愛犬耳袋

 コーギー犬・アーサーとの生活と喜怒哀楽

モテモテ妹 2

2006年09月09日 | 仔猫
 愛犬がどうやら妹猫を好いているらしい。本格的に。
 ピョコピョコよく動く“猫”という生命体ではなく、兄妹ワンセットの小動物でもなく、妹猫の方を強く好いているようなのだ。
 兄猫が「遊ぼうよ」と両手を広げている脇をスルーして、突進するのは妹猫だけ。運良く捕まえられれば、顔と言わず体と言わずベロベロと舐め上げ、時に甘噛み。またぐ時は踏みつけないよう注意している。その間、兄猫はあわれにもほったらかし。呆然と2匹の有様を眺めるしかない。



 これだけなら、妹猫の方は逃げるのがうまく、俊敏だから熱中しておいかけているのだ、と言われるかもしれない。自分でもそう思っていた。
 が、その確信が揺らぎ始めたのは、いつものように運動タイムに入った仔猫たちが、犬部屋を我が物顔で闊歩していた時のことである。
 我が愛犬はなかなか気が強く、ご近所の犬と飲み水をシェアしようとしても、頭がかち合うとガウッと唸って、絶対に譲らない。相手がどんな巨大犬であろうと、お年頃のセクシーなメス犬であろうと絶対である。
 そんな愛犬が自分の部屋で自分の皿から水を飲んでいた時、妹猫がヒョコヒョコと現れ、愛犬の鼻先に猫パンチをくれたのである。その瞬間愛犬は怒るでも無く顔を退け、妹猫は当然の様に、皿からチロチロと水を飲み始めたのである。このワガママ者が他人に何かを譲るとは。
 好きなだけのみ、すっかり満足した妹猫が悠々と立ち去ると、愛犬はようやく水飲みを再開した。

 愛犬は早めに去勢したことで、性的な興奮をほとんど知らないで今日まで来ている。
 本来ならオス犬同士は喧嘩しても、メス犬には優しかったりするものだが、愛犬の場合はまるで逆。むしろ強そうな未去勢の雄に会うと、本能的に憧れるのか低姿勢ですり寄り「子分にして!」とお腹をみせる。雌犬はそんなアコガレの雄犬を惑わす存在らしく、うっとおしそうに威嚇しておっぱらってしまうことが多い。完全に“女子とは遊ばねー!”と声高に叫ぶ小学生男子の心境のようだ。

 その愛犬が、妹猫を追いかけ、舐めまくり、飲み物を譲るようになった。さらに鼻先に爪を出したパンチを受けても何も言わない。犬は幼児や子供など、自分より弱く小さい者には、寛容になると言うが、兄猫には目もくれず妹猫だけしか見ていない様子、これは恋ではないのか?
 しかし相手とは種族を異にする間柄。しかもお相手はもうすぐ兄と一緒にこの家からもらわれていくことが決まっている。
 保護者としては複雑だが、遅れてきた愛犬の初恋はちょっと寂しい結末を迎えそうである。
 それも仕方なかろう。初恋というものは大抵実らないものなのだから。