雑草とは思えぬほどに美しく吉備野を埋めて姫女菀咲く
姫女苑白く群れ咲き幾万の細き花びら風に震はす
姫女苑と春紫苑の違いなど知らなくていいどちらも綺麗
道端で見かけた優しげな白いこの花はヒメジョオンですが、これとそっくりのハルジオンもあります。違いを調べてみるヒメジョオンの方が花期が長いこと、他にも僅かな違いがいくつかありましたが、今の時期は両方が咲いているのでよく見ないと見分けられません。でも私はどちらも綺麗なので違いなどはどうでもいいかなと思います。この優しげな白い花を見るたびに雑草にしておくには惜しいなあと思います。
ふと見つけ育ててみむと「四角豆」のポット苗買ふ雨の店先
小雨の中スーパーに出かけました。ふと店先に並んでいる花や野菜のポット苗の中に「四角豆」をみつけました。この豆は沖縄地方では「うりずん」と言い、莢も葉も根も食べられるのでグリーンカーテンとして最近人気があるそうです。友達から実を戴いて食べたことはありますが、育ててみたいと思っていたところだったのでさっそく買って帰り植えました。苗は３本あったのでたくさん実がつくのではないかと楽しみです。
朝庭にスナップエンドウ三個採る共に元気を感謝しながら
収穫のスナップエンドウ手の平にみづみづとして翠（みどり）耀ふ
今朝、庭に出来たスナップエンドウを大きいものから順に３個だけ採りました。普通の豌豆に比べこの豌豆はぷっくりとしていて、莢まで食べられので私の大好物です。収穫してみると瑞々しい緑がまぶしいほど綺麗で、手の平に確かな重みを感じました。エンドウが元気に育ってくれ、私も元気で収穫出来ることにつくづく感謝した朝でした。エンドウをを育てて収穫するのは初めての経験だったのでけっこう感動しました。
朝庭に紋白蝶の飛ぶごとく豌豆の花ふはりと咲けり
一本のみ育ちし庭の豌豆が数個実のるも食べられずゐる
豌豆の苗を買って来て四本植えたのに、なぜか次々枯れて１本だけ育ちました。そして５月１７日にやっと蝶のような可愛い白い花が咲きました。その後は次々咲いて今では実を数個ほど付けています。採って食べようと思うのですが、初めて自分で育てた豌豆はもったいなくて食べられません。でも硬くなるので明日は塩茹でにていただくことにします。
万緑の吉備高原に彩々の鯉を泳がすはつ夏の風
鯉幟を最初に上げし古（いにしへ）の和人の豊かな感性思ふ
これは先日の吟行会に行くバスの窓から撮ったものですが、万緑の吉備高原の中を元気に泳ぐ鯉幟が今も忘れられません。この辺ではもう片付けられているので、この時期に見る鯉幟はめずらしく、しかも緑の高原の中を元気に泳ぐ様子はとても綺麗でした。江戸時代に始まったといわれる日本伝統の鯉幟は、夢や願がいっぱいに籠められていてほんとに素敵です。やはり日本人の感性は素晴らしいなあと思います。
政界はなほ霧の中アメフトの二十歳の会見真つ直ぐ届く
先日の日大アメリカンフットボール部の宮川選手の記者会見はおそらく多くの人の心に届いたことと思います。それは一つ一つの言葉や態度が真剣で、人生をかけた覚悟の会見だったからだと思います。それに引きかえ国会の証人喚問はどうでしょう。あれでは何度やっても意味がありません。今も森友学園や加計学園の件は不信を深め続けています。この若者のように真実を語る勇気のある大人は居ないのでしょうか。
遠き日におやつとなりしゆすらうめを雨の道辺に懐かしく見る
梅よりもさくらんぼよりも小さくて赤い真珠のやうなゆすらご
先日、小雨の中を歩いていて見つけた「ゆすらうめ」の実です。小さいころ生家の庭にいっぱい生っていて、おやつとして食べていたことを懐かしく思い出しました。小さな丸い赤い実が甘酸っぱくて美味しかったことを覚えていますが、生家に今はもうありません。よく観ると梅には似ていないの何故「ゆすらうめ」と呼ぶのか不思議です。むしろ「さくらんぼ」に似ているかな？いやいやそれよりまだ小さくて赤い真珠みたいだと思いました。ちなみに「ゆすら」とか「ゆすらご」とも言われているようです。
狭庭辺にところ所狭しと古里の茗荷と蕗が青く茂れり
さ緑の傘のやうなる葉を広げ雨音はじく古里の蕗
梅の木の下は茗荷と蕗がところ狭しとはびこり、競争するように日に日に伸びています。どちらも生家から株を持ち帰って植えたものです。蕗はもう３回くらい食べましたが食べきれないので、きゃらぶきにでもしようかと思っています。雨が降ると傘のような蕗の葉から雨音がかすかに聞こえてきてなかなか風流です。夏になると茗荷も食べきれないほど出てくるので忙しくなりそうです。
今日の日の小さき幸せじゃが芋ととまとが雨の朝庭に咲く
じゃが芋は薄紫にトマトは黄に星の形に咲きて煌めく
今日は雨でしたが、朝起きて庭を見るとじゃが芋の花ととまとの花が並んでけなげに咲いていました。じゃが芋は薄紫の花びらに大きな黄色の蕊があり、とまとは黄色ですがこれまた大きな蕊を持っています。野菜であってもどちらの花も小さい星型の花が集まってとても綺麗です。まるで紫色と黄色の星がまたたいているようで、見ていると幸せな気分になりました。いつ収穫できるか今から楽しみです。
吉川の八幡宮に千年を生き来し木々は何見て来しか
次は本殿が国指定重要文化財になっている吉川八幡宮に行きました。ここは平安時代中期に創建され、その後何度も修理を重ねられてきています。しかし周りの木々は当時から自らの力で生き抜き今堂々と境内に繁っています。ここの杉の木の皮はこの八幡宮の屋根の葺き替えに使用されて来たそうです。1000年近くを生きぬいて聳え立つ木々を見上げて人間の命の短さを思いました。そしてこれら木々はどんな人間の営みを見て来たのだろうかと思いました。
