連日報道されている盲導犬の災難、どうやらフォークで刺されたらしいとのこと。
痛ましい限りです。これほどまでに人の心が荒んでいるかと思うと恐ろしくなります。
10数年近く前のことですが山手線に乗って座席に座っていたところ、反対側のドアーから盲導犬が乗ってきたことがありました。飼い主の方は降りやすいようにドアーの横の座席に座り盲導犬はその前で伏せの状態で座っていました。
しかし、ドアー近くの床は我先にと乗り込んでくる人々の死角にあたり座席に座りながら犬が踏まれやしないか(特に尻尾)ひやひやしてみていたところ、犬の隣に立っていた方が犬をまたぐような形で立ち、自分の体で犬を守り始めました。同じ車両に乗り込んでいた方々も皆気になっていたらしく安堵の表情が見て取れます。
それからしばらくはその方が大挙して乗り込んでくる乗客から犬を守っていました。もちろん飼い主の方は視覚障碍者の方なので気がついてはいないと思うのですが。
ところが犬を守っていた人もとうとうご自分の目的の駅で降りてしまい、この後犬はどうなるのだろうと一瞬思ったところ、今度もまた犬のそばに立っていた方が先ほどの方と同様に犬をまたいで立ち犬を守り始めました。
特に申し送りがあるわけでもなく、それぞれが自発的に行った行動です。もちろん無言で。
その光景を見ている同じ車両に乗り込んだ人々の間には何とも言えない暖かい雰囲気が感じられて、とても心が温かくなった記憶があります。
おそらくその車両ではもし誰も犬を守る人がいなければ自分が守ってやろうと思っていた人がたくさんいたんだと思います。
それからたった十数年でこれほど変わってしまうものなのか、盲導犬は目立つのでおそらく同じ車両に乗り合わせた方の中には不審な動きをする人を目撃した人もいるのではないかと思われます。
誰も注意しなかったのか、それとも気が付かなかったのか・・・。
自分に危害を加えられる可能性も考えて見て見ぬふりをしたのでしょうか。
人間でも動物でもむやみに傷つけて良いわけがない、傷つけられたものの痛みが想像できない、そういう人が増えてきているのかもしれません。
いけないことはいけないと注意する大人も少なくなってしまったし。
思いやる気持ち、優しい気持ちを大切にしたいものです。