社会不安障害:SAD、ボランティアとセカンドライフ

SADで会社を休職したが、一年で復帰し、無事定年を務めて、その後の生活とボランティアについて気ままに掲載中

野沢 尚『魔笛』

2008-08-24 13:37:26 | 趣味(読書)

野沢 尚『リミット』野沢 尚『リミット』その2(私的概要)に続き久しぶりの野沢氏の作品紹介です。今回も不思議な女性が主人公(殺人犯)となっており、それを追い詰めていく一人の巡査部長との闘いと言うなかなか面白い作品でした。

最近の悪質というより、既に人間を捨てた様な事件が発生している事を考えると、今回の作品は、オウム真理教等の信仰宗教と赤軍派等による別の意味での考察と、日本の国家としての警察とその内部公安との意味付けを考えさせる作品であり、どちらかと言うと、今回登場する新興宗教メシア新道やそのテロの女性が怖いというより、警察権力の方が怖いことを連想させる作品なのだと思う。所詮、テロが怖いというより、国家権力が最大の課題であり、問題である事を示す作品の一つだと勝手に独断と偏見で解釈した。最近の行政や政治を見ていると、確かに事件を起すのは個々の人々に問題はあると思うが、その大半の背景は国家の責任ではないのかという気もしてくるが?

魔笛A.jpg書籍名:『魔笛』 著 者:野沢尚(のざわ ひさし) 発行所:株式会社講談社 発 行:2002年9月20日初刊発行 定 価:1,700円+税 頁 数:縦一段組み363ページ

<ハードカバーの帯の作品紹介>

白昼の渋谷。無差別爆破テロ。犯人だった

「狂気」を極限まで描き尽くす、作家・野沢尚の到達点。渾身の書き下ろし。

公安と新興宗教のはざまで産み落とされ、首都を爆走する未曾有の恐怖。 警察をあざ笑うかのようにテロを仕掛け続ける女が求めるのは、罰か。救いか?悪魔的な頭脳で日本を恐怖に陥れた彼女を、若き刑事と、その獄中の妻が追う。

--------------------------

この作品は、警視庁渋谷署刑事課の鳴尾良助巡査部長に逮捕された最大・最悪で日本を震撼させたテロリスト「照屋礼子」が、ノンフィクションの自己分析の為に出版すると言う形で始まる。

「メシア神道」教祖坂上輪水に死刑判決が出された直後、渋谷スクランブル交差点でプラスティック爆弾C3が爆破され多くの死傷者を出す。 この事件に対し公安特別捜査班阿南威一朗や警視庁幹部の捜査本部が、渋谷署に設置される。現場で渋谷署刑事課の鳴尾良助はプラスティックの穴の開いた物を見つけるが、それがなにを意味しているか分からなかったが、爆発処理班の真杉が見つけた物つまり原型がビーズである事を突き止める。 このビーズにまつわる事件を調べると、刑務所にいる内縁の妻安住藤子の助言から照屋礼子が、犯人であると推定する照屋礼子は、公安警察として、メシア神道にもぐりこみ、官公庁爆破事件等の情報も提供しながら、メシア神道の輪水に、染まっていく。 元公安警察であるが為、全国手配ができない事を利用して、堂々と公安警察からの内部情報を得て、自分の残した証拠(ビーズ)から、自分に目を付けた渋谷署刑事課の鳴尾良助と安住藤子とのゲームに持ち込む刑務所の安住藤子へ刺客を送りながら、新たなおとりの事件(10億円の身代金)を企てるが、真の目的は、別の所にあった。

鳴尾は渋谷スクランブル交差点爆破事件でのビーズの意味する所(子供を殺し最後にオモチャを与える)という意味を理解し、ふと新聞の片隅に掲載されていた、テロ事件があるにもかかわらず、奥多摩(鳴尾良助の元勤務地)での研修施設に予備校の子供達が研修を受けている事を思い出し、照屋礼子のターゲットが、これだと予測する爆発処理班の真杉を呼び出し、現場に直行すると同時に、爆弾処理を真杉に任せ、無事爆発を回避すると共に、公安からの証拠隠滅の為の狙撃にもなんとか凌ぎ、鳴尾良助は照屋礼子を逮捕する事に成功する。

と簡単にまとめてしまっているが、鳴尾良助と妻、安住藤子との成り行きと説明は割愛させてもらった。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿