背寒日誌

2019年7月12日より再開。日々感じたこと、観たこと、読んだことなどについて気ままに書いていきます。

記憶に残るジョアンナ・シムカス

2005年09月25日 15時10分43秒 | フランス映画
 彗星のように現れて消えていった女優がいる。ジョアンナ・シムカスはそんな女優の一人だった。確かカナダ出身で、元ファッション・モデルだったと思う。60年代終わりに「冒険者たち」で鮮烈なデビューを果たした後、「若草の萌えるころ」「オー!」など三、四作に出演したきりで、映画界から引退してしまう。活躍した期間はわずか3年。多くのファンは、彼女を追いかけ始めて、あっという間に姿をくらまされ、大きな失望を感じたものだった。もちろん私もそうだった。「冒険者たち」を見れば、ジョアンナ・シムカスの魅力にイチコロにならない男はあるまい。成熟した肢体、長い栗色の髪の毛、あどけない面長な美少女顔、とりわけ水着姿がたまらない。高校1年の頃、私は日比谷の映画館でこのシムカスを見て一目惚れしてしまった。
 「冒険者たち」は、美男アラン・ドロンと渋い中年男リノ・バンチュラが前衛彫刻家シムカスを誘って、宝探しの冒険に出るストーリー。一人の美女に対し親友の二人の男が思いを寄せながら話は展開していく。ロマンチックな現代版騎士道物語とでも言おうか。美しい映像のバックに流れる音楽がまた効果的で、見終わった後も耳に残って離れない。
 この映画には製作の裏話がある。監督のロベール・エンリコがシムカスに本気で惚れてしまったというのだ。監督のナマの恋愛感情が移入されたのだから、彼女が特別美しく映っているのも当然かもしれない。映画の中で彼女は中年男の方に愛を告白する。美女必ずしも美男を愛せず、というわけだ。きっとこれも監督の強い願望だったにちがいない。しかし、現実は監督の思い通りには行かなかった。シムカスはもうニ本彼の映画に付き合った後、彼を振って、黒人俳優シドニー・ポワチエのもとに走り、結婚してしまう。以後監督のエンリコは、失恋が原因なのか、ロクな映画を作っていない。

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1 コメント

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記憶に残るジョアンナ・シムカス (シムカスの甥)
2010-09-18 22:54:20
フランソアドルーベが最高。
まったくおしゃっるとおり。

私はかれこれ35年彼女にイチコロっぱなし。
こんな娘が最近の映画界にはとんとみあたらない。さびしい。悲しい。
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