ねぎやんのしま人のたわごとパ-ト2

視覚障碍者、ねっしーのあれこれ日記・・・

下町物語

2009-02-15 22:52:49 | ノンジャンル
下の方のブログに書きましたが、神谷バーへ足を運んだ時に一緒にいた、隣のお嬢さんのおはなし。


彼女は、伊豆から若い頃、卒業と共に都会を目指してやってきました。

しかし、彼女に対し都会は厳しかったです。

その話しを聞く度に、彼女のその小さな身体のどこからそんなエネルギーが出てくるのかとても不思議に感じます、と同時に尊敬すら出来ます。


浅草で待ち合わせをした当日は小雨、とても寒い日でした。

「赤塔の下にいるよ」

「今行くね」


私は目が悪いので、そっちから見つけてと言ってありましたので、すぐに見つけてくれました。

しかし寒い・・・


そこから浅草寺へ


雷門をくぐり、本堂へ


ちゃりーん


パンパン


何をお祈りしたのかな?

オイラはまず
「目が治れ~」
今の目の前に憚る大きな壁ですから。
それと「結婚させろー」と小声で(笑)

さて、でも彼女はまだお祈りしています。

都会に出てきて沢山の辛い想い出が有るのでしょう。

そっと後ろから見守ってあげました。

「神様、追加注文聞いてね、彼女の願い、聞いてあげて」

そして私は振り向いて階段を降りました。


煎餅屋さん、おもちゃ屋さん、団子屋さんなど、仲店は相変わらずすごい人です。


「この店に寄っても良い?」

和紙を売っているお店です。
とても有名なのでご存じの方も多いかもしれませんね。

「これどうかな?」
「ちと寒そうじゃないかな?」
「そう、じゃこれは?」
「さっきのより良いな」


一体誰に書く便箋でしょうか?

私にでは無い事だけは確かです(笑)

そこから神谷バーへ


中は煙でモンモン、熱気でムンムンしていました。

我が家の父母もここで若かりし頃、一緒に飲んだと聞いています。

知人も良く来ているようですので会えるかな?


表には、完全に飲まれたおじさんと、若い女性がヘロヘロになっていました。


空きテーブルを探すも、どこも一杯です。

私が以前来たのは20年も前でしょうか?

とくになーんも変わっていませんでしたが、熱気の凄さに圧倒されました。


いっぱいなので断念し、向かいのビルで飲みましょう。

土曜の夕方、まだ人は誰もいません。

隅田川がやさしく流れていました。


「まっ、ビールでも飲むか」


カンパーイ

ビールの泡に、遠い昔のほろ苦さを感じつつ、目の前の女性のほのかな香りに酔ってしまいそうです。


彼女もひょっとしたら、遠い過去とオーバーラップさせて、今私といるのだろうかと、心の内を探りたくなります。


街を歩く酔っぱらいも、楽しそうに歩く家族連れも、そしてカップル達も、一見何も無い平穏に見える光景も、実はそこにたどり着くまでの、長い道のりを乗り越えて生きているのだろうな、きっと、そんな風に思います。


外見や普段の言葉だけでは分からない、人にはとても奥深い部分が隠されています。


彼女もきっとそうなんだろうな、でも今の俺にはまだ見えないや。

時折彼女がとても切なく話しかけます。
でも私には、まだ届きません。

自分の目がもっと悪くなって、もっともっと見えづらくなって、消えそうな空を見上げて
「いつまで青い空、俺に見せてくれるんだい?」

そんな事も言えなくなっちゃったら・・・


多分そんな時に人間は、本当の心を読む力が備わるのかな?

なんて思います。

まだまだ私にはそんな力は備わっていません。

でも、今の自分の心境は
どうすれば良いのでしょうか?


天に向かって叫んでみても、地に耳を当てて聞いても
そこからは雑音と言う返事しか帰ってきません。


あっそうか、その雑音も「言葉」に感じるまで、
もっともっと精進しろと言うことか?

隣の彼女は夢一杯にふくらませて、きっと過去を払拭してくれる何かを探し、迷い込んで、私の所へ迷い込んだのだと思います。


迷いが迷いでは無かったと思えたとき、きっと「夢」が実現する直前なのだと思います。

そこから先は・・・

神のみぞ知るですかね。


私も目の前の大きな壁を避けようと、どこかに迷い込んでいる真っ直中の気がします。


迷い込んだ者同士が浅草でぶつかった、そんな偶然もきっとこの先進むべき道への入り口なのでしょう。


今は逆らわず、迷い込んだ道を避けず、いつか心の目で見られるようになるまで、まだまだ苦難は多いですが、頑張って欲しいと思うのです。

まだまだ先は長いですから。


帰り際、彼女の後ろ姿を見て、いつまでも彼女の手の温もりを感じていたのでした。


とても寒い一日でしたが、ほんの少し、そこだけ暖かいランプが灯っていました。

きっと走馬燈ってこんな時、心に灯るのだろうな。

彼女の心にも灯ったのでしょうか?

幼い頃、枕元に灯っていた光

小さな物語でした。



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