1992年(平成4年)にタイヨーから登場した3-2号機「トライアンフ」
独特のファンファーレが好きだったな。 ボーナス中のけたたましいBGMもクセになった。
タイヨーといえば、ハイアップターボ(西日暮里の「ランボー」が懐かしい…)、リスキーダック、ミラクルUFOなど、筐体の「右レバー」が伝統であった(左利きの私には、非常に扱いにくかったが…)。
一方、後継機のトライアンフは、旧来の右レバーを廃止して、新たな筐体には「スタートボタン」が取り付けられた。ただ、左手での操作が楽になったとはいえ、「ボタンを押してリールを回す」という慣れない行為には、当初かなりの違和感を覚えた。なんだか、将棋を指している感じがしたな(笑)。
右リールに7絵柄が6個あるのも特徴で、右リール7の目押しは不要。また、通常時の小役は「ベルベル7」「ブドウブドウ7」など、右リールの7が代用絵柄になっていた。
初打ちは、上野ガード脇の「百万弗」(閉店)。その時の客付きはそれ程でもなかったが、爆発中の台もチラホラあった。おっかなびっくりの初勝負は、単発ボーナスを2度引いただけで、連チャンする事はなかった。
その後、勝手知ったる高田馬場の「ダイナム」(閉店)でも本機と遭遇。授業終わりやサークル活動後などに、度々勝負に出かけた。
(ダイナム高田馬場…1998年に閉店)
いずれの店も、ビッグ連チャンの「貯金Ver」だった事は、ほぼ間違いない。
ただ、ホームともいえる新宿で、当時トライアンフの設置を見かけた記憶がない。もともとタイヨーの台を置く店が少なかったので、導入のきっかけがなかったのだろう。まぁ、これは新宿エリアに限った事ではないが…。
(ボーナス確率)
設定1 設定2 設定3 設定4 設定5 設定6
BIG 1/356 1/327 1/303 1/282 1/277 1/273
REG 1/221 1/202 1/186 1/140 1/138 1/137
ノーマルは、レギュラー確率の高いマイルドなゲーム性(BR比=約1:2)だったが、当時出回ったトライアンフの多くが、派手な連チャンをかます貯金タイプの裏モノであった。
裏トライアンフはビッグの貯金が前提の為、BR確率も上記と大きく異なる(ビッグ確率を上げる一方、レギュラー確率を削っていた)。
主なリーチ目は、ズレ目、中段小役揃い、チェリー、タイヨー(太陽)揃いなど。また、左リール上段にボーナス絵柄がスベッて来た時もアツい。
ズレ目は、トライアンフの代表的なリーチ目。バニーガール等ではお馴染みだが、タイヨーの従来機にない新たな特色でもあった。
本機のリール制御として、(1)フラグ未成立時は、必ず何らかの絵柄をテンパイさせる(2)フラグ成立時、絵柄が引き込み範囲内にあれば最大限スベるが、引き込めない場合はビタ止まりする、という大きな特徴があった。これは、従来のタイヨーに見られなかった制御だ。
中リールには、ボーナス絵柄の「7、BAR、王冠」が一つづつしかなく、ボーナス成立後は頻繁にズレ目が出現する。但し、チェリーやタイヨーの取りこぼしによる「ガセズレ目」の場合もあり、常に期待と不安が入り混じった。
なお、各リールの引き込みコマ数が4コマ未満だった事も、ガセズレ目発生の一因とみられる。
一方、中段小役揃いは、タイヨーの伝統的なリール制御によるリーチ目である。
タイヨー各機種におけるリール制御の特徴に、「成立絵柄を止める際、第一停止時には、必ず有効ラインが多い位置(角)に引き込む」というものがある。
すなわち、通常時(ボーナス非成立時)に小役フラグが立った場合、成立絵柄は必ず左リール上下段に停止する。
しかし、ボーナス成立後は、フラグの立ったボーナス絵柄を上下段に止める制御が優先される。その結果、同時成立した小役が中段に揃うようになるのだ。
そして、トライアンフといえば、この「タイヨー揃い」を忘れる事は出来ない。ビッグボーナス成立後の等倍返しによるリーチ目だが、通常時にも低確率で抽選されている為、「ガセタイヨー」もしばしば出る。その事が、かえってゲーム性を面白くしていた。なお、中段タイヨーは鉄板。
その他、やはり等倍返しのチェリーもリーチ目(ガセあり)。また、左リール上段にボーナス絵柄が滑って来た時(枠下にチェリーがある時を除く)も、高確率の一確目となる。
さて、トライアンフの裏モノについてだが、当時の内部解析に携わった訳ではないので、あまり詳しくはない。ただ、ハッキリしているのは、貯め込んだビッグをまとめて放出する「貯金タイプ」がメインだった事だ。
この貯金Verは、電源ボックスからポケコン(小型のコンピュータ端末)を通じて、様々な裏設定を入力するタイプが出回った。モーニング、レギュラー、テーブル、天井、連チャン率、スランプなどの各条件を細かく設定できるもので、当時の攻略誌によれば、裏設定は「117649段階」もあったらしい。良く、裏設定が「5400通り」などと言われていたが、それよりも遥かに多い数値である。
ただ、このポケコンVerは、入力手順が複雑なうえ、代理業者が使う専用のポケコンを使わなければ、一部の裏設定が出来ないなどの不都合があった。そこで、新たに登場したのが、やはり貯金タイプの「裏ROM」Verである。
こちらはポケコンなど不要で、(1)単発、連チャンの比率(貯金確率)、(2)貯金数の選択(3)連チャンスピード、(4)貯金の仕込み、(5)モーニング、(6)イブニングなど多岐に渡る項目について、比較的容易に設定する事が可能だった。ボーナス確率の変更も可能だったようだ。
裏設定によっては、クレジット内で速攻連チャンすることもあれば、ダラダラと50~100ゲーム程度の間隔でビッグを引き続ける事もある。ダラダラ放出中に帰ってしまった客の後釜を掘るなど、中身を知る者には美味しい状況だったといえる。前日放出中だった台の宵越しなども狙えた。
しかし、ここまで細かな条件が設定できれば、店としてはまさに「やりたい放題」だっただろう。前日のドハマリ台でさらに回収することも出来れば、モーニングからの仕込み連チャンで爆裂する「看板台」なども、思いのままだ。
そんな訳で、トライアンフのシマは、朝一のモーニング合戦から夜遅くまで、実に様々なドラマが展開された。間違いなく、当時のパチスロファンをアツくした名機であろう。但し、裏に限る(笑)。