宇宙の歩き方

The Astrogators' Guide to the Charted Space.

Japan 2300 - 西暦2300年の日本

2016-04-21 | Alternative Universe
日本 Japan
国家序列:列強(Tier 2)
公用語:日本語
地球上総人口:約1億9000万人(庶民98%、富裕層2%)
主要都市:東京(1410万人)、横浜(1114万人)、大阪(1073万人)(※東京旧首都圏全体で4100万人)
平均寿命:男性95.7歳、女性98.4歳
大学進学率:90%
通貨単位:円
主要貿易国:アメリカ、フランス、ブラジルなど
統治形態:立憲君主政かつ多党議会民主政(政治形態コード4)
治安水準:高治安(あらゆる武器の屋外所持禁止・銃器の所有禁止:治安コード9)
技術レベル:12
軌道到達手段:加速射出路(宇宙港コードB)
地球内領土:本州、北海道、四国、九州、沖縄諸島、小笠原諸島、千島列島、樺太島、マリアナ諸島、水無月(ミッドウェー)島、大鳥(ウェーク)島、カロリン諸島、マーシャル諸島、ギルバート諸島(海中都市「かいてい」を含む)、および事実上フィリピン領の全て
太陽系内領土:第4ラグランジュ点居住地、土星以遠惑星に恒久基地

 島国である日本は、黄昏の時代を直接被害なしに切り抜けられた数少ない国の一つです。20世紀から引き続いて製品輸出や金融業の中心地であったこの国に戦争は少なからず打撃を与えましたが、その後は無傷だった海上輸送能力で国際貿易を支配していきました。
 かつては資源を輸入に頼っていた日本でしたが、身近で広大な海洋からそれを得られるようになってからは、領海を拡大して資源を得ることこそが国益になりました。今や日本は地球上で最も広い領海を持つ大国であり、その経済力や産業力によって技術先進国として君臨しています。その力はもはや恒星間植民地を必要としないほどに完結していますが、6大国の中で最も少ないながらも3つの植民地と1つの前哨基地を太陽系外に確保しています。

 21世紀に入って日本はサハリン(樺太)島やクリル(千島)列島の支配権を取り戻し、内戦で混乱していたアメリカからグアム島やミッドウェー島など南太平洋の統治権を引き受けました。また、フィリピンに対しては多大な経済投資を行うことで事実上併合しました(※建前上は外交と安全保障を共有しているだけ、としているようですが、対外的には日本領とみなされています)。一時は統一朝鮮にも経済併合を仕掛けましたが、これは満洲の妨害に遭って頓挫しました。

 旧首都東京、横浜、大阪といった世界有数の都市群は本州に位置しています。本州を含めて古来からの日本領は山(特に火山)が多く、農業生産に向いてはいませんでしたが、新たに獲得した「南洋州」(マリアナ諸島、カロリン諸島、マーシャル諸島、ギルバート諸島)では海洋農業が営まれ、その規模はかつての農業輸入国を一挙に輸出国に変貌させたほどです。またギルバート諸島には世界最大の人口50万人を誇る海中都市「かいてい」が存在し、海中鉱業の中心地となっています。
 海洋資源への依存度が高い日本には、その資源乱獲に懸念の目が向けられているのも事実です。深海での「暗闘」の噂は多く、北米研究連盟(NARL)は日本の活動を注意深く監視しつつ、査察を受け入れるよう圧力を加えています。

 いくらか変動はあるものの、日本は経済大国としての地位を300年間守り続けました。今でも東京証券取引所は世界最大級の国際金融市場の一つであり、通貨「円」はフランスのリーヴルに次ぐ基軸通貨として信用されています(※円はリーヴルの7割の価値とのこと。つまり1リーヴル≒140円と考えると目安になるが、西暦2300年代の円は2桁のデノミが行われている可能性がある)。
 日本の金融業は世界中に投資を行い、自国経済を発展させると同時に安全保障面でも利益を得ています。銀行からの資金は多くの植民地化計画や科学計画を支え、「ミヤザワ国際銀行」などの日系銀行から融資を受けていない国際企業を探すのは困難なほどです。
 そうしたことから日本経済は情報産業と金融業が主と思われがちですが、重工業や造船業、ハイテク電機産業の分野でも強さを保っています。今でこそフランスに追い着かれたものの、20世紀後半から23世紀にかけて日本のロボット産業は他を寄せ付けないほどでした。2250年代にいち早く歩行戦車(コンバットウォーカー)の技術を確立したのも日本です。

 黄昏期を経ても、日本の政治形態は大きくは変化しませんでした。第三次大戦後に伝統への回帰の象徴として首都は京都に遷されましたが、形式的な立憲君主政はそのまま保たれました。一方でもはや内戦で疲弊したアメリカの庇護を期待できなくなった日本は、論争の的となりながらも再軍備に踏み切りました。やがて日本の軍事力は世界最強の一角を占めるほどになり、23世紀末の中央アジア戦争ではフランスの要請で満洲とも交戦しました。現在の日本軍には、フランス腕の日本植民地をケイファーの侵略から防護するための軌道小艦隊も配備されています。
 24世紀における日本はやや鎖国傾向を示しています。経済は堅調で多額の国際投資は維持しつつも、他国からの文化的影響は慎重に管理されています。他国民の移住はおろか、訪問でさえもしばしば難しいことがあります。

 日本社会は新しさと古さが入り混じっています。社会は絶えず変化を続けながらも、人々は伝統を守ろうとしているのです。この国の文化的孤立主義は、西洋文明が黄昏期に「失敗」したことへの幻滅から来ています。現代日本文化は「古き良き時代」に重きを置き、仏教や神道とより強く結びつきました。故郷の自然、つまり地球への愛着は、一方で太陽系外への植民地拡大競争から日本を遠ざけた一因ともなりました。また、入植先でも地球の動植物を持ち込むことにこだわる傾向を見せています。ただし時は流れ、日系入植者の間には入植先の自然への愛着も生まれるようにもなりましたが、逆に伝統主義者との亀裂が増しているのも事実です。
 ちなみに、現在の日常生活で漢字はあまり使われなくなり、古典的な名詞を除いてひらがなとカタカナのみで表記されています。漢字教育は今も続けられていますが、筆記の手段としてではなく美術の一種だと見られています。


かいてい Kaitel
 海中都市は基本的に(月面都市のように)モジュールやドームを連結することで成り立ち、大小様々な海中開発を行っている日本はその最先端を行っています。
 太平洋にある、地球最大の海中都市である「かいてい」では海底鉱業や水産養殖業、そして観光業が営まれています。また、このかいていを含むギルバート諸島は日本の科学研究拠点となっています。
 ここは日本領ではありますが、半自治の政治形態が布かれています。

第4ラグランジュ点居住地 L-4
(※日本入植地に関する公式設定は見つけられません。ちなみにL-4にはアメリカ、日本、アルゼンチンの3国が様々なスペースコロニーなどを建設しており、最大のゴダード・ステーション(アメリカ)が全長5km、人口5万人と設定されています)


アマテラス Amaterasu
所在地:ケンタウルス座アルファ星A第1惑星ティラナ(中心世界)
入植開始年:西暦2167年
人口:約1億2000万人
主要都市:シントーキョー(650万人)、シンミヤザキ(450万人)、シンサッポロ(260万人)
平均寿命:106歳
大学進学率:91%
通貨:日本円
統治形態:軍や企業代表も参加する代議員民主政(政治形態コード4)
治安水準:並治安(散弾銃も含めた銃器の所持禁止:治安コード7)
技術レベル:12
軌道到達手段:加速射出路(宇宙港コードB)
主な産業:農業、鉱業、重工業
主な施設:軌道防衛基地、軌道宇宙港、陸軍基地、海軍基地、発電衛星、大学

 アマテラスは住み良い移住先です。距離面や文化面で地球に近いものの、内地よりは規制が多くありません。
 隣接するニューキャンベラ植民地(オーストラリア領)とは入植直後から国境問題を抱えていました。国境線未確定地域にタンタル(※スタッターワープ機関の建造に欠かせない希土類)の鉱床が発見され、日本とオーストラリアの探査隊が幾度も衝突を繰り返す事態となったのです。結局鉱床自体はオーストラリア領となりましたが、双方は合弁企業を設立して事業を営んでいます。
 それ以降、アマテラス植民地は日本の造船業向けのタンタルの供給地となりました。ただし協定により量は限られているため、日本は絶えず新たなタンタル鉱脈を探しています。近頃、海岸から350km離れた有望な海中休火山の近くに海中都市を建設し始めたところです。


トサシミズ Tosashimizu (Samurai Bay)
所在地:おおぐま座61番星第3惑星ジョイ(フランス腕)
入植開始年:西暦2257年
人口:120万人(※250万人とする資料も)
主要都市:シンチバ(75万人)
開拓面積:40000平方km以上(※エスペランス大陸全体及び島嶼部の領有を主張)
平均寿命:99歳
大学進学率:76%
通貨:日本円
統治形態:植民地総督府(政治形態コード6)
治安水準:並治安(隠匿可能な携行銃器の所持禁止:治安コード5)
技術レベル:9
軌道到達手段:宇宙往還機(宇宙港コードC)
主な産業:農業、鉱業、重工業
主な施設:軌道防衛基地、陸軍基地、海軍基地、科学研究所、大学、核融合発電所

 フランス探検隊によってエスペランス大陸と名付けられた大地の北東岸に、日本の植民地は存在します。ここは諸外国からは「サムライ・ベイ」と呼ばれていますが、正式名称は「トサシミズ」です。ウワ湾の岸には核融合発電所があり、植民地には軌道防衛施設と連絡する宇宙港や軍基地、科学研究所も整備されています。
 日本人はこの惑星ジョイにおいて植民地の開拓に非常に積極的ですが、その際に彼らは野放図に地球原産の動植物を放ったため、ジョイの生態系への影響を危惧する環境保護団体との間で騒動を招きました。
 ジョイにおいて日本とドイツは、両植民地の間にある鉱物資源が豊富な島の領有権を巡って係争関係にあります。また、エリシア独立戦争の際に日本はフランスへ派兵支援を申し入れましたが、断られたという経緯があります。これは日本がエリシア領に対して野心を抱いているとフランスが警戒したからと見られています。
 日本人入植者は20世紀中期以前の古い日本の倫理観に従っており、また、外国人に対しては疑り深いです。非常に権威主義的な植民地総督府はジョイの覇権を欲していて、現在は経済的な手法で目的を追求しています。同時にドイツやエリシアの革命がトサシミズに「輸出」されることを恐れていて、武器を蓄えています。


ダイコク Daikoku
所在地:みずへび座ベータ星第2惑星ダイコク(シナ腕)
入植開始年:西暦2209年
人口:1100万人
主要都市:アオキ(220万人)、エンキロウ(150万人)、シンマツモト(72万人)
平均寿命:99歳
大学進学率:92%
通貨:日本円
統治形態:代議員民主政(政治形態コード4)
治安水準:並治安(隠匿可能な携行銃器の所持禁止:治安コード5)
技術レベル:11
軌道到達手段:加速射出路(宇宙港コードB)
主な産業:農業、鉱業
主な施設:軌道防衛基地、軌道宇宙港、陸軍基地、海軍基地、異生研施設、大学、発電衛星
遺伝子操作:高温耐性

 日本が2190年にくじゃく座デルタ星(現在の満洲領寒山)への入植に失敗した後、2205年にみずへび座ベータ星の探査によって惑星を発見し、伝承上の豊穣の神の名である「ダイコク」と名付けました。初期探査によって重金属こそ少ないものの潜在的な鉱物資源は豊富と見られ、何よりも温暖で過ごしやすいことから、慎重な探査と準備の末に2209年から入植が開始されました。
 2213年から2235年にかけて、ダイコク入植地は大きく繁栄しました。原生の海洋植物が食料としてだけでなく医薬品原料としても貴重であることが判明し、水産養殖業が発展しました。また、この星特有の材木からは美しい家具が生産され、遠く離れた市場で大きな利益を生みました。初期入植者から伝わる広範囲な水耕農業によってダイコクの食料生産力は自給自足の枠を越え、余剰食料はシナ腕各地の開発途上植民地に輸出されました。さらに、現地の植物だけで栄養を十分摂れてしかも美味なため、日系入植者は地球産の肉類を輸入したり家畜を飼ったりする必要性も感じなくなりました。
 ダイコクの住民は豊かに快適に過ごしていると言われています(皮肉屋は「一部の」と頭に付けるかもしれませんが)。大部分の入植者は、ここのみに拠点を置く小企業から星系外に本社がある大企業に至るまで何かしらの企業に属しており、自営業者は稀です。従業員はいずれも勤勉で、雇用主や政府に対してとても忠実です。
 中央アジア戦争に日本が参戦するまではダイコクには軍事組織は必要ありませんでしたが、近隣星系に満洲人が多く定住していることから、戦後は防衛力の整備が進められました。最大都市のアオキ市には軍事基地が置かれ、軌道上にも軍事施設が築かれました。植民地防衛のための最低限規模ではありますが、これらの措置は少なくとも住民を安心させました。
 入植開始から約90年で日本の入植地は人口1000万人を越え、本国の本州島と同程度の20万平方kmが開拓されました。3大都市には宇宙港や空港が整備され(アオキ宇宙港は軍基地と併用)、小さな町が農業目的で大都市から離れて点在しています。
 また、惑星ダイコクに同じく定住しているアラビア(※アラビア半島全体を治める国家)植民地との関係も良好で、織物や香水、石油合成品などの取引が行われています。


シュンゲン前哨基地 Outpost Syungen
所在地:ビュモンド星第4惑星ダヴー(シナ腕)
 2208年にみずがめ座ベータ星への植民計画を発表した日本政府でしたが、一つの問題がありました。そこに至るまでの物資や燃料の補給に関してアメリカからの協力は得られたものの、氷の惑星ダヴーを領有するフランスには思惑があって割引価格での販売を許しませんでした。
 困った日本政府に救いの手を差し伸べたのは、シュンゲン商事グループ会長のシュンゲン・ヒカルでした。彼は政府からの資金援助が得られるならダヴーに燃料補給基地を建設すると申し出たのです。日本政府はその案に乗り、かくして2211年に氷塊採掘鉱山や射出路を備えた前哨基地がダヴーに完成しました。
 これによりフランスは大打撃を受け、一時は採算の合わなくなったヴィル・ド・グラス前哨基地の閉鎖も検討されるほどまでに追い込まれたのですが、その時、シュンゲン鉱山で約300名の犠牲者を出す大きな落盤事故が発生したのです。鉱山施設は破壊され、日本側基地も財政破綻に直面しました。そこで両者は協定を交わし、フランスの鉱山で採掘した氷塊を日本の(無傷だった)射出路で運ぶという共生関係を築くことになりました。両基地間には2262年にマグレヴ(磁気浮上鉄道)路線が開通し、一体化はさらに進んでいます(※と言っても移動には20時間を要しますが)。
 シュンゲン基地は後に主星の観測研究にも用いられるようになり、基地の北西30kmに光学・電波望遠鏡が設置されて日仏双方の天文学者が交代で常駐しています


全體海岸沖居留地 Settlement on an island off the Chyuantii coast
所在地:きょしちょう座ゼータ星第2惑星シューラーム(シナ腕)
 惑星シューラームの満洲植民地は開拓初期から多民族による入植が進み、人口の15%が非満州人でした。後に日本政府は全體海岸沖の島に日本人居留地を作れるよう満洲政府と協議し、2254年に人口の9割が日本人となる居留地(※非公式設定では「ショートー・デジマ居留地」)が誕生しました。
 ここの経済は農業と鉱業が半々の割合で営まれています。


【ライブラリ・データ】
ミヤザワ国際銀行 Niyazawa International Bank
 巨大企業の中でも、ミヤザワ国際銀行は珍しい存在です。国家から離れようとしがちな巨大企業の傾向に反して日本政府との強い絆を維持し、いまだに創業者一族が会社を所有・経営しているという稀な巨大企業なのです。よってミヤザワ家は地球上で最も裕福で強力な経営者一族として知られています。

異星生物学研究所 L'Institut Des Etudes Xenologiques
 その頭文字を取って通称「異生研(IEX)」と呼ばれる異星生物学研究所は、フランス政府から資金援助を受けている研究機関です。知的生命を含めて多様な異星生物の研究において、地球上で最高の組織です。

北米研究連盟 North American Research League
 地球のバンクーバー市(カナダ)に本拠を置く北米研連(NARL)は、1万人以上の人員と百万人単位の支援者を持つ環境保護/知的生命友好団体です。その活動範囲は人類社会全域に及び、各星の生態環境を乱開発から守り、種族・国家間のいざこざの調停に出向いています。
 時折邪道な戦術も使いはしますが、北米研連は人類社会各地で難局の平和的解決を目指す団体と見られています。その最も大きな功績は、スンから奴隷扱いを受けていたシャンを解放するように国際世論を動かしたことでした。

中央アジア戦争 Central Asian War
 2283年から2287年にかけて、フランス・バイエルン・ロシア・日本の同盟軍が満洲と戦った戦争です。鉱物資源が豊富な中央アジア共和国(※20世紀にはカザフスタンなどと呼ばれていた地域)の権益を巡ってフランスの後援を受けたロシアが侵攻したことが発端となり、共和国の保護を理由として満洲が介入を行いました(ただし真の目的は新疆地方の併合でしたが)。後にバイエルンが仏露側で参戦し、最終的に日本も加わったことで大きな損害を受けた満洲は撤退を余儀なくされました。黄昏期以降でこれほど多くの国家が交戦した戦争は初めてであり、一時は核戦争の再発も危惧されましたが、幸運な事に杞憂に終わりました。
 なお戦後は国境線は元に戻され、同盟軍がそのまま平和維持部隊として共和国領内に展開しましたが、イランの支援を受けたゲリラが各地で部隊に出血を強い続けました。また、日本の参戦まで求めなくてはならなくなったフランスの威信に傷がついた戦争でもあり、後の共和政の崩壊、そして帝政復古の遠因ともなりました。

エリシア独立戦争 War of Elysian Independence
 かねてより惑星ジョイのフランス植民地「エリシア」では、政府の腐敗に不満が高まっていました。そんな中、日本植民地での環境破壊に抗議する群衆にエリシア憲兵隊(植民地駐留軍)が発砲し、この「エスペランス市の虐殺」をきっかけに入植者が蜂起して独立戦争に発展しました。
 当時のフランスが中央アジア戦争や本国のクーデターの余波で補給や増援が滞ったこと、また民衆ゲリラにドイツが支援(※)を行ったこともあり、最終的に2291年にフランス駐留軍はエリシアから撤退し、独立臨時政府が発足しました。しかし6年間の内戦によって植民地の資産や人的資源は大きな打撃を受けており、未熟な新国家はいまだ不安定な状態にあります。
(※設定を考慮すると、エリシアを支援したドイツとは当然バイエルン以外でしょう。非公式設定ではジョイのハルビンゼル植民地はハノーファー系であることになっています(ただし入植段階から説と後に鞍替え説が混在)。また、フランスと敵対する満洲が包囲網を破って独立派に武器や物資の供与を行ったとする記録も存在します)


【日本関連年表】
2000年:第三次世界大戦を最小限の被害で切り抜ける。
2000年代:憲法を改正し、再軍備に踏み切る。
2008年:アメリカ軍に代わり、サウジアラビアの油田をフランス、イギリス、バイエルン、エジプトと共同防衛する。
2010年:イランがサウジアラビアに侵攻してサウジ戦争開戦(2013年終戦)。
21世紀中頃:朝鮮に対する経済支配の試みは満洲の妨害で失敗に終わる。以降日本は大陸ではなく太平洋に目を向ける(※この後21世紀中に南太平洋の島々を併合していくが、アメリカから譲渡されたものを除けば軍事併合か経済統合かは不明)。
21世紀後半:安価な労働力を求めて日仏資本がブラジルの産業に多額の投資。
2065年:露宇(ロシア・ウクライナ)戦争開戦。フランス、バイエルン、ポーランドがウクライナ側で、イランがロシア側で参戦。
2070年:(おそらく)ウクライナ陣営に日本が参戦。露宇戦争の流れが決する。
2072年:露宇戦争が終結し、ロシア崩壊(※この際に千島列島と樺太を得た可能性が大。もしくは2038年にロシアから極東共和国やシベリアが独立した頃か?)。
2072年:フィリピン領内に日本の加速射出路が完成(※この時点で日本の影響力が強いことが伺える)。
2080年:アザニアの社会基盤に援助する見返りにタンタル輸入の契約を結ぶ。以降、アザニアを通じてフランス陣営の宇宙進出に参画。
2092年:フィリピンに対するインドネシアの影響力を完全に排除(※2050年代からフィリピンを巡ってインドネシアとの対立関係が年々激化し、この年開戦寸前にまで行った結果、インドネシア側が折れた模様)。
2119年:(おそらく)メルボルン合意に署名。
2120年:フィリピンを経済統合(事実上の併合)。
2130年代:(おそらく)スタッターワープ技術が実用化され、宇宙進出を開始。
2138年頃:ESA諸国(フランス、イギリス、バイエルン、アザニア)、アルゼンチン・メキシコ連合に続いて惑星ティラナ(ケンタウルス座アルファ星)の領有主張をアメリカと同様に行う。
2149年:アルファ・ケンタウリ戦争開戦。ESA諸国対アルゼンチン連合の戦いは5年に及び、アルゼンチン側の勝利で非ESA国によるティラナへの植民が可能となった(※ただし日本がこの戦争でどう立ち回ったかは不明)。
22世紀:南洋州での深海採掘事業が開始される。
2167年:ティラナにアマテラス植民地が建設される。
2179年:日本などの投資家の協力を得て、サハラ砂漠の気象操作計画が始まる。2210年までに6基の気象制御衛星が打ち上げられ、最終的に砂漠の緑化は成された。
2190年:くじゃく座デルタ星への入植が失敗に終わる。
2205年:みずへび座ベータ星を探査し、後の惑星ダイコクを発見。
2208年:ダイコクへの入植が始まる。
2211年:惑星ダヴーにシュンゲン前哨基地が完成。ダイコク植民の加速。
2237年:惑星ダイコクの第3衛星モスラにて採掘活動を開始。
2238年:アラビアが日本に惑星ダイコクへの入植を申し入れ。油田の枯渇で苦境にあったアラビアに日本は入植にかかる費用を貸し付けた。
2239年:前年の合意を受けて、惑星ダイコクにファーリヤド植民地が建設される。
23世紀:ギルバート諸島は科学研究拠点となっていた。
2254年:満洲の許可を得て惑星シューラームの孤島に日本人居留地を設立。
2257年:おおぐま座61番星にトサシミズ植民地を建設。
2283年:中央アジア戦争開戦。日本は戦争末期にフランス同盟軍に加わり満洲と交戦。
2287年:中央アジア戦争終結。以後、日本軍を含めて同盟軍は平和維持部隊として展開するも、現地ゲリラの攻撃で損害が相次ぐ。
2302年:3月12日、ケイファーの艦隊がおおぐま座61番星に来襲。15日から5日間に渡った地上戦の末にケイファーを撃退する。なお、その主戦場は日独両植民地であり、地上戦の主役は民間人であった。4月、残存するケイファーの掃討を完了。


【私的考察】
 一言で言えば、『2300AD』宇宙の日本は「悪役向き」でしょう。「金持ち」「20世紀以前の古い価値観」「やや閉鎖的な社会」「環境保護に無頓着」「比較的悪役ポジションのフランス帝国と仲が良い」…と、悪役としての素質は十分です(笑)。
 設定上日本は宇宙進出にはあまり積極的ではないので日本絡みのシナリオとなると場所が限られるのですが、それでも惑星ジョイはシナリオヒントの宝庫です。ドイツや新国家エリシアと関係が悪く、環境保護問題でトラブルを起こしているとなると、商売敵が日本人とか、諜報合戦ものとか、現地の貴重な動植物が日本のせいで~とか色々浮かびます。また、時計の針を少し未来に進めると「ケイファーの侵攻」という一大イベントが発生するので、人類相手でなければ気兼ねなく戦える人にも悪くありません。日本人PCを演じるにしてもお上の意向に同調する必要は全くなく(しかもそれが設定でちゃんとフォローされているし)、むしろPCは一般的にアウトサイダー的な立ち位置となるのでプレイヤー本人の価値観を持ち込んでしまっても問題はないでしょう。逆に排外的なキャラクターを演じるなら「フン、外国人のくせになかなかやるじゃないか」程度に留めるべきです。
 一方、惑星ダイコクは「平和でのどかな田舎」なので、アラビア領まで遺跡探検に出向くか、地元の動植物絡みで何か騒動を起こすか、仮想敵である満洲絡みの事件を発生させるかが定番かと思います。アマテラスは開発が進んでいる分、シティアドベンチャー向きでしょうか。オーストラリアとの国境問題をつつく手もありますね。
 他にも前哨基地や海中都市あたりは「閉鎖空間パニックもの」にも使えると思いますし、こうして書き連ねてみるとなかなかレフリーにとって使い勝手の良さそうな国家に見えますね…違和感のあるネーミングを除けば(苦笑)。
 ネーミングといえば、日本人PC/NPCの名前は「漢字が廃れた」という設定を考慮するとカタカナで書く方が「この時代の雰囲気」が出ると考えて、地名も含めてカタカナ表記を採用しました。


(※文中一部ローマ字表記に誤りがあるように見えますが、それが公式設定です。また、現実に存在する地名と混同しないためにシントーキョーを除いて公式設定に「シン○○」と書き加えています)


【参考文献】
・2300AD Adventurer's Guide (Game Designers' Workshop)
・Colonial Atlas (Game Designers' Workshop)
・Invasion (Game Designers' Workshop)
・Earth/Cybertech Sourcebook (Game Designers' Workshop)
・Challenge #33 (Game Designers' Workshop)
・2320AD (Quicklink Interactive)
・2300AD Core Rulebook (Mongoose Publishing)
・Syuhlahm & New Liverpool Sourcebook


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