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まにあっく懐パチ・懐スロ

古いパチンコ・パチスロ、思い出のパチンコ店を懐古する
(90年代のパチンコ・パチスロ情報がメイン)

ベータ(ニューギン、一発台)

2012-09-04 00:10:02 | 一発台

1989年(平成元年)にニューギンから登場した一発台「ベータ」

 

私がホールで最初に打った一発台であり、非常に思い入れの強い機種だ。比較的相性も良く、トータルではプラス収支だったと思う。

「ベータ(β)」があるという事は、「アルファ(α)」もあるのか、いう疑問もあろう。その通り、ニューギンの一発台には「アルファ」も存在した。コチラは、ベータと同じクルーンの下にスタートチャッカーがあり、その下の二桁デジタル(確率1/50)が揃い、開放した電チューが玉を拾えば大当りという「デジタル一発台」だ。

また、少し遅れて、豊丸からも「アルファ」という一発台が出たが、これは三共「ターゲット」の回転盤とベータの役物を二段重ねにした感じの、ある意味「贅沢」な役物が特徴だった。

 

さて、「ベータ」のゲーム性であるが、まず天横からクルーンに玉を入賞させる。クルーンから落ちた玉は、その下のハカマ釘を通り、一本釘に当って中央ヤクモノに入る。ヤクモノはステージ状になっていて、奥に3分割された穴がある。左右はハズレ穴、中央が大当り穴だ。

但し、役物ステージの中央には、V入賞を邪魔する「突起」が付いている。しかも、V入賞口の手前が盛り上がっている為、容易にVには入ってくれない。V穴の手前で玉が止まる事もあったが、親切な店員だと、そのまま当り穴に入れてくれたりもした。

 

V穴に入ると、左右の肩チューリップが開き、下段中央の2回開きチューリップに玉が流れ易くなる。その後は、2回開きチューリップと下段両サイドの電動チューリップ(メモリー機能付)の連動で、予定数終了まで玉を増やしていく。大当り中の軽快なサウンドと、電チュー開放時の機械的な「ピロピロ」音が特徴だった。

マイホでは、大当り後に右打ちする必要があったが、店によっては、通常ストロークで玉が増える釘調整が施されていた。

 

この「ベータ」、第一関門のクルーンには比較的玉が入るが、役物内の振り分けが非常に厳しい。完全一発型とは真逆の、「下手な鉄砲、数打ちゃ当たる」タイプの一発台として知られ、三星の「セイヤ」と双璧をなした。時期的にはセイヤの方が先なので、セイヤを外してベータを入れる店もあった。

 

当時、店ごと、台ごとに様々な釘調整が行われていたのは、ベータファンならずとも、一発台フリークならば、良く記憶しているだろう。

ベータの場合、天釘やブッコミといった箇所の他に、(1)天横クルーン脇(2)クルーン下のハカマ釘(3)役物上の一本釘(4)一本釘両脇の二本釘の4か所を調整する事で、V入賞率に大きく差が付いた。

特に有名なのが、役物の真上に打たれた「一本釘」の調整である。ここを上げ・下げ・左右と微妙に動かすだけで、役物内の玉の動き、即ちV穴への入賞率に、かなりの違いが出た。

また、あまり知られていないが、一本釘の両サイドにある「二本釘」の調整も、V入賞率に大きな影響を与えた。二本釘を内側に寄せれば、一本釘に当った玉が二本釘にうまくバウンドして、役物内で勢いを増してVに入賞するパターンが増える。逆に、二本釘を外側に開くと、玉が絡まずに勢いが弱まり、結果としてハズレが多発する。

同様に、クルーン真下のハカマ釘の開閉により、役物入賞率やV穴入賞率を調整する事も出来る。ハカマ上部を狭くして、さらにクルーンとの「ズレ」を生じさせれば、役物への入賞率は格段に下がる。ただ、あまりにハカマを緩くすると、役物には良く入るが玉が変にバラついてしまい、V入賞率も悪くなる。

こうした釘調整を組合せる事で、「クルーンにはポンポン入るが、役物から頻繁にこぼれる台」「クルーンにも役物にも良く入るが、徹底してVを外す台」「クルーン入賞はキツ目だが、V穴の振り分けが甘い台」など、全く個性が異なる台を作り上げる事が可能だった。V入賞率が、「1/20~1/100以下」と台ごとに大きく異なるのが、ベータの腹立たしくも面白いところだ。

もちろん、釘のみならず、役物の「クセ」も重要な要素である。ステージの傾斜やV手前の盛り上がり具合など、微妙な違いがV入賞率に影響した事は、言うまでもない。

 

最もベータファンにとって鬼門だったのが、V穴手前の「突起」の存在である。V穴を塞ぐようにドーンと立ちはだかる7~8ミリの白い出っ張りに、多くのファンがジリジリさせられた。ごくまれに、この突起の真上に玉が乗っかるという、アクロバティックな「珍事」も起きたりした。

 

実は、ベータの突起には、ある「秘密」が隠されていた。

外から見ると、役物ステージと突起は一体型のように見える。しかし、実はステージ中央に穴が開いており、下から突起を挿し込む「分離構造」になっていたのだ。盤面裏に回れば、役物ステージから突起と固定具を分離できた。

              

この突起の挿し込み加減で、V穴手前の傾斜度合いも変わり、V入賞率に影響を与えたのだ。

酷いボッタ店など、役物ステージと突起の間にナイロンワッシャーを挟み、隆起を過度に大きくして、V入賞率を下げていたというから驚きだ(V入賞率1/1000以下の「激辛台」が誕生)。

ワッシャーは、接合部の裏側から噛ませていたので、打ち手からは決して見えない。しかし、こういう台は、突起の長さが通常よりも短く見える特徴がある。もし見つけたら、決して打ってはならない「罠台」だが、全台この「インチキ調整」だったら、お手上げであろう。

こういう「極悪非道」な店に比べれば、Vの手前に「瞬間接着剤」を塗ってV入賞率を下げていた店など、インチキが目で見える分、まだ可愛かったともいえる。

全くもって、当時のアナログな一発台やハネモノには、思いもよらぬ「見えざる手」が隠れていたものだ…。