7
「カタコンブへ!」ぼくの側で男の人が叫ぶ。「もう弾薬が尽きた!」
助かるには下水道や、石切場、カタコンブを通って逃げるのだ。
ぼくは下水道を選ぶ。ぼくはカタコンブを信じない。;ぼくはそこをとてもよく知っている。:殺人者たちは、他の殺人者がモンスリー平野につながる城門跡のところで脱走者を捕まえる間に、ぼくたちのように、ラ・ポルト・ダンフェルを通って入り込むだろう。
区は、今や、虐殺で服従させているヴェルサイユで占領されてしまった。兵士たちが建物一棟一棟、家一軒一軒、探索する。地下室、屋根裏の物置に隠れている男の人たちを捜し回る。もし屋根裏の物置に軍服がすこしでも、たとえば「軍用短靴」が、残っていたら、容赦はない。放り投げるようにし、リーダーたちがどなる。「撃て!!串刺しにしろ!銃剣を差し込め!皆殺しにしろ!」女の人、子どもたち、お年寄りたちは泣き叫び、ひざまずき、懇願する。指揮者たちは激怒を繰り返す。兵士たちは、もう死んでしまっている、あるいはまだ生きている体に、至近距離から撃ち、突き、銃剣を差し込む。彼らは死体の上を、負傷した人の上を、歩く。彼らは入ることができない家を見つけると、爆破し、それから火を放つ。
どうしよう?どこへ行こう?隠れよう。我が家へ?不可能だ。そこはまだ非常に危険だ。ぼくは他の人たちのことがまったく分からない。ウジェンヌのところ?アンドレやアルフレッドのところ?マティウのところ?ムッシュ・パタンのところ?無意識のうちに、その夜はある城門跡の片隅にいた。だがそこは、いつでも、見つけられる怖れがあるところだ。おなかが空く。怖い。死にたくない。家族に会いたい。
ぼくはムッシュ・パタンのところにかくまってもらうことにした。もしヴェルサイユが家宅捜査に来ても、彼と奥さんは、ぼくは田舎から来た小さな甥だと言ってくれるはずだ。非常に危険なのは、近所の人だ、とりわけ管理人が。ぼくが外出すれば、彼は階段でぼくを見かけることになってしまう。ぼくは、それでも、我が家に戻ることができるかどうか、見に行きたいと思うだろう。ぼくはカーテンのすそをちょっと持ち上げ、近所の道をすばやく見る。
昨日は雨が降った。囚人たちの延々と続く隊列が通りすぎていくのが窓から見えた。おそらくアルコールが入っているのだろう、兵士たちがわめいている。「ケダモノ」、「人間のくず」、「人」、ののしりの言葉が歩道の群衆から繰り返し浴びせられる。ぼろ靴しか履いていない隊列の女の人たちの足は泥で汚れていた。ほんの先にはメリヤス製造販売の店がある。一人の女囚がストッキングを乞うた。店はちょうど何足かをなにがしかのお金と交換して配給をしている時だ。二人の兵士が彼女に飛びつき、銃床で彼女を殴りつけた。
本を読まないときには、ぼくは窓カーテンの影で時間を過ごす。ムッシュ・パタンはおじいさんと同じように非常にたくさんの本を持っている。ヴォルテール、バルザック、シャトーブリアンの本。ムッシュ・パタンは、ぼくがアメリカにあこがれていることから、シャトーブリアンの『ルネ』を好きになってほしいと願っている。でもその本の考え方が好きではない。ぼくの年老いた先生は相変わらず両の手を使って字を書いて、ぼくを驚かせる。パリの地図がぼくたちの前に広がっている。色鉛筆を使って、参謀長がするように、あちこちで集められた幾ばくかの情報について彼が説明する。ラ・コミューンは新聞を持たないので、彼は、『ル・フィガロ』紙を、買えるときに買う。その新聞を彼は好んでいないのだけれど。
最後の戦いの一つがペール・ラシェーズ墓地に移されるほどまでに、民衆街はどこもかも陥落した。モンマルトルの丘から降ろされた大砲を使ってなされた爆撃の後、セーラー服の集団が白兵戦で防戦していた200人の国民兵を墓の中に追い込んだ。戦闘は、オノレ・ド・バルザックの墓のそばで、土曜日の夜から曜日に、休むことなく、続けられた。生き延びた人は墓地南東の壁を背にして虐殺された。
日々が過ぎ去り、恐ろしいことがまだまだ続いているという話が積み重なる。ぼくはもう先生のうちにいるのをやめる。ぼくはあらゆる危険を承知で、我が家に戻ることにする。
夜遅く、ぼくは、我が小さなビルの谷間にある、濡れた小さな中庭を横切る。誰にも聞こえないよう、用心に用心を重ねて、木の階段を登る。心臓が音を立てんばかりに鳴る。ビルは物音一つしない。ふるえる手で、ぼくは、静かに、ドアのくちばし型をした取っ手を押す。壊れた。まさか。・・・誰もいない。・・・キャンドルのほのかな、弱い明かりの中で、ママンが繕い物をしていた。ママン一人だけだ。ぼくに気づき、ママンは泣き崩れ、叫んだ。
「オー、ピエロ!」
ぼくたちは互いの腕の中に身を投げ入れ、すすり泣く。・・・パパもおじいさんもけっして戻ってこないことを知ることになる。
「カタコンブへ!」ぼくの側で男の人が叫ぶ。「もう弾薬が尽きた!」
助かるには下水道や、石切場、カタコンブを通って逃げるのだ。
ぼくは下水道を選ぶ。ぼくはカタコンブを信じない。;ぼくはそこをとてもよく知っている。:殺人者たちは、他の殺人者がモンスリー平野につながる城門跡のところで脱走者を捕まえる間に、ぼくたちのように、ラ・ポルト・ダンフェルを通って入り込むだろう。
区は、今や、虐殺で服従させているヴェルサイユで占領されてしまった。兵士たちが建物一棟一棟、家一軒一軒、探索する。地下室、屋根裏の物置に隠れている男の人たちを捜し回る。もし屋根裏の物置に軍服がすこしでも、たとえば「軍用短靴」が、残っていたら、容赦はない。放り投げるようにし、リーダーたちがどなる。「撃て!!串刺しにしろ!銃剣を差し込め!皆殺しにしろ!」女の人、子どもたち、お年寄りたちは泣き叫び、ひざまずき、懇願する。指揮者たちは激怒を繰り返す。兵士たちは、もう死んでしまっている、あるいはまだ生きている体に、至近距離から撃ち、突き、銃剣を差し込む。彼らは死体の上を、負傷した人の上を、歩く。彼らは入ることができない家を見つけると、爆破し、それから火を放つ。
どうしよう?どこへ行こう?隠れよう。我が家へ?不可能だ。そこはまだ非常に危険だ。ぼくは他の人たちのことがまったく分からない。ウジェンヌのところ?アンドレやアルフレッドのところ?マティウのところ?ムッシュ・パタンのところ?無意識のうちに、その夜はある城門跡の片隅にいた。だがそこは、いつでも、見つけられる怖れがあるところだ。おなかが空く。怖い。死にたくない。家族に会いたい。
ぼくはムッシュ・パタンのところにかくまってもらうことにした。もしヴェルサイユが家宅捜査に来ても、彼と奥さんは、ぼくは田舎から来た小さな甥だと言ってくれるはずだ。非常に危険なのは、近所の人だ、とりわけ管理人が。ぼくが外出すれば、彼は階段でぼくを見かけることになってしまう。ぼくは、それでも、我が家に戻ることができるかどうか、見に行きたいと思うだろう。ぼくはカーテンのすそをちょっと持ち上げ、近所の道をすばやく見る。
昨日は雨が降った。囚人たちの延々と続く隊列が通りすぎていくのが窓から見えた。おそらくアルコールが入っているのだろう、兵士たちがわめいている。「ケダモノ」、「人間のくず」、「人」、ののしりの言葉が歩道の群衆から繰り返し浴びせられる。ぼろ靴しか履いていない隊列の女の人たちの足は泥で汚れていた。ほんの先にはメリヤス製造販売の店がある。一人の女囚がストッキングを乞うた。店はちょうど何足かをなにがしかのお金と交換して配給をしている時だ。二人の兵士が彼女に飛びつき、銃床で彼女を殴りつけた。
本を読まないときには、ぼくは窓カーテンの影で時間を過ごす。ムッシュ・パタンはおじいさんと同じように非常にたくさんの本を持っている。ヴォルテール、バルザック、シャトーブリアンの本。ムッシュ・パタンは、ぼくがアメリカにあこがれていることから、シャトーブリアンの『ルネ』を好きになってほしいと願っている。でもその本の考え方が好きではない。ぼくの年老いた先生は相変わらず両の手を使って字を書いて、ぼくを驚かせる。パリの地図がぼくたちの前に広がっている。色鉛筆を使って、参謀長がするように、あちこちで集められた幾ばくかの情報について彼が説明する。ラ・コミューンは新聞を持たないので、彼は、『ル・フィガロ』紙を、買えるときに買う。その新聞を彼は好んでいないのだけれど。
最後の戦いの一つがペール・ラシェーズ墓地に移されるほどまでに、民衆街はどこもかも陥落した。モンマルトルの丘から降ろされた大砲を使ってなされた爆撃の後、セーラー服の集団が白兵戦で防戦していた200人の国民兵を墓の中に追い込んだ。戦闘は、オノレ・ド・バルザックの墓のそばで、土曜日の夜から曜日に、休むことなく、続けられた。生き延びた人は墓地南東の壁を背にして虐殺された。
日々が過ぎ去り、恐ろしいことがまだまだ続いているという話が積み重なる。ぼくはもう先生のうちにいるのをやめる。ぼくはあらゆる危険を承知で、我が家に戻ることにする。
夜遅く、ぼくは、我が小さなビルの谷間にある、濡れた小さな中庭を横切る。誰にも聞こえないよう、用心に用心を重ねて、木の階段を登る。心臓が音を立てんばかりに鳴る。ビルは物音一つしない。ふるえる手で、ぼくは、静かに、ドアのくちばし型をした取っ手を押す。壊れた。まさか。・・・誰もいない。・・・キャンドルのほのかな、弱い明かりの中で、ママンが繕い物をしていた。ママン一人だけだ。ぼくに気づき、ママンは泣き崩れ、叫んだ。
「オー、ピエロ!」
ぼくたちは互いの腕の中に身を投げ入れ、すすり泣く。・・・パパもおじいさんもけっして戻ってこないことを知ることになる。