ドキュメンタリー映画の想田和弘(そうだかずひろ)監督がマイブームです。ご本人は『観察映画』と名乗っています「ナレーションや字幕での説明を行わない」「事前のリサーチを行わない行き当たりばったりな撮影」などなど、雑なアプローチのように聞こえますが緻密な編集作業を経て数々の傑作を生み出しています。
映像作家の入り口あたりまで行って諦めてしまった私なので、想田和弘監督の言葉はことごとく刺さって来ます。ちなみに現時点ではまだ彼の作品は観ていません。普通のレンタルビデオ屋には置いてなかったりする。彼の書いた本を2冊読んで「これは観るしかない」となりました。TSUTAYAでレンタルDVDを2本、予約しました。たぶん福岡あたりからの取り寄せ。
書きたいことが山ほどあるので、複数回に分けて関連記事を書こうと思います。
以下は マガジン9:https://maga9.jp/ というネットメディアからの転載。この監督はあちこちで政治批判も書いてます。こっそり閲覧することをお勧めします。最新作『精神0』は「仮設の映画館」からネット配信中です。
↓
「仮設の映画館」で公開中の新作『精神0』の中に、精神科医の山本昌知医師が患者さんにこんな助言をする場面がある。
「“ゼロに身を置く日”を作ったらええんじゃねん?」
山本先生によると、ゼロに身を置く日とは、今を生きる日のことである。
私たちには「ああしたい、こうしたい」「こうあってほしい」という欲や願望があるが、現実には、そうした欲や願望はなかなか叶わないものだ。「空を飛びたい」と思っても飛ぶことはできないし、「明日は晴れてほしい」と思っても雨が降ったりする。起きてほしいことよりも、起きてほしくないことの方が頻繁に起きたりするのが、この世の常なのだ。
そこで先生が提案するのは、一週間に一度くらいはゼロに身を置き、そうした欲や願望そのものを捨ててみるということである。「ちくしょう、なんで思い通りにならないんだ!」と怒ったり落ち込んだりするのではなく、「思い通り」そのものをやめてみる。「ああしたい、こうしたい」を無しにして、「今日は生きてるだけ」と今に感謝してみる。ご飯を食べるときにも、「おいしゅうご飯が食べれる、ありがてえこっちゃ」と幸せを噛みしめ、誰かに叩かれて痛かったら「痛えのがわかったいうことは生きとるからで、死んどったらわからんわなあ、生きとってよかった、よかった」と感謝してみようというのである。
「結構“ありがたい”が増えたら、気分がええで」
山本先生のこの言葉には、医師としてのアドバイスというよりも、なんとなく個人的な実感がこもっているように感じられた。きっと先生ご自身も、ゼロに身を置くことを自分自身に言い聞かせることで、幾多のピンチを乗り越えてこられたのではないか。そんな気がしたのである。
映画作家・想田和弘の観察する日々
第88回:ゼロに身を置く 2020年5月13日 からの転載
追記: 想田監督が信奉するフレデリック・ワイズマン監督(現在91歳)の新作は、272分もの長尺。題名は『ボストン市庁舎』。この宮崎でも1週間だけ(2021年12月24日から30日)公開されます。チケットは2800円。Weekend Cinemaのインタビュー記事を見つけました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
関連情報
雑誌『女性自身』のweb版です。
↓
映画「精神」 想田和弘監督×山本昌知医師 ロングインタビュー 2009/06/20
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
このブログ内の関連情報
熱狂なきファシズム 想田 和弘 2014 河出書房新社
2020年05月23日 毒書感想(宮崎)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます