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レジェンド・オブ・フォール / アトランティスのこころ / ジョーズ

2023年07月02日 | 映画

NETFLIX で見た映画3作品です。

レジェンド・オブ・フォール 果てしなき想い (Legends of the Fall) 1994

第1次世界大戦前後のモンタナの大自然を舞台に繰り広げられる壮大な人間ドラマです。主人公トリスタンを演じる若きブラッド・ピットのなんと美しいこと。トリスタンの、何ものにも束縛されない、でも筋の通った生き方が、まぶしかったです。

文芸作品の香りがあって、モンタナを舞台にしていることもあり、同じくブラッド・ピット主演の「リバー・ランズ・スルー・イット」を思い出しました。この頃のブラッド・ピットが、私は一番好きかもしれません。

アンソニー・ホプキンズが演じる父親の堂々とした佇まい。自らの戦争体験から反戦思想を持ち、人種的偏見をもたない彼は、当時かなり先進的だったのではないでしょうか。そしてその思想を3兄弟の中でもっとも強く受け継いでいたのがトリスタンでした。

誰もが愛さずにはいられないトリスタン。でもなぜか、彼が愛する人たちが、ことごとく不幸に巻き込まれてしまうことに、運命の残酷さを思いました。そしてトリスタン自身が、そのことに誰よりも傷ついていることに、胸がしめつけられました。

アトランティスのこころ (Hearts in Atlantis) 2001

父を亡くした少年の家の新しい下宿人は、謎めいた雰囲気の優しい老人。やがて少年は、老人が不思議な力を持っていること、そしてその力のせいで危機にさらされていることを知る。(NETFLIXより)

映画を見ながら、スティーヴン・キングっぽいな...と思ったら、やはりそうでした。冷戦時代のアメリカの田舎町を舞台にした、少年の成長物語であり、少年と老人の年齢を超えた友情の物語であり、SFやサスペンスの要素もあっておもしろかったです。

育児放棄の母親と暮らす孤独な少年ボビーを演じるのは、子役時代のアントン・イェルチン。 賢くて、優しくて、勇気のある男の子。繊細な心の動きを自然に表現するアントンの、愛らしい演技に引き込まれました。

アンソニー・ホプキンズ演じる老人は、目立たないようにそっと暮らしていますが、彼が持つ特殊な能力によって、ボビーをさまざまな場面で助けます。知的な老人テッドの、すべてを達観したようなあきらめと哀しみ、時折見せる凄みに圧倒されました。

ジョーズ (Jaws) 1975

今さら説明の必要のない、スピルバーグ監督の1975年の出世作であり、大ヒット映画です。これまで何度もテレビ放映されていたのに、ただのパニック映画だと思って敬遠していたことを後悔するくらい、さまざまな示唆に富んだすばらしい作品でした。

一方、スピルバーグ監督の自伝的映画「フェイブルマンズ」を見た今だからこそ、スピルバーグの映画作りの原点とつながって、より興味深く見ることができたので、結果としてはちょうどいい機会だったのかもしれないとも思いました。

また、特徴のある薄墨色の家並みをひと目見てケープコッドとわかりましたが、後から本作品がケープコッド沖のマーサズ・ヴィニャード島で撮影されたことを知り、懐かしいアメリカ生活の思い出とともに、この映画が私にとって特別な作品となりました。

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市長が人命よりも経済を優先したために、最悪の事態を招いてしまったこと。腕力に自信のある鮫ハンターでも、頭脳に自信のある鮫博士でもなく、その場で一番冷静だった消防署長?が鮫を仕留めたこと。いろいろ含蓄がありました。

CGのない時代なので、鮫もおもちゃのような作りですが、背びれとジョン・ウィリアムズの2音だけの音楽で、これだけの恐怖を表現できるなんて。海からざば~っと鮫が口を開けて現れるシーンでは、思わず叫び声をあげてしまいました。

パニック映画は前半のパートだけで、海に出てからの後半のパートは、鮫を相手に「白鯨」を思わせる壮大なアドベンチャー映画となっていたのも、意外なサプライズでした。

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