年の瀬というのに悲しいお知らせである。
つい先日、愛犬アーサーの今一番のお気に入りだったバナナ君。彼とアーサーの絆が急に断たれてしまったのである。
在りし日のバナナ君。
笑顔が悲しい(嘘)
事の起りは昨日。あまりにバナナ君を気に入っていたアーサーはご近所犬との集まりに、彼を持参していったのである。
そして広場で思う様噛み締めていたところ、そこに目を付けたのが、ボス犬・レックス君。
レックス君もまた、新しくやわらかいオモチャが大好きとあって、アーサーが貸してくれるのを、
じっと
じっと
じーっと
待っていたのだが、意地の悪いアーサーはなかなか手放そうとしない。
そうして、ボスを焦れさせてしまったことも、後の不幸の始まりだったように思う。
しばらくして、オヤツにつられてアーサーがバナナ君を手放し、レックス君に順番が巡って来た。
ところがさすがに大型犬なもので、小さいバナナ君は、口の中にスッポリサイズ。飼い主さんと
「これ、ちょっとレックス君には小さいですよね」
「飲み込まないように気をつけてみてないと」
などと話しながら様子を見ていたのだが、一瞬のスキを付いて奥歯で噛み締め始めた。
「アッ!!」
あわてて飼い主さんがレックス君を取り押さえ、口の中に手をねじ込んだのだが、その反動かムキになったのか、あわれバナナ君はゴックンと食道の奥へ……。
「のんじゃった……」
ちなみにレックス君は今までも恐竜型のゴムTOYを引きちぎって飲み込み、数ヶ月後にすっかり変質してお尻から出て来たという、脅威の伝説を持っている。
おそらくバナナ君も近い将来、同様の道を辿ることになるだろうが、そのときはもう今の彼では無いだろう。合掌。
当のアーサーはというと、不意の別れを理解し切れていないせいで、ケロリンパとしていたが、これはこれで不憫なので、バナナ君に代わる友人をGETしてきた。
ナスビ君です。
他にもこのシリーズには、トマト君だのモロコシ君だのがいたが、手触りと形がにている彼をスカウトした。
アーサーはこの新しい仲間もいたくお気に召したようで、
添い寝したり、
見つめたり、
見つめなかったり
と散々楽しんだあげく、最後には
暖めていた。
なにも孵らないよ。