まにあっく懐パチ・懐スロ

古いパチンコ・パチスロ、思い出のパチンコ店を懐古する
(90年代のパチンコ・パチスロ情報がメイン)

パチンコ物語(松竹映画、1990年公開)

2012-03-07 03:35:15 | 懐かしのパチンコ・パチスロ映画

「パチンコ物語」

(松竹映画、1990年6月16日公開作品)

 

(パッケージに映っている台は、平和の一発台「レインボー」)

 

監督:辻 理

原作:間部洋一

脚本:大原豊

制作:五陵プロモーション

出演:古尾谷雅人、財津一郎、中原早苗、乙羽信子、山岡久乃、船越栄一郎、岡田奈々、室田日出男、桜金造、なぎら健壱、角野卓造、高田純次、未唯(MIE)ほか

⇒改めてみると、かなりの豪華キャストである。 

 

(あらすじ)

二代続く老舗パチンコ店「アサヒ会館」のオーナー、打田国松(財津)は、一人息子の朝男(古尾谷)に店を継がせるつもりでいた。しかし、幼少より家業であるパチンコ店の嫌な部分を多く見てきた朝男は、店を継ぐことを嫌い、一流コンピューター会社への就職を決める。国松の激しい怒りを買った朝男は、勘当同然で家を飛び出す。朝男の母・昌子(中原)は、父子の修羅場に狼狽するばかり…。


それから10年…朝男は、今や大企業でバリバリ働くエリート社員だ。一方、国松といえば、相変わらずのワンマン経営ぶり。愛人(未唯)を囲い、店の金庫から札束を掴んでは、派手に飲み歩く毎日を送っていた。オーナー仲間(小鹿番)や地回りヤクザの親分(室田)とクラブに出向き、高級ベルトや時計をホステスに自慢する成金趣味の国松。だが、店を継ぐ気の全くない朝男を思い出すと、「アイツは、何も判っちゃいねえ…」と涙ながらに愚痴をこぼす。


しかし、当の朝男も、上司の理不尽な言動がきっかけで、会社勤めの現状に疑問を感じ始めていた。そんな時、朝男は学生時代の友人・沢田(船越)と再会する。沢田は、朝男と同じパチンコ店の息子だったが、現在は家業を継いでいた。沢田は、新事業のプリペイドカードが導入されればパチンコ業界も大きく様変わりし、いずれ大きな事業展開も見込める、と朝男に力説する。最初は戸惑いを見せつつも、次第にホール経営に興味を持ち始める朝男。ただ、妻の三津子(岡田)は、彼がパチンコ店を継ぐことには猛反対していた。


そんな時、国松の豪邸に突如として脱税の強制調査が入った。昔気質の国松は、プリペイドカードを推進する組合執行部に強く異を唱えた為、意趣返しの形でタレ込まれたのだ。畳の下に隠してあった大量の札束を発見され、ショックで倒れる国松。知らせを聞いた朝男は病院に駆けつけるが、国松は「お前の世話になる気はない」と、弱々しい声で憎まれ口を叩く。


父の入院をきっかけに、真剣に家業を継ぐことを考える朝男。 沢田と共に訪れたコンサル会社では、これからのパチンコは従来の「家業」から「企業」に変わるべきだと聞かされる。明るく、健全なホール経営に新たな夢を見出した朝男は、ついに店を継ぐ決心をするが…。

 

(見どころ)

あらすじでも書いたが、本作は、昔気質のパチンコ店オーナーと、そんなワンマンぶりを嫌う二代目との確執など、当時の個人経営型ホールが抱えた後継者問題を描いている。本作が公開された1990年は、パチンコ業界もプリペイドカード問題に揺れており、昭和のワンマン経営型から近代的な企業経営に業態を変える「過渡期」にあった。本作でも、パチンコ店を会社組織化して近代化を図ろうとする朝男と、古い考え方に拘る父親・国松との間で、激しいやり取りが繰り返される。

国松を演ずる財津一郎は、本作以後も「パチンコ物語」シリーズの実質的な主役として、圧倒的な存在感を見せ続けた。中原早苗との夫婦漫才的な掛け合いも、シリーズの定番となった。なお、主演の古尾谷雅人は、残念ながら2003年に自ら命を絶った。古尾谷さんのご冥福をお祈りします。

(主演の古尾谷雅人)

 

22年前の古い作品ということで、今や懐かしいパチ屋の光景も随所に見られる。国松が経営する老舗ホールのロケ地は、クレジットこそ出ていないが、恐らくは葛飾区・金町駅北口「アサヒ会館2号店」(現・「ダイナム」金町北口店)だろう。

朝一の開店風景では、常連の壮絶な台取り合戦が映し出される。そして、くわえ煙草で通路を歩くベテラン店員に、カウンターでバカ騒ぎする厚化粧の女店員達。ホール内は演歌が流れ、ダミ声のマイクパフォーマンスが響く…。一昔前のパチ屋の香ばしい空気が、画面からジンワリ伝わってくる。常連の老婆(乙羽信子)が、換金所の場所を尋ねる初見の客に「アンタ、一割くれるかい?」と念を押すシーンには、思わず笑ってしまう。

店内に並ぶ台も、当時を偲ばせる昭和末~平成初期の名機ばかり。ジャイアントセブン(大一、デジパチ)、ニュービッグセブンP4(同)、ニューヤンキーIII(ニューギン、デジパチ)、ドリームX(奥村)、ビッグシューター(平和、ハネモノ)、ベンハー(大東音響、パチスロ2-1号機)などが映像から確認できる。

(ニューギン「ニューヤンキーIII」)

 

釘師が閉店後の深夜に来店して、デジパチの釘調整をする場面も印象的だ。クラッシックカーで店に乗りつける黒服の釘師を、今をときめく「テキトー男」の高田純次が怪演。ラジオの天気予報が「雨」だったので釘を開けるが、予報は外れて翌日は快晴。開け過ぎの釘で店内はバカ出し状態となり、ベテラン主任(桜)が「バカヤロー!」と悔しがるコミカルなシーンである。

地回りのヤクザとの関係も、当時のホールが抱えた問題だが、本作では、国松と古くから付き合いのある「熊虎組」の存在が、ストーリーにインパクトを与えた。組長を演ずる室田日出男は、まさにハマリ役といったところか。また、組長の息子で若頭の富雄を、なぎら健壱が好演。富雄一派が、対立するヤクザと乱闘するシーンは、新宿・歌舞伎町「王城」裏の「歌舞伎町公園」で撮影されたものだろう。

ストーリー序盤、物騒な換金所強盗のシーンが出てくるが、ロケ地は千代田線・綾瀬駅のガード下と思われる。居酒屋「赤兵衛・田んぼ店」、紳士服「一色」、中華料理「東好」、居酒屋「ぽんた」などが映っているので、間違いないだろう。

その他、ストーリー終盤で朝男がオープンさせた近代的なパチ屋は、JR新小岩駅南口の「ダイナム新小岩店」だ。また、朝男がコンサル会社の担当者と共に見学するホールは、「辰巳ジョイタイム・竹ノ塚店」(後の「ピーアーク竹ノ塚」)か。

ラストの新装開店シーンでは、ホール内でロックを生演奏するバンドが登場。クレジットでは、「BANG GANG CLUB BAND」(バン・ギャン・クラブバンド)の「GET READY HAPPY」という曲らしいが、詳細は全くもって不明…。