清運寺だより

ようこそいらっしゃいました。甲府市にある日蓮宗寺院の住職のブログです。日々の出来事、感想、行事などをご紹介します。

葬儀前の火葬は風習ではない。

2012-08-29 10:11:06 | 行事

昨日行われたジャーナリスト山本美香さんの葬儀が実家のある山梨県都留市で行われました。

テレビで放映されたニュースのなかで気になったことが。

昼頃から行われる葬儀に先立ちその日の朝火葬場に向かう光景を映し出しているとき、「この地域では葬儀前に火葬をする風習がある」と紹介されていました。

山梨では現在多くの地域で葬儀前に火葬をするということが広く行われています。しかしこれは昔から地域で行われている風習ではなく、葬儀が自宅や寺院ではなくホール(斎場)で行うことが増えてきたことに起因します。

宗教的あるいは習俗的な意味があるのではなく、単に葬儀社の都合によって変更されたものです。

ホール葬の場合、葬儀後多くの場合続いてその場所で初七日とお斎が行われます。

葬儀はたいてい午後1時頃から行われるので、もし葬儀後に火葬ということになればそのあとに行われる初七日とお斎は夕方にずれ込んでしまいます。そうするとその日、その場所で別の通夜を執り行うことが難しくなってしまいます。なので、効率よく会場を使うために火葬を葬儀前の午前中に行うように仕向けてきたのです。

葬儀社が施主さんに説明しているところを目撃したことがありますが、「葬儀の前に火葬をするのが決まりです」などと平気で行っているのを見てひどく憤慨した覚えがあります。

仮にちゃんと意味がわかっている施主さんが「葬儀のあとに火葬をするのが当たり前でしょう」と反論すると火葬場が空いていないからと火葬場のせいにする始末。(実際調べてみると火葬場が空いていることがある)

何もわからない施主さんならばそれが当たり前なのかとそのまま受け入れてしまうことが多かったのでしょう。それでだんだん葬儀前に火葬を行うのが正しいことのように一般化されてきただけなのです。

これにはそれを阻止できなかった寺院、僧侶の責任もあります。

また、ニュースでは「告別式が営まれ・・・・」というタイトルで紹介されていました。

ちゃんと菩提寺と思しき僧侶が葬儀を取り仕切っているのに。

葬儀と告別式がごっちゃになってしまっています。

何のために僧侶がいるのか?葬儀とはなんなのかということがわからなくなっているのでしょう。

大雑把に言えば、葬儀とは亡くなった方のために行うもの、告別式とは亡くなった方とお別れをする生きている人間のために行われるもの。告別式だけを行うなら生きている人間が自己満足するだけのものとなってしまいます。

本当にそれでいいんですか?

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コメント (2)
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