愛犬耳袋

 コーギー犬・アーサーとの生活と喜怒哀楽

あたたかい1枚

2007年01月28日 | 愛犬紹介




 一気に6枚同時制作中のアーサーの服。半分の3枚が完成し、あと3枚は仕上げだけの状態となった。
 幸い、今日は寒かったので、完成品の中でも一番あったかい一枚を着せて散歩に連れ出した。



「フフン」


 どことなく得意そうに見えなくもない、アーサー。
 いつものお友達犬と会ったり、超大型犬のアイリッシュ・ウルフハウンドにビビったりと、今日も喜怒哀楽のお散歩街道。
 よほど疲れたのか、帰宅後ちょっと目を離した隙に、



コタツによりかかってウタタネ。


 服を脱がすヒマもなかった。
 裏起毛のトレーナー生地で出来てるので、着たまま寝たら暑いだろうに。



あ、起きた。






今日のオマケショット

すごい夕焼けでした。

アーサー誕生秘話

2006年12月27日 | 愛犬紹介




 愛犬アーサーの里から嬉しいプレゼントが届いた。送り主は、母犬ハナちゃん&妹犬リンちゃんの飼い主さん。アーサーが産まれる前後の写真を収めたアルバムである。

 アーサーに初めて会いに行った時も、それなりに写真を撮らせてもらったのだが、なにせ初めて飼う犬、初めて見る集団の子犬に舞い上がりきっていて、後で確認すると2~3枚ほどしか撮れていなかった。
 そこでハナちゃん・リンちゃんの飼い主さんが、当時の写真を送って下さったのだ。
 今日はその中からいくつかをご紹介したい。

 まず、一枚目。





 出産1週間ほど前の母犬・ハナちゃんの肖像。この頃上から見ると、お腹の膨らみがハッキリしていたそうだ。

 そして出産。予定より2日早く、しかも午後2時という昼間にはじまり、飼い主さんを大いに慌てさせたと言う。





 これはアーサーが産まれた直後の貴重な1枚。
 黄色で囲んだのがアーサー。第2子として誕生した。ほかの子がほぼ200g代後半で産まれてきたのに、アーサーだけはすでに350gもあったとか、産まれた時から暴れ者でへその緒を切るのも大変だった上に、縛ってる紐をすぐ取ってしまったとか、アーサー暴れ王伝説はすでにスタートしていたらしい。





 ちなみにアーサーの兄弟は上から、コオ君、アーサー、アル君、バロン君、リンちゃん、ナコちゃん、ダザイ君、アウラちゃんの計8匹。残念ながら第6子のナコちゃんは誕生から10日目に命を落としたが、成長した7匹は、東は愛知県から西は広島県までに散らばって暮らしている。
 伝え聞いたところによると、みんなよく食べ、すぐに大きくなり、キレイ好きで、ヤンチャ。やはり兄弟らしく、アーサーとどこか似ている。
 ただ、お兄ちゃんのコオ君は、とうとう片耳が立たないままのボタンイヤーで、しかもかなりお利口で芸達者だそうだ。なんと鼻パクまでもマスターしたと聞き、アーサーの落ち着きの無さと比べてガックリきてしまった。素質の問題か、飼い主の指導力不足が問題か……(おそらく後者)。





 これは誕生8日目のアーサー。しっぽのある最後の写真である。この日、母犬の手元に残す子(リンちゃん)以外は、皆断尾処理をしてもらった。
 うちでもショーに出す訳でもなく、牛を追わせる予定も無いので、尻尾は切らなくても良かったのだが、断尾の処置は行き先が決まる前に終わらせるものらしく、我々がアーサーと初めてあった時処置済み。こればっかりは巡り合わせというものだろう。仕方が無い。
 この写真を見るとアーサーはどんな尻尾を持って育っただろうと想像は尽きない。





 生後1ヶ月強のアーサー。童顔ながら気の強そうなところなど、今の面影がある。この頃、他の兄弟と識別する為に色の違うリボンを首に巻いてもらっていた。アーサーは「みどり君」だった。



今日のアーサー。
1年ちょっとでこんなになってしまいました。

アーサーが来た日

2006年09月25日 | 愛犬紹介
 またもや思い出話。
 母犬の飼い主さん一家と約束をかわし、愛犬アーサーが我が家に来たのは、2005年12月5日のことだ。
 兄弟のうちの女の子1頭は名古屋の親戚のところへもらわれることが決まっており、送り届けるついでだからと、我が家にも約束した緑のリボンの仔犬を届けて下さることになった。
 アーサーと妹犬はダンボールを改造したケースに入れられ、一緒に部屋までやってきた。名古屋までの道のりは長いため、妹犬の休憩も兼ねていたのだ。

 さて、我が家では名前はすでにアーサーと決めてあったため、母犬さん一家も緑の子をそう呼んでくださっていた。
 ひと月ぶりに会ったアーサーは、さらに大きく、前足もぶっとくなっていた。





 しかも部屋に降り立つなり、フカフカのこたつ布団でいきなりオシッコをした。なんだか会うたびにオシッコしてるな。コイツ。
 このオシッコ癖の悪さ(?)は、後々までも我が家の悩みの種になり、トイレが完璧になるまでかなりの時間を要する事になるのだが、生後2ヶ月で早くもその片鱗を見せていたと言える。
 これに対して、名古屋にゆく妹犬は環境が変わって驚いているのか、なかなかダンボールから出ず、トイレもしない。アーサーの為に用意した部屋に、ひとまず2匹一緒にいれ、水などを飲ませて休ませようとするが、アーサーは飲んでも妹は口をつけない。なんとお行儀のいいことか。
 後で聞いたことだが、この妹犬はもらわれた先で、いきなり決められたトイレでちゃんと排泄し、賢い子だと評判を取ったと言う。栴檀は双葉より芳し。きっと今頃は聞き分けの良い、気だてのいい娘さんに育っている事だろう。

 振り返ってみると、犬の正確というのは、母犬、そして仔犬時代にかなり現れていると確信できる。イギリスのトレーナー、キャロリン・メンティースは犬のしつけDVDの中で、
「子犬を選ぶ時には、仔犬たちの前でオモチャなどで気を引いてみてください。真っ先に近寄ってくる子と、怖がって逃げる子は避けた方がいいでしょう。様子を見ながら近寄ってくる子がしつけやすい子です」
 と言っていた(細かい文脈は違うかもしれないが、まあそんな内容だ)。
 アーサーはまさに、先頭切って近寄る子であった。そして好奇心が強く、気になったものには恐れず駆け寄り、リーダーシップを取りたがるになってしまった。これは旅行やドッグラン、カフェなどには向いていたが、躾の上でかなり手を焼く気質である。

 しかしこの頃は、知識不足とに加えて、初めて飼う犬ということで舞い上がりきっており、そんな先の事までは考えられなかった。
 目の前でトコトコと部屋のあちこちを探検して回る、小さな(といっても月齢にしてはデカかったが)アーサーに夢中であった。



我が家、最初の夜に。
今見ればどことなく心細げ。


 アーサーの様子に安心した飼い主さん一家は、飼育についての注意などを説明してくださる。血統書を頂き、こちらからは事前に決められた額をお渡しする。その額はいわゆる市場価格よりもかなり低いものだった。
「必要な額はお支払いしたいので、どうぞ、その分ご請求下さい」
 と申し上げたが、頑なに受けて頂けなかった。
 飼い主さんは値段を決めて募集した時、その安さからブリーダーや他の飼い主さんに
「価格を高くした方が可愛がってもらえる。安い子はそのようにしか見られない」
 と散々言われたそうだ。
 しかし子犬の譲渡を利益を上げる商売にしたくないという気持ちが強く、この額に収まったと言う。

 残念ながら只でもらった犬は病院もドッグフードも勿体ない、逆に高い犬だから死なせる訳にはいかない、などと考える人がいるのは確かだ。仔犬が大切なら高い価値をつけることも、またその将来を安全にする一つの手だてかもしれない。
 その気持ちは、ハムスターを繁殖させた私でもよくわかる。安い命というなら、ハムスターはこの上なく安価である。それゆえ人手に渡す時の不安は大きかった。
 ハムスターの為に的確な餌を与えてくれるだろうか。病院にいってくれるだろうか。実際、適当に餌を与え、必要なものは用意せず、最後は飽きて面倒をみなくなった例を身近に知っている。
 うちで産まれた子はそういうことにならぬよう、しっかり見極めが出来た方にだけ差し上げていたが、それでも「引っ越すから」と安易に戻しに来た人もいた。
「他に里親探すより、元の飼い主さんの方がいいと思って」
 と飼い主の子はニコニコしていたが、釈然としないものが残った。
 そういう経験をしてきて、命の重さに高い安い、大きい小さいは無いと感じていた。正直にその話をし、家族のひとりとして、共に暮らしていくと約束して、アーサーを任せていただけた次第である。

 飼い主さん一家はこの後名古屋までの移動があるため、妹犬を抱き上げると、早々と席を立たれた。
 里親探しのセオリーにのっとたのか、至極あっさりとアーサーとの別れを済ませられたが、一家のちいさな娘さんだけは、玄関先まできたところで、ポロポロと涙が溢れ出していた。
「もういっかい、バイバイしてくる?」
 そう訪ねると彼女はこっくり頷き、きびすを返して犬小屋に駆け寄った。サークル越しに
「ばいばーい」
 と言うとアーサーの鼻にチョンと触れた。そして今度は一度も振り向かず、玄関の外へ駆け出していった。
 アーサーはあの小さな別れの儀式を、今も覚えているだろうか。
 忘れていたとしても、お嬢さん。あなたの子供らしく時に荒っぽい愛情のおかげで、アーサーは子供、そして小さな生き物が大好きな子に育っています。ありがとう。





 その夜、小さな(といっても結構デカい)アーサーは、一人きりになってあちこちを探検し、遊び回ると、パタンと倒れるように眠ってしまった。私の腕枕で。その寝顔は月並みな表現であるが、まさしく天使であった。

 しかし、天使のようにかわいらしい子犬は、悪魔のように聞き分けが無いと、翌日から嫌と言うほど気付かされていくのであった。

アーサーとの出会い(3)

2006年09月23日 | 愛犬紹介
 そういうわけ(前日参照)で、2005年11月のある日、母犬の飼い主さん宅を訪問することになった。
 どんな子たちが待っているのだろう。威圧しないよう、薄型デジカメを手に2時間ほどの片道を行く。地図を片手に、目指す集落に近づくと角に近い一軒から、犬の声が聞こえて来る。あそこだ。
 我々の姿に気づいた飼い主さんが庭越しに現れ、呼び鈴を押すまでもなく中に通して頂いた。
 玄関を開けると、上がりかまちからリビングに至る廊下が、ビッシリ、ペットシーツと新聞紙でガードされているのが目に飛び込んで来た。母犬1匹、仔犬7匹の生活は想像を絶するものらしい。
 そしてリビングに足を踏み入れるのと、
「うわぁー!」
 思わず声を上げたのと、どちらが早かっただろう。リビングの一角に、ケージの中でモゴモゴ動く、灰色がかった生き物たちの集団が!





 生後1ヶ月のコーギーの仔犬! 仔犬! 仔犬!
 どの子もムッチリとよく肥え、毛並みもよい。損得勘定抜きで、愛情をかけられている様子がよくわかる。
「今、決まっていない子はこの子と、この子と……写真でいいと言ってもらったのは、この子です」
 飼い主さんは、3匹の仔犬をケージから取り出した。もう結構重いのか、その手付きはゆっくりだ。
 仔犬たちは見分けの為に色別のリボンを首に巻かれていた。写真で見初めた子は緑。兄弟の中で1番大きいと聞かされただけあって、体格もムッチリ、骨もガッチリ。前足なんかボッテリと太い。
 物怖じしない性格なのか、ケージから出され、仔犬らしいおぼつかないながらも、しっかり踏ん張った足取りで、ポテコロポテコロ、あちこち歩みはじめる。他の2匹はあたりの匂いを嗅いだりしているが、ウロウロするようなことはない。

 この3匹の中から運命の子を選び取らなければならない。試しに動き回る子を膝に抱いてみた。しばし動きが止まる。同行した家族も、他の子を抱き上げてみる。

 さあ、感じろ自分! 何かを!

 あの、よくペット体験談やエッセイなどで目にする
「目と目があった瞬間、この子しかないっ! と思いました」
 とか
「あの子の方から私の方に近寄ってきて、うちの子になるって自分で決めたんです」
 とかいう、アレだ。
 ああいう運命的な瞬間を、感じる時は今だ。
 ……何か感じなければ。何か感じなければ。
 そんなことが頭の中をグルグル駆け巡っているうちに、緑の子は膝の上からサッサと降りていってしまった。
 その後、緑の子は入っては行ってはいけないテーブルの下に入り込み、なんの予兆も無くジョジョーッとラグマットにオシッコの水たまりを作った。
 今思えば、この一連の行動に、後のアーサーの性格すべてが象徴されていたのだが、またしても当時はそんなことはサッパリ分からないのであった。
 その間、家族に抱かれていた子は、至極大人しくじっとしており、そのうちジャケットの中に頭をつっこんでウトウトしていた。
 その様子を見ていた飼い主さんは
「どうします?」
 そろそろ決定を促して来た。

 大柄で健康で、でも手がかかりそうなのは緑の子である。少々気が弱そうだが、御し易そうなのは抱かれている子だ。どちらがいいのか。
 申し訳ないが雷に打たれるような運命の天啓が無かった自分には、決めることが出来なかった。口をついて出た言葉は情けないことに
「ど、どうする?」
 同行した家族に意見を求めるものだった。しかし家族もうろたえ気味に小声で
「決めて」
 とささやき返されてしまった。



中央が緑の子


 こうなると自分で決めるしかない。その時、私の頭の中にはかつて飼ったペットとの数々の思い出がフラッシュバックしていた。
 子供の頃拾って親に反対され、元の場所に返してしまった野良犬。隣の猫に襲われて亡くなった文鳥。そしてハムスター。
 ハムスターは大人になってから飼ったせいもあって、1番長い時間を共にした動物だった。ひ孫の代まで繁殖させ、足掛け6年ほどつきあったことになったろうか。
 といっても小動物であり、個々の寿命は2年弱と短い。そして病気になったとき、きちんと向き合って診療してくれる獣医が少なかった。
 口コミで小動物に明るい動物病院を知り、やっと診察を受けることが出来ても小さな体に薬物や麻酔の影響は軽視でいない。強気な治療を施すかどうかのジャッジ。手術をさせても予後抵抗力が低下し、寿命を全う出来ないという危険性。そして寿命との兼ね合い。
 また犬猫には発達している予防医学も無い。小動物は不健康を隠す生き物である。ある日突然発病し、病院につれていった時、施す手が無いということも珍しくない。
 そんな診断を受けた後、待合室で一緒になった、見るからに健やかそうな犬たちの姿がどれほどうらやましかったことだろう。犬猫は予防接種などで健康なうちに病院に出入りできる。その日あった犬の飼い主さんは、にこやかに犬仲間と言葉をかわす余裕があった。
 私は小動物の飼い主として、毎回死の宣告を待つ気持ちで、診察室に入っていた。

 こんな経験を長くして来たため、今度飼う生き物は、とにかく元気で健康で、病気や怪我とは縁遠く、そして万一怪我や病気をしても軽く済ませられる生命力がある子にしようと、心の底から切望していた。
 その考えを思い出し、ようやく3匹の仔犬から一匹を選び出した。
「やっぱり最初写真で決めた、この緑の子にします」
 飼い主さん一家は歓迎してくれるかと思いきや、
「いいんですか? この子、大きくなりますよ?」
「ほんとに、かなり大きくなりますよ?」
 口々に念押しをしてきたのである。
 まあ、そのぐらい緑の子がやたらめったらガッチリしていたということなのだが。

 そういうわけで、1番大きい緑の子がうちの子になると話がまとまった。引き渡しは体が出来る一ヶ月後。
 我々がおいとましようと玄関を出た時、ワンワン吠えていた母犬と対面することになった。母犬の名ははなちゃん。普段は仔犬と共に家の中にいるところだが、今日は仔犬たちとも引き離され、あわれ庭につながれていた。
「いいですか、放しますよ」
 飼い主さんがはなちゃんのリードを外した。その瞬間、はなちゃんは弾丸のように我々に突進してきた。
 こちとら、仔犬の匂いをぷんぷんにまとった見慣れぬ人物である。母犬がカーッとしても仕方が無い。正直「噛まれる!」と思った。
 しかしある意味飼い主としての器量が試される時だと思った。ここで逃げては飼い主がすたる(?)。
 万一ガブリとやられても、それを甘んじて受けようと思った。はなちゃんが命をかけて産んだ仔犬をつれていくのである。そうされる理由が我々にはある。
 しかしはなちゃんは、私の悲壮なやせ我慢を見抜いたかのように、ドドドッと駆け寄ると、素早く上半身を起こし
 ドンッ
 棒立ちの太ももに、前足2本に体重をかけた一発をお見舞いしてくれた。はなちゃんには飛びつき癖があったようだ(そしてこの癖は見事にアーサーにも遺伝しているのだが、この時は(以下略))。
 しかし、私はこのとき太ももに覚えた重みを
「アタシの子供を頼んだわよ。しっかりしてもらわないと!」
 という、はなちゃんからの激励のバトンタッチだと思っている。


【今日のアーサー】

残暑のため勝手休憩。
しかも、こうしていると犬好きの人に
「あらあら、まあまあ」
とかなんとか構ってもらえ一挙両得

アーサーとの出会い(2)

2006年09月22日 | 愛犬紹介
 昨日の続きである。

 腰の引けたメールに母犬の飼い主さんからすぐ返事が帰って来た。
「昨日で、匹数分の見学希望者が決まってしまいました」
 なんと一日違いで間に合わなかったのだ。やっぱり、遅すぎた……。ガックリしながら、お返事に感謝し、先の方との話を進めていただくよう返信した。

 ところがその2日後。こんなメールが飛び込んで来た。
「まだ、子犬を家族の一員として迎えてもいいと思われていらっしゃるのでしたら、御連絡いただけないでしょうか?」
 この知らせに狂喜乱舞したのは言うまでもない。
 なんでも、申し込みだけしておいて、連絡が取れなくなった人がいたというのだ。

 仔猫でも犬でも里親探しをしていて保護主を困らせるのは、途中で連絡が取れなくなる人である。
 その気が失せたなら、嘘の理由―例えば近所で猫拾ったとか、犬もらった―でもいいから、ちゃんと断りを入れるべきだろう。保護主もいい大人なんだし、バリバリの嘘でも、まあ黙って聞いてくれるはずだ。

 話がそれた。
 母犬の飼い主さんは音信不通になった方を断るので、一度仔犬を見に来て欲しいという。
 さらに、メールには兄弟7匹のうち、行き先が決まっていない3匹の男の子の写真が添付されていた。メーラーの画面をスクロールしていくと、3枚の画像がひとつづつ見えて来た。その一番最初に現れた子に、目は釘付けになった。





 顔の真ん中にスキッと入った白いブレーズ。左右対称の顔だち。強い目線。ポンポンのお腹。
 3枚の写真全部を見比べても、やはり視線は最初の子に戻ってしまう。
 これがビビッときたということなのか? この子が私にとっての“運命の子”なのか? ルックスだけで決めるというのもなんとなく気が引ける。やはり大事なのは性格、性格……などの脳内問答を経て、ようやくメールを打ちはじめた。
「写真で見た限りでは、最初の画像の子が一番かわいいと思いましたが、ぜひ実際に拝見させていただきたいと思っております」
 ジャッジはひとまず、実際の仔犬に会ってからということにした。

 ここまで書いたところで、こちらのことも、ある程度正直に書いておいた方がいいと思いはじめる。
 犬を飼うのが初めてであること、躾等は勉強してしっかりしていくつもりだが、もし飼育初心者で不安に思われるなら再度ご検討下さい、と書き添えてメールを送った。
 するとその翌日、母犬の飼い主さんから早くも返事が。
 その言葉は暖かく寛容で、そして初めての犬の飼育に向けて、勇気と決意を新たにするものだった。

「犬を飼ったことがないというのはあまり問題にしていません。
 誰にでも初めてがあり、何匹飼っても、その子その子で違うことを実感し、勉強し直すことばかりだと思います。
 家族の一員としていつまでも可愛がっていただける方でしたら、こちらの方からお願いして飼っていただきたいと思います」

 さらに、気に入ったと告げた写真の仔犬についての説明も書かれていた。
「最初の写真の子は、一番大きな子です。産まれた時から他の子より100gは大きく、今もそのまま大きく成長しています。産箱からの脱走も一番にこなし、母犬の後を追い掛けまわしております」
 そう、これがのちに我が家に引き取られることになる、愛犬アーサーの最初のプロフィールである。今思えばアーサーの性格や、大事な事はこの短い文章の中に全部詰まっていたように思う(が、当時はそんなことはサッパリ分からないのであった)。

 その後、訪問の日取りを約束。いよいよ生の仔犬たちとご対面だ!(すみません。まだひっぱります)


【本日のアーサー】

「前衛舞踏?」



アーサーとの出会い(1)

2006年09月21日 | 愛犬紹介


仔犬時代の愛犬アーサー


 仔猫は去って里親を捜すというこのブログの本来の目的も達成されたのだが、せっかく日記をつける習慣が身に付いたので、跡地で犬との生活を綴っていこうと思う。


 仕切り直し1回目なので、まずは犬紹介。
 愛犬アーサーは2005年10月12日生まれのオスのコーギーである。
 アーサーとの出会いはペットショップでも、ブリーダーさんでも無い。一般のお宅である。
 メスのコーギーを飼っていた方の、愛犬の子供が欲しいという(ご本人曰く)「飼い主のわがまま」から誕生した命の一つである。ちなみに、父親はブリーダーさんのところのオスである。
 種付けの後、8匹の仔犬が産まれた。残念ながら、途中一匹が息絶え、最終的に7匹の兄弟として育つ。その上から2番目、体格は1番大きい子が、後に我が家に来るアーサーである。

 その頃、我が家では犬が欲しいと気持ちが盛り上がっていた。あれこれ情報を集めて、豆柴かコーギーかに候補が絞れていた。
 しかし、なかなか豆柴のブリーダーさんが見つからない。最初からペットショップでの購入は考えていなかった。
 なんとなく命を陳列している現場に抵抗があったせいもあるが、やはり何匹かの中で選べないというネックもあって、ブリーダー直販に絞って考えていた。しかし、ブリーダー見つかってもちょうどいい子供が産まれていない。
 また豆柴は種としての安定がイマイチらしく、後日デッカくなってしまうこともあると聞き、もうひとつの候補コーギーの仔犬を探す事にした。
 検索したところ、こちらは豆柴よりも遥かにたくさんの情報がひっかかった。そのうちの一つ、ある掲示板を見ると、
「コーギーの子犬産まれています。一匹×万円から。空輸します」
 こんな情報がズラズラ出て来た。
 最初は興奮して文字を読んでいたが、次第にトーンダウンしてくる。ビジネスと割り切った宣伝の文句が、まるっきり仔犬を商品にしていたからである。

 そんな広告にまぎれて、ある書き込みが目についた。
「愛犬の子供が見たいというわがままから産まれた命です……」
 で始まる一文。母犬の飼い主さんのものであった。
 一匹を手元に残し、残りの兄弟の飼い主を探していることを説明し、
「愛犬の産んだ命に値段をつけたくない」
 と出産にかかった実費と経費だけをお願いしたいという書き込みだった。
 仔犬を探していて、命を命として扱う記述に、はじめて出会った気持ちだった。
 早速、メールを送り、飼い主になりたいと名乗りを上げたのだが、ひとつ問題があった。記事の掲載から若干時間がたっていたのである。
 もしかしたら、すでに他の人に決まってしまったかもしれない。
 「時間がたっていますが、まだ大丈夫でしょうか……」
 私が出した最初のメールは、そんな腰の引けた文章だった。(長くなったので続きます)