愛犬耳袋

 コーギー犬・アーサーとの生活と喜怒哀楽

受け継ぐ命

2006年09月16日 | 仔猫




 しょっぱなからデカい鼻ですみません。練習の結果、「THE DOG」風の一枚が撮れたもので。

 先日、里親さんから愛犬の名前を聞かれた。
「保護のいきさつ」にも書いたが、そもそも仔猫2匹を保護するきっかけになったのは、散歩中の愛犬がダンボールに潜む命を発見し、どうしてもつれて帰れと横に張り付いて動かなくなったからである。

 愛犬の名はアーサーと言う。犬種はウェルシュ・コーギー・ペンブローク。原産国は英国であるため、その国にちなんだ名で呼び易く、犬が聞き分けやすいものをと考えた結果、かの地の伝説の王の名を恥ずかしげも無く頂くことにしたのである。

 その旨お伝えすると、帰って来た返事は思いもよらぬものだった。
 なんと、2匹の仔猫にアーサーの名から一字ずつ入れたいとおっしゃったのである。
「名前の由来を聞かれた時に、保護していただいた経緯を話したいと思います」
 そのメールを読み、体の奥にじわじわと暖かいものが満ちてきた。
 アーサーは生後半年で去勢をしている。どんなにこの子を可愛がっても子供を望むことだけは出来ない。
 しかしアーサーの何かを、アーサーが救った命が受け継いでくれるなら、これ以上の喜びは無い。
 そのありがたさ、うれしさ。その夜は何度も何度もメールの文字を読み返した。


「テレビを見る兄」



「カメラを見る妹」


 しかし一抹の不安もある。
 王の名に恥じないよう、健やかに凛々しく、堂々とした賢い犬なってくれるよう、そんな願いも込めてつけた名だが、実際には陽気で懐っこく、落ち着きが無い上、叱られても一向にメゲないワガママな暴れ者に育ってしまった。思いっきり名前負けの結果になっている。今のところ。
 仔猫たちがアーサーの名を受け継ぐことで、名前負けまで受け継いでしまわないか、いささか心配だったのだ。
 しかし、里親さんはこう諭してくれた。

「アーサー君が二つの命を救ったのは事実で、決して名前負けではないと思います。私達にとっては、まさにキング・アーサーです」






 アーサーから名前をもらう仔猫たちは、今夜、生まれ故郷大阪の最後の夜を迎えている。