麗しの青林檎 -Marine & Silk-

AN OLD & A NEW MAC A NEW LEGEND ~だって俺、MACだもん~

Appleが本当にIntelチップを採用したら…

2005年06月05日 | Mac & Windows
 あちこちで取りざたされている「AppleがIntelチップ入れちゃうかも」疑惑。こんだけ騒ぎになってくるとやはり私も今のうちに何か一言書いておくべきではないかと重い腰を上げてみることにしますです(いや、どちらかと言えばアンタは尻軽だろうという突っ込みが聞こえてきそうですが…)。

 えー、まだ本当かどうか確定していないニュースなのですが、とりあえず「本当にIntel採用しちゃう」という前提で以下進めて行きます。

 Windowsユーザー(というかPC/AT互換機ユーザー)には嬉しく、現Macユーザーには穏やかならぬ、と言った印象のこのニュース、個人的な感情としましても、以前「CPUは間に合ってます」なんてカッコいい捨て台詞を吐いたジョブズに対して不信感や失望感を抱きたくなります。だがしかしです。今後Intelチップを採用することでMacがOSXとWindows(もしくはLinux等)をデュアルブートできるマシンになるのであれば、まず「Virtual PCが要らなく」なります。Virtual PCは今やマイクロソフトの製品ですからこの売り上げが激減するのはマイクロソフトにとってはプチダメージとなるでしょう。もちろん軽いジャブにすらなりそーにない、ホントにプチ程度なことではありますが、今まで「ほんのちょっと動作確認やWebでの表示確認をしたい」というだけのためにWindowsOSを使用する必要があった人には朗報でしょう。また、Intelチップが採用されたMacでOSXが動くようになるということは、PC/AT互換機でもMacOSXが動くようになる、PC/AT互換機用のOSXが開発される、という可能性があるわけです。

 「いや、そんなことは分かってるよ。だから騒いでるんじゃん」と突っ込まれそうですが、これはジョブズ(Apple)にしてみれば最後の切り札とでも言うべきものであって、OSXがTigerまで進化したところでいよいよ「完全に機は熟した」と見たのではないかと思います。つまり、「OS9(までのMacOS)という過去の資産を捨て、UNIXベースのOSXを作り上げ熟成させる」「iPod+iTunesというユニークで魅力的なグッズ+ソフトでWindowsユーザーの目をAppleに向けさせる」「Mac mini でWindowsユーザーをある程度スイッチさせ、スイッチしない人にも一層の興味をもたせる」という数々の布石をばらまいておいて、この攻勢です。OSの進化はもうかなり行き着くところまで現段階では行っていると(凡人の私の頭では)思いますし、ここで更にMacのシェアを高めWin帝国の牙城を崩すならやはりIntelチップ採用というのは相当の起爆剤になるのではないでしょうか。三国志で言えば、黄蓋(字が違うかも)が百叩きの刑になったりホウトウ(漢字忘れた)が連環の計を囁いているといった「赤壁前夜」の時期を過ぎ、いよいよ周瑜(どうしてこれだけ変換できるんだことえり!)が開戦の雄叫びを上げる、と言ったところでしょうか。

 もう「あのださい“Intel入ってる”シールが可愛いMacに貼られるのは…」という小さなことを言っている場合じゃないんです(いや、気持ちは私も痛いほどよくわかりますが、そんなもん剥がせばよろしい。だから剥がしやすいシールにしてね)。また、「CPUは間に合ってる」と言った手前一番悔しいのはジョブズでしょうが、しかしこれは「IBMがいつまでたってもPower PCのクロックアップや省力化に成功しない」ことに業を煮やした、なんて短絡的なことでは無いはずです。

 「MacがMacたる由縁(所以)」をどんどん切り捨てて行くようで従来のユーザーが悲しみ離れて行くのは分かりますが、しかし、ジョブズは常に「世界を変える」ことを考えている人で(はないかと思いま)す。シェアにして3%程度のMac、そのシェアをアップさせるべくあらゆる手はもう尽くした、というか、Win帝国に痛手を負わせるにはもう従来の方法論ではどうしてもダメなことに気づいて腹をくくったのかもしれません(OSXはWindowsとの親和性がかなり練られているOSですが、これはやはり「巨大なシェアのWinのことを考えねば、独自路線で気を吐いているだけでは、この世界ではもはや立ち行かない」という考えからでしょう)。「Macintosh」というコンピュータとその独自性を愛して止まない、しかしシェアはたった3%、という従来のユーザーを切り捨て(ある意味裏切り)、90%以上の新規ユーザーを取り込む、そしてMacOSのシェアとWindowsのシェアをひっくり返す、これはコアなMac信者であればあるほど悲しいことなのかもしれませんが、もし本当にWinとMacのシェアが逆転などということになったら私なんかにはもう笑いが止まりません。爽快なことこの上ない。「やはりジョブズは信長だ、たった三千の兵で今川軍を破りやがった」と扇子で膝を叩いて思わずほくそえんじゃいますよ。

 まぁIntelチップを本当に採用したからと言ってそんなトントン拍子に事が運ぶはずも無いわけなんですが、第一段階として「Macの中に(Virtual PC無しで)WindowsOSが入れられる」ようになれば、より一層Windowsユーザーからのスイッチが見込めるのではないかと思うのですよね。これだとWindowsのシェア自体も減る事は無いわけですが、両方のOSを使い比べる人が増え、直接MacOSXを使う機会が増えてくれば、じわじわとWindowsよりMacOSXの方を使う頻度が多くなってそのうち「本当に必要な時」しかWinを使わなくなってくるんじゃないかと(この辺はどちらのOSが優れているかという水掛け論に発展してしまいますし、個人差もあるので一概には言えませんが)。

 そして第二段階、「PC/AT互換機用MacOSX」です。こうなってくると、第一段階に比べ更に訴求力は高まる事でしょう。OSを買って来て自分のPCにインストールするだけですから「Macをちょっと試したい」人には実に有り難い。ただ、仮にAppleがIntelチップを採用するにしても第一段階のままで止めておく、つまり「Macの中にWinをインストールすることは出来るが、PC/AT互換機では(基本的に、と言うかそれほど簡単には)OSXを動かせないようにする」という可能性は高いかもしれません。もちろん「Macのハードが売れなくなる」からなんですが、本当に売れなくなるんでしょうか? これってよく言われることなんですが私にはちょっと疑問なんですよね。Macはその独特かつ先進性のあるデザインで人を惹き付けていた面が非常に強いわけで、最近でもMac mini のバッタもんみたいなPC機を見て皆さん「うわダサっ」とか言っちゃってるわけですよ(笑)。また単にデザインだけの問題に限らず、「PC/AT互換機でOSXを動かす」より「Apple純正のハードでOSXを動かす」方がおそらく明らかにハードとOSの親和性が高いでしょうから、初めはOSだけ試しに買って家のPCや自作機に入れていたような人も、次に買い替える時など、段々とAppleのハードの方に移って行くんじゃないでしょうか。ちょっと楽観的すぎますかねぇ。

 ホントに私が書いているようなことが仮に起こったとして、そんでMac(OSX)のシェアが全体の7割とか8割とかになっちゃった時に、またまたAppleが「IntelチップからPower PCに乗り換え」なんてことをしたら楽しいんですけどねー(爆)。でもそれまでIBMやPower PCが生き残れるかどうか…(涙)。


<追記>
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<6/8 AM2 追記>
 Mac一台でMacOSXとWindowsがデュアルブート可能に、という予想はどうやら的中した模様。「PC/AT互換機用MacOSX」ははっきり否定されてしまいましたがこれも将来的にアリではないかと思いますので、当たった時に「どうだー」と言えるように今のうちに書いておいておきます(笑)。