猫の寿命は十数年。最近、寿命め一杯まで長生きした愛猫を介護し、見送ったという愛猫家の知人がいる。
その知人に仔猫の遊ばせ方を学んだ。
猫の目の前で指先を素早く動かす基本動作からはじまり、クッションや座布団の下に手を隠し、チョコチョコと素早く出し入れするという、モグラ叩き方式。下からすくいあげ、転がすようなローリング挑発方式。
見ていると結構スパルタな動きもあるが、師曰く、
「これぐらいした方が、遊びになる」
とのこと。
事実、アクティブな兄猫は大喜びのハイテンション。よく遊び、よくじゃれ、食事の為に一度猫部屋に帰したが、その後何度も脱走したがって困らせた。
猫師匠は
「仔猫はすぐに大きくなる。仔猫の時期なんて一瞬。うちの猫が仔猫だった時のことはもう思い出せないぐらい」
と繰り返し、懐かしの仔猫の感触を楽しんでいた。
そういえばうちの愛犬も子犬の時期があったが、ホームを通過する特急電車のように、爆音と共に遥か彼方に去っていった。
そんな一瞬の、しかし一生で最も愛らしい時期を一緒に過ごせる幸せを、仔猫たちにもらっている。成長した愛犬が乗れなくなったこの膝も、今仔猫たちが遊び場にしてくれている。
これだけでも、保護した恩返しには充分だ。
その夜、師匠のレッスンの成果を発揮しようと仔猫の相手をしたところ、小さい犬歯でプツップツッと甘噛みされた。手を兄が噛んだら、正座した足を妹が。前から後ろから。
しかも最近、甘噛みの回数と咀嚼(?)スピ-ドがすごいのだが、師曰く
「あごの力もまだまだ弱いなぁ~」
と余裕綽々。こんなの噛んだうちに入らないらしい。
でも細い剣山で絶えずチクチクされるようで、これはこれで結構イタイんですが(特に妹)。
しきりにじゃれあう2匹だが、噛み加減もちゃんと学んでくれるのか、ちょっと心配。