友くれし桜は壺に咲きたれど誘ふ風なく散るを知らざり
先月の歌会に蕾のいっぱい付いた八重桜の大きな枝をたくさん持って来てくださった人がいました。みんな喜んでいただいて帰りました。麦と一緒に壺に挿しておいたところすこしずつ咲き始めそれはみごとに爛漫としだれて咲いてくれました。でも今は盛りを過ぎたので散るのかと思ったら、なんと椿のように一花、二花と落ち始めました。風がなければ散れないのですね。大発見でした。
友くれし桜は壺に咲きたれど誘ふ風なく散るを知らざり
先月の歌会に蕾のいっぱい付いた八重桜の大きな枝をたくさん持って来てくださった人がいました。みんな喜んでいただいて帰りました。麦と一緒に壺に挿しておいたところすこしずつ咲き始めそれはみごとに爛漫としだれて咲いてくれました。でも今は盛りを過ぎたので散るのかと思ったら、なんと椿のように一花、二花と落ち始めました。風がなければ散れないのですね。大発見でした。
帰りたる車の屋根に桜蕊春の名残りとしばし乗せをく
桜の木の下に車を止めていたため、帰って見たら屋根の上に桜の花びらならぬ、桜の蕊がいっぱい落ちていました。花びらはもう終わって蕊が降っているのです。よく見ると愕が赤い星のようで結構可愛いです。もうすぐほとんどの桜が終わって、青葉の季節がやってきます。洗車しようとしましたが、春の名残りのような気がして、せめて一日だけでもこのままにしておくことにしました。
片喰はアスファルト割り出でて来て小さなちいさな黄の花咲かす
今日調べて知ったのですが「かたばみ」は漢字で「片喰」と書きます。これはどこでも見かけるありふれた雑草ですが、小さいので真剣に見る人は少ないでしょう。ところがそれがものすごく逞しく、写真のようなアスファルトの隙間からでも芽を出し、平気で花まで咲かせます。水も栄養も全くないところなので、葉の色も悪く花はほんとに小さくて7,8ミリくらいしかありませんが、黄色でとても可愛い花です。
花毬となりて悲しき八重桜おのが重さに耐へて揺れをり
どうですか?桜に見えますか?これは正真正銘の八重桜なのです。こんなに大きな花の毬になって重そうに揺れていました。あまりの美しさに見とれていたら、こんな声が悲しそうに聞こえてきました。「これ以上もう太れません! だけどこんなに太ってしまってどうしよう! 風で揺れるたびに重くてたまりませ~~ん。ダイエットしなきゃあ!!」
仁和寺に和服装ふアベックの日本女性と外人男性
やはり京都は着物の本場です。嵐山でも若い女性が3,4人連れだって和服で歩いているのに出会いましたが、仁和寺では和服を装った可愛らしいアベックに出会いました。どちらもまだ十代のように見えましたが、なんと男性は外国の人でした。色白で長身の彼に紺色の和服と白い帯が似合ってとても可愛らしかったです。それで振り返って後姿を撮らせてもらいました。ごめんなさい!
ネックレスにしてくださいと白浜に拾ひし貝がわれにささやく
浜辺にて友達と拾った貝です。どれもそれぞれに美しい模様を見せています。「自然は造形の師匠」と言ったのは確か北斎だったと思うのですが、ほんとうにそうだとつくづく思います。どのように並べてもすべての貝がみごとに調和します。これなら繋ぎ合わせるとすばらしい芸術的なネックレスが出来そうです。是非作ってみようと思います。
仁和寺の庭に咲きゐる御衣黄の薄き緑が神秘に光る
少し遅れて咲く御衣黄(ぎょいこう)と呼ばれる桜です。仁和寺で二本に見かけました。どちらもまだ若い木でしたが、枝先までいっぱいに咲いて枝垂れていました。御衣黄といえば淡い緑色の花として知られていますが、見れば見るほど花としては不思議な色だなと思ってしまいます。それだけに神秘的で高貴な桜といった感じです。だから御衣黄という名も付いたのでしょう。
仁和寺の御室桜の残り花ちさき背丈で慰めくるる
次いで世界遺産の仁和時に行きました。ここには有名な御室桜があり、これは遅咲きだということなので期待して行ったのですが、残念でした。やはりもう散っていました。それでもあちこちに残花があり、遠くからわざわざ訪ねてきた私たちを慰めてくれるようでした。この桜は背丈が低いのが特徴で、その理由はよくわからないということですが、ほんとうに低くて不思議な感じがしました。
渡月橋を姉と渡れば桂川白く流れて瀬音清しき
次の日は京都に入り嵐山・嵯峨野めぐりでした。ここでは姉と二人で行動しました。渡月橋より眺める桂川の水は白い小さな水しぶきをあげて、たゆまなく流れていました。耳をすませば瀬音が聞こえてきました。山峡で育った私には久しぶりに聴く懐かしい古里の音でした。春にしては汗ばむような日でしたが、ふっと清々しい気持ちにしてくれたひと時でした。
旅先の未知なる出会い黄に咲ける南紀の浜の名も知らぬ花
旅の楽しさと言えばやはり未知なるものとの遭遇でしょう。コスモスを小さくしたようなこんな小さな黄色い花に出会いました。浜辺の山影にひっそりと咲いていました。キツネノボタンやジシバリに似ていますが、花びらの形や数が違います。一緒にいた友だちも分からないと言っていました。これもまた今回の旅の未知なるもとの遭遇の一つです。