「セガンはアメリカに亡命したそうだ。」と聞かされた。「ナポレオンIII世の弾圧を逃れるために。」へぇ、そんなに激しい戦いをした人なんだ、というのが初印象。
で、セガン研究のさる大家から、その証拠を見つけてほしい、と。依頼というより厳命だったな。大家でさえ果たせないことをせよ、とおっしゃるのだから、よほどの暇人だ、とぼくはみなされていたわけですね。まあ、暇っちゃあ暇だったな、職場関係を除いて、組織活動一切無関係状態たから。2003年秋のこと。
ただ、史料収集活動は面白い。フランスにわたるたびに、なじみの古書店が増えていく。お前は大佛次郎という作家を知っているか?などという思いがけない問いなども出され、名前だけは知っている、著名な文学者だ、と答えたら、ちょっと鼻で笑われたような雰囲気もあったな。あ、脱線。
あらゆる古書店、「セガンの名と業績は知っているが、彼の著書類は、見つけるのは絶望的だな。」という。そうか、ご大家様はぼくを絶望の淵に追いやったのか。
いんや、絶望の淵から生還してやろうじゃないか。(続く)