(通路脇の玉貸機も懐かしい…)
「午後6時の新装開店」が当たり前だった、昔のパチンコ店。
「整理券」みたいな気の利いたモノも、まだまだ少なかった頃だ。
何はともあれ、「早く並んだモノ勝ち」の時代である。
開店前の入口前に陣取り、シャッターが開くのを今か今かと待ちわびる。
普段より出玉が良い事が判っているから、期待感もハンパなかった。
もちろん、ボッタクリ店の新装だと、信じられない程の渋釘だったけれど…。
そして、一たびシャッターが開けば、全員が猛ダッシュで店に入ってくる。
入口付近の店員は、「いらっしゃいませ」と頭を下げている余裕はない。
怒涛の如く押し寄せる客を避ける事で、精一杯である。
コチラの方だって、間違ってコケたりしたら、後続の奴らに踏まれても、文句は言えない。
特に、一発台や新台のシマには、「我れ先に」と皆が殺到した訳で…。
狭いシマ通路に、何人もの客が一気になだれ込むから、混乱振りも凄かった。
レールに置かれたドル箱が、「ガラガラッ」と音を立てて床に落ちる。
ダッシュで席を確保してホッとする者、上皿・下皿にライターを投げ入れる者…。
客同士が台の取り合いで揉めるのも、新装時の風物詩だった。
そんな混乱をよそに、店の外ではチンドン屋の軽快なメロディーが通行人を誘う。
色んな意味で「混沌」としていた当時のパチ屋は、実に楽しかった。
「健全な娯楽」…聞こえはいいが、パチの魅力が減ったのも、実は健全化を推し進めた結果ではないか。
パチ・スロも、所詮は「博打」である。
多少なりとも不健全で怪しいほうが、却って面白いのかもしれない…。