙な事象をともに陰で操っていたのは、かってミリオンセラーを連発した有名音楽プロジューサー・西園寺響だった。借金地獄に陥ちた彼は、音を利用した前代未聞の詐欺を繰り返していた。凛田莉子は鑑定士として機知の限りを限りを尽くして西園寺に挑む。書き下ろし「Qシリーズ」第3弾! |
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書籍名:『万能鑑定士Qの事件簿Ⅳ』 希少な映画グッズのコレクターの家が火事になり、プレミア品の数々が灰になった。翌朝、やはりレア物のパンフレットやポスターを扱う店が不審火で全焼する。連続放火魔の狙いは、かって全国規模でヒットを飛ばしながら存在を封印された1本の邦画だった。ミリオンセラー『催眠』の主人公、カウンセラー嵯峨敏也が登場、凛田凛子との初顔合わせを果たす。頭脳明晰な異色コンビが挑む謎とは? 書き下ろし「Qシリーズ」第3弾! |
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