麗しの青林檎 -Marine & Silk-

AN OLD & A NEW MAC A NEW LEGEND ~だって俺、MACだもん~

長く使えるコンピュータとは

2005年06月10日 | Mac & Windows
 「そこそこ的中?」のコメント欄における議論系雑談(苦笑)にて発展した話題から…。現在溺愛中のうちのMarineちゃん、正名「Power Mac G3 B&W(通称Yosemite)」はもうかれこれ5年前の機種である。そう、思いっきり前世紀製である。それを21世紀になって既に5年半も経過している今頃好き好んで買って金かけてパワーアップしてメインで使おうというのだから私も酔狂極まりない奴だと思うが、これを「つまるところMacはながぁ~いこと使える素敵なハードなんだ」と単純に考えていいかというとそうではないと思う。いや、Macが長く使えるコンピュータであるということは言えるかもしれないが、「長く使う」ことに関して言えばもしかしたらWin機の方が上かもしれないのだ。

 うちの娘(Marine)には現在OSX/Pantherが乗っている。Pantherは旧機種であればあるほど動作が軽い(ということが現行マシンに比べてより体感できる)と言われており、更にTigerではもっと軽くなっているというが、それでも全くのノーマル状態にPantherを乗せただけでは(私にとっては)使用に耐えうるものではなかった。Marineがめでたくメインマシンとなり、Windows環境から(ほぼ)完全にお別れすることができるようになるまでには、ATA133カードの導入と高速なATA133HDDの増設が不可欠だった(これについてはこのブログで既に何度も書いている)。また、現在では更にメモリを512M増設し合計でメモリは704M積んでいる。

 私がそれまで使用していたCOMPAQ Presario 5150は、Marineと販売時期がほぼ同じで基本的なスペック差もほとんど無い。そしてWinMeを乗せ、(よく原因不明で落ちて再起動させられはしたものの)特に致命的な不具合も無くそこそこ快適に使用していた。もしこいつにMarineと全く同じ手術を施していたら、どうだっただろうか。おそらく、XPを乗せてもそこそこ動く程度にはなったはずだ。

 私がCOMPAQをパワーアップさせて延命しようと思わなかったのは、結局そこまでWindows機にお金をかける気になれなかったからだ。私には常に「いつかはMacを」という思いがあったし、ハードの増設やら何やらに対する知識がほとんど無かったし、何よりハードスペックを色々あげた上で更にOSを買うとなると安いマシンが新品で買えてしまう。それにWindowsを使い続けるということはセキュリティ対策にも結構なお金と労力(精神的負担)がかかり、セキュリティソフトは毎年のように動作が重くなるからやはりハード面のパワーアップは必至…、OSもいい加減Meだときつい面があり…、ということで結局中古Macにすがる方がよさそうでしかも幸せそうだと判断したわけである。中古Macでも結局OSを新調しHDDを増設せざるを得なかったわけだから、単純にWinよりMacの方が長く使えるということにはならないと思う。

 更に、古いOSのまま頑張って使い続けるという選択肢を考えてみる。その機種が販売された時にプリインストールされていたOSをひたすら使い続けるのであれば、ハード面でのパワーアップは比較的少なくて済む(Winに限らず「PC/AT機」ということで考えれば、元々低スペックのマシンで動く事を目的に作られたLinuxを入れられるPCはMacより更に延命できるとも言えそうですし)。しかし、この場合Macには致命的な欠点が存在する。(ネイティブでの)ソフトの互換性がほとんど無い事だ。

 MacはOS9からOSXへの移行により過去の資産をすっぱり切り落としてしまった。クラシック環境は用意されたもののそれは言わばOS9エミュレーターであり、しかも今ではもうクラシック環境をインストールするためのOS9メディアは「お金を出して(店頭販売や通販などの)正規ルートで手に入れる」ことが不可能であり、OS9で起動する事が出来なければ動かせない(クラシック環境では正しく作動しない)ようなソフトもあり、何よりMacはマイノリティゆえ、そもそも古いOSで作動するソフトを探すこと自体、OS並に店頭で手に入れることが難しいのである。

 Windowsの場合、古い機種、たとえばWin98がプリインストールされたマシンを中古購入して「さぁこれからパソコンっちゅーもんをはじめてみるぞ」という場合、今MacOS8.6が乗った中古Macを現役で使う事に比べれば優位な事この上ない。単純にWindowsがあまり進化していないということも言えるかもしれないが(苦笑)、ほとんどのソフトや周辺機器はまだ98をサポートしており、サポートはしていなくともXP用のフリーソフトが98やMeで動いてしまうなんてこともままあるし、私の経験ではMeでWin3.1用のゲームソフトが動いてしまったなんてこともある。Macの場合、OSXとクラシックOSとの互換が乏しいことは言うまでもなく、OSXだけ見ても、チーター・ピューマ・ジャガー・パンサー・タイガーの間でのソフトの互換はよくない(例えばPantherからTigerにアップグレードしたとたん、あるアプリが使えなくなった、なんて経験をお持ちの方は最近いらっしゃるはず)。更に今度はIntelチップ採用でますます過去の資産が消えて行く可能性が出て来てしまった(対策は取られていますけど)。

 私はジョブズファンだし(ジョブズ信者と笑わば笑え)、MacOSを捨ててMacOSXになったこともCPUがIntelに移行することも、長い目で見れば必ず、Macユーザーはおろか世界中の人にとって利益をもたらすに違いないことだと信じる。しかし、Macの場合あまりにも先へ先へと進みすぎるためMacユーザーは常に「過渡期という渦の中」で悶え安定する事が無い気がする(それがまた楽しいんですけどね!)。翻ってWin陣営というのは、9x系からNT系へ移行した際も9x系の資産を維持し、また進化が停滞気味のために、ながぁ~~~く使えるかどうかという観点で見ればMacより長く使える部分はむしろ多いと思う。9x系をばっさり切らなかったために不安定要素を抱えたXPと、OS9をばっさり切ったために安定したMacOSX。これは見方により評価が完全に分かれることだと思うが、AppleとMS、ひいてはジョブズとゲイツの考え方や性格をも表しているようで興味深い。

 と、ひとしきりWinの弁護もしてあげたところで(爆)、あらためて「長く使う」という事に関してうちのMarineちゃんを分析してみたいと思う。Marineと同じようにCOMPAQに金をかければ、Marineで得られたのとほぼ同様の効果が得られたはず、ということは既に述べた。しかし、私はしなかった。何故か。それは、Marineには「いくらお金を積んでも惜しくない」と思わせる何かがあり、Win機には金を出して延命させたいと思わせる何ものも無かったということだ。技術的即物的な観点で今まで淡々と「延命ということならWinの方がむしろ優れているかも」と言ってきたが、「機械の延命」に関してはこういった「感情的な面」が大きく左右するかもしれない。第二には「Windowsのハード増設は難しそうで、Macは簡単そう」と私が感じたことだ。私がこれまでWin機に対しやったことと言えばCDRWの増設くらいで、それは単にケーブルを繋いだだけで簡単に認識させることが出来たから、WindowsでもMacと比べハードのパワーアップはそれほど難しくないのかもしれない。しかし、Windowsにはなんとなく「BIOSがどうこう」とか「ドライバがどうたら」みたいな難しい作業をしなければならなそうなイメージがあり、反面MacはAppleがハードを出荷しているため、基本的に繋ぐだけでオールオッケー!みたいなイメージが私には強くあったのである。また、自作機マニアにとっては選択肢が多い事が自作の楽しさであると思うが、私の場合「Macのパーツの選択肢の少なさ」が改造のメリットに映った。Marineちゃん用のATAカードと言えばACARDの6280Mや6260Mなどと言うように「定番中の定番」が決まっており、グラフィックボードなんぞはっきり言って「ATI RADEON 9200 MAC EDITION 128M PCI」以外の選択肢が(現状では)無い。しかしそれを買っておけばまず大丈夫な上、使っている人も(少なくともMac界の中では)多いので不具合が起きた際にもネットで似た症状を探しやすい。このように、知識が無く(少なく)ても増設できてしまえるという点ではMacの方が延命に対する敷居は低いと言えるかもしれない。それになんといってもMarineには、内部を弄ってパーツを増設してくれと言わんばかりの「内部へのアクセスがワンタッチで可能」という素晴らしい利点があり、外装を外すのに四苦八苦しなければならないCOMPAQに比べ私には都合がよかった。

 更に、先ほど言及したOS云々についても、うちのMarineはOS8.5.1から現行OSのTigerまで全てインストール&単独起動可能であり、過去のソフトも現行のソフトも(持ってさえいれば)使い放題である。ということで結論。

 「Macは長く使えるハードだ」とは言い切れない。しかしうちの娘は異常に長く使えるマシンなのだ(笑)。うはははは。Power Mac G3最高。Marine万歳。

(古いソフト持ってなきゃ意味が無いんですけどね…)