背寒日誌

2019年7月12日より再開。日々感じたこと、観たこと、読んだことなどについて気ままに書いていきます。

美女と醜男の恋愛映画

2005年09月24日 02時56分20秒 | アメリカ映画
 恋愛映画の主人公である女と男のパターンを美醜によって分類すると次の四つになる。①美女と美男②美女と醜男(ぶおとこ)③醜女(ぶおんな)と美男④醜女と醜男である。つまり、4通りの恋愛映画が可能なわけだ。このなかで、いちばん多いのはもちろん①、美男美女の恋愛映画だ。一昔前のハリウッド全盛期にはこれが圧倒的に多かったといってよい。そして、私の知る限り③は、ない。醜女と美男の恋愛映画を私は見たことがない。ブスとは言わないまでも十人並みの女と美男が恋愛する映画*も見たことがない。片思いならあるかもしれないが、相思相愛の関係が一時的にも成立する過程を描くのが恋愛映画だ。そうだとすると、片思いのままで終わる映画は恋愛映画ではない。次に④、これもほとんどない。普通の女と普通の男の恋愛映画もないように思う。現実的にはこうしたカップルがいちばん多いはずだが、普通の男女の恋愛ではきっと映画にならないのだろう。
 さて、最後に残った②。これは、結構多い。美女と醜男の恋愛映画である。渥美きよしの「男はつらいよ」シリーズもその一種かもしれない。寅さんが美女に恋をするという筋立ては全作に共通するパターンだが、片思いが両思いに変わる話もいくつかあった。
 古い映画にヴィクトル・ユーゴー原作の「ノートルダムのせむし男」というのがあった。この映画でジプシーの美女を演じたのがジーナ・ロロブリジーダで、私が大好きだったイタリア女優。彼女のまぶしいほどの美しさに対し、醜男どころか化け物みたいなせむし男を演じるのが、アンソニー・クイン。アメリカの個性派俳優だ。せむし男の美女に対する一途な純愛。その思いにほだされて、美女の彼に対する憐れみが愛に変わる。そんな劇的なストーリーだった。この映画、ニ度見た記憶があるが、もう一度見たいと思っている。
 「アパートの鍵貸します」は、この手の映画の傑作だった。私は監督のビリー・ワイルダーの映画が好きで、「アパート」は何度見ても見飽きない映画である。主役のジャック・レモンはカエル顔で、決して美男子とはいえない。この映画では上司が逢引きするために部屋を貸すウダツの上がらないサラリーマン役を演じている。悲哀とユーモアあふれるレモンの演技は天下一品だが、上司の愛人役のシャーリー・マクレーンがまた良い。マクレーンは美女というよりファニーフェイスで愛嬌のあるタイプだが、レモンの相手役としてまさに最適の女優だったと思う。同監督でこの二人の映画には、「あなただけ今晩は」もあるが、これも是非もう一度見たい映画だ。
 *キャサリン・ヘップバーン主演の「旅情」はそんな映画だったことを思い出した。今度ビデオを見直しておきたい。

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