突然ですが、かつて私が製作した「Yさんのウクレレ」「Rさんのウクレレ」に装着した黒いペグ、憶えていますか?
一見、バイオリン用のエボニー製ペグなのですが、本体内部に遊星ギアが内蔵されていて細かなチューニングが可能になるというフシギなペグです。私はKnilling社のペグ(バイオリン用)を加工して使いましたが、このほどウクレレ用としてPegheds社から発売されているペグが日本でも買える様になったそうなので、製作ネタとしてお知らせさせていただきます。取扱店は123MUSICというお店です。
※ この情報はMATT小林さんのブログ「MATTのひとりごと」で紹介されました。日本における取り扱い店「123MUSIC」と、このペグや遊星ギアの解説など詳細な情報が記述されていますので、先に「MATTのひとりごと」の記事をご一読されることをお勧めいたします。
後追いにて弊ブログにおいてもご紹介させていただくものですが、この機会に弊ブログでは主にこのペグ(Knilling社の方ですが)を使ったウクレレ製作の現場やPegheds社のウクレレ用ペグとKnilling社のバイオリン用ペグ、さらには通常のフリクション・ペグとの違いなどをご紹介いたしましょう。
以前に私が採用したのはKnilling社のPerfectionというペグでしたが、それ以前にPegheds社から同等品が発売されていた様です。しかしいつしかPegheds社の製品が流通しなくなり、私はタイミング的にKnilling社のペグを使ったというのが実情です。両社の関係やいきさつはここでは触れませんが、ウクレレ用のペグもリリースしているのはPegheds社の方です。Knilling社のペグをウクレレに使うには加工が必須となります。
上の写真、左がKnilling社、右がPegheds社の製品です。どちらもElderly Instrumentsから購入しました。Knillingのペグはバイオリン用なので、糸倉を貫通させるために弦通し穴より先端がさらに長く伸びています。Peghedsのウクレレ用ペグは最初から長さが適正化されています。
ボタンに「LEFT」「RIGHT」とあるのは、それぞれ取り付け位置に左右の指定があるからです。つまり、ポストに巻かれた弦のテンションがペグ本体をネジ山によってヘッドに締め付ける方向に作用する様になっている訳です。左右のペグは固定用ネジ山の向きが逆になっているのです。ちなみに、ヘッドに固定する際にはネジ山だけでは強度が不十分なのでエポキシ系の接着剤を併用するのが望ましいです。
Peghedsのウクレレ用、Knillingのバイオリン用、Groverのウクレレ用(通常のフリクション・タイプ)を並べてみました。
左の写真では、弦通し穴やネジ山の位置関係などが似て非なる物である事が判ります。ボタンは樹脂、本体(遊星ギアのハウジング)は金属製です。
右の写真を見ると、通常のペグとはまったく別物である事が理解出来ます。ヘッドに取付ける際、通常のフリクション・ペグではブッシュ径に合わせた穴を開けるだけで装着が可能になりますが、遊星ギアの2社の製品は木製ペグよろしく本体にテーパーが付いているため、取付け穴自体もテーパー加工する必要があります。
ですから(恐らく殆どの場合)、一般的なフリクション・ペグからPegheds(あるいはKnilling)への交換には、ヘッドに開いたペグ取付け穴を埋め直してテーパー加工する必要が生じる可能性が高いはずです。この事から、多くのユーザーにとって自分で交換作業する事への敷居を高くしていると言わざるを得ません。実際、メーカーとしてもリペアマンによる取付けを推奨しています。
ご参考までに、各ペグのサイズ判断の目安となる様な写真を掲載いたします。
左からPeghedsのウクレレ用、Knillingのバイオリン用、Groverのウクレレ用です。
もしも交換を考えるのならば、先にネジ山の位置とご自分のウクレレのヘッドの厚みなどから弦通し穴の高さがどの辺りに来るのかを考慮しておくのがよいでしょう。弦のテンションが変わる可能性もあるからです。
また、先にも書きましたが・・・取付けには知識あるリペアマンへの依頼が無難です。正直申し上げて、ご自身での交換は機能や外観を損なうリスクが大きいです。
それでは、Yさんのウクレレに取付けを行った時の画像をご覧下さい。このペグはKnillingの物なので、ポストを短く切って加工しました。ポストの弦通し穴のある部分は金属製ですが、一段太くなった先の方は樹脂で、金属の芯はありませんでした。
左の写真をご覧下さい。弦通し穴の上の部分、太い樹脂を削ってポスト径を揃えてあります。奥から未加工、一次加工、切断終了、となります。
先端が切りっ放しでは痛々しいので、エボニー粉を混入したエポキシで整形しました。中央の写真が一応の完成です。ついでにボタンの厚みの中心に入っている成型のバリを落としておきました。こういう処理で、見た目の印象が変わるものです。
取付けにはテーパー穴を開けるので、リーマーを使って穴開けします。この当時はペグヘッド・リーマーを持っていなかったので、汎用リーマーと細工ヤスリで加工しました。
この段階ではヘッドプレートが未接着ですが、その理由は・・・中央の写真をご覧下さい。ポストとヘッド面の境にネジ山がチョロ見えしていますね。ヘッド側の穴の径がネジ山に合わせてあるからです。で、これを隠すために、一回り小さいポスト径に合わせた穴を開けたヘッドプレートを後から接着するというワケなのです。これがKnilling加工品の面倒な所、、、汗。
ちなみにPeghedsではネジ山のギザギザが露出しない様になっている - ポスト基部がフレアしている - ので、その径に合わせた穴でヘッド表面を整えるのみです。それでも基本はテーパー穴なので、面倒な事に変わりありませんが。
完成です。とてもシンプルな外観ですが、これでもギアが内蔵されているのです。
こちらはRさんのウクレレ。これもKnilling加工品を装着していますので、作業内容は同じです。
ということで、Peghedsのペグはまだ使用経験がありません。でも、現在製作中のHさんのウクレレに装着予定ですので、近い将来に作業内容をご紹介出来ると思います。
最後に、本物の木製ペグをご覧いただきましょう。その昔、昭和の時代に作られた東京バイオリン製のソプラノです。
素朴で可愛らしいですね。
一見、バイオリン用のエボニー製ペグなのですが、本体内部に遊星ギアが内蔵されていて細かなチューニングが可能になるというフシギなペグです。私はKnilling社のペグ(バイオリン用)を加工して使いましたが、このほどウクレレ用としてPegheds社から発売されているペグが日本でも買える様になったそうなので、製作ネタとしてお知らせさせていただきます。取扱店は123MUSICというお店です。
※ この情報はMATT小林さんのブログ「MATTのひとりごと」で紹介されました。日本における取り扱い店「123MUSIC」と、このペグや遊星ギアの解説など詳細な情報が記述されていますので、先に「MATTのひとりごと」の記事をご一読されることをお勧めいたします。
後追いにて弊ブログにおいてもご紹介させていただくものですが、この機会に弊ブログでは主にこのペグ(Knilling社の方ですが)を使ったウクレレ製作の現場やPegheds社のウクレレ用ペグとKnilling社のバイオリン用ペグ、さらには通常のフリクション・ペグとの違いなどをご紹介いたしましょう。
以前に私が採用したのはKnilling社のPerfectionというペグでしたが、それ以前にPegheds社から同等品が発売されていた様です。しかしいつしかPegheds社の製品が流通しなくなり、私はタイミング的にKnilling社のペグを使ったというのが実情です。両社の関係やいきさつはここでは触れませんが、ウクレレ用のペグもリリースしているのはPegheds社の方です。Knilling社のペグをウクレレに使うには加工が必須となります。
上の写真、左がKnilling社、右がPegheds社の製品です。どちらもElderly Instrumentsから購入しました。Knillingのペグはバイオリン用なので、糸倉を貫通させるために弦通し穴より先端がさらに長く伸びています。Peghedsのウクレレ用ペグは最初から長さが適正化されています。
ボタンに「LEFT」「RIGHT」とあるのは、それぞれ取り付け位置に左右の指定があるからです。つまり、ポストに巻かれた弦のテンションがペグ本体をネジ山によってヘッドに締め付ける方向に作用する様になっている訳です。左右のペグは固定用ネジ山の向きが逆になっているのです。ちなみに、ヘッドに固定する際にはネジ山だけでは強度が不十分なのでエポキシ系の接着剤を併用するのが望ましいです。
Peghedsのウクレレ用、Knillingのバイオリン用、Groverのウクレレ用(通常のフリクション・タイプ)を並べてみました。
左の写真では、弦通し穴やネジ山の位置関係などが似て非なる物である事が判ります。ボタンは樹脂、本体(遊星ギアのハウジング)は金属製です。
右の写真を見ると、通常のペグとはまったく別物である事が理解出来ます。ヘッドに取付ける際、通常のフリクション・ペグではブッシュ径に合わせた穴を開けるだけで装着が可能になりますが、遊星ギアの2社の製品は木製ペグよろしく本体にテーパーが付いているため、取付け穴自体もテーパー加工する必要があります。
ですから(恐らく殆どの場合)、一般的なフリクション・ペグからPegheds(あるいはKnilling)への交換には、ヘッドに開いたペグ取付け穴を埋め直してテーパー加工する必要が生じる可能性が高いはずです。この事から、多くのユーザーにとって自分で交換作業する事への敷居を高くしていると言わざるを得ません。実際、メーカーとしてもリペアマンによる取付けを推奨しています。
ご参考までに、各ペグのサイズ判断の目安となる様な写真を掲載いたします。
左からPeghedsのウクレレ用、Knillingのバイオリン用、Groverのウクレレ用です。
もしも交換を考えるのならば、先にネジ山の位置とご自分のウクレレのヘッドの厚みなどから弦通し穴の高さがどの辺りに来るのかを考慮しておくのがよいでしょう。弦のテンションが変わる可能性もあるからです。
また、先にも書きましたが・・・取付けには知識あるリペアマンへの依頼が無難です。正直申し上げて、ご自身での交換は機能や外観を損なうリスクが大きいです。
それでは、Yさんのウクレレに取付けを行った時の画像をご覧下さい。このペグはKnillingの物なので、ポストを短く切って加工しました。ポストの弦通し穴のある部分は金属製ですが、一段太くなった先の方は樹脂で、金属の芯はありませんでした。
左の写真をご覧下さい。弦通し穴の上の部分、太い樹脂を削ってポスト径を揃えてあります。奥から未加工、一次加工、切断終了、となります。
先端が切りっ放しでは痛々しいので、エボニー粉を混入したエポキシで整形しました。中央の写真が一応の完成です。ついでにボタンの厚みの中心に入っている成型のバリを落としておきました。こういう処理で、見た目の印象が変わるものです。
取付けにはテーパー穴を開けるので、リーマーを使って穴開けします。この当時はペグヘッド・リーマーを持っていなかったので、汎用リーマーと細工ヤスリで加工しました。
この段階ではヘッドプレートが未接着ですが、その理由は・・・中央の写真をご覧下さい。ポストとヘッド面の境にネジ山がチョロ見えしていますね。ヘッド側の穴の径がネジ山に合わせてあるからです。で、これを隠すために、一回り小さいポスト径に合わせた穴を開けたヘッドプレートを後から接着するというワケなのです。これがKnilling加工品の面倒な所、、、汗。
ちなみにPeghedsではネジ山のギザギザが露出しない様になっている - ポスト基部がフレアしている - ので、その径に合わせた穴でヘッド表面を整えるのみです。それでも基本はテーパー穴なので、面倒な事に変わりありませんが。
完成です。とてもシンプルな外観ですが、これでもギアが内蔵されているのです。
こちらはRさんのウクレレ。これもKnilling加工品を装着していますので、作業内容は同じです。
ということで、Peghedsのペグはまだ使用経験がありません。でも、現在製作中のHさんのウクレレに装着予定ですので、近い将来に作業内容をご紹介出来ると思います。
最後に、本物の木製ペグをご覧いただきましょう。その昔、昭和の時代に作られた東京バイオリン製のソプラノです。
素朴で可愛らしいですね。
遊星ペグは、schun玉さんのブログで知っていましたが、
先を落としたりで、加工が大変そうだと見ていました。
ウクレレ用が復活したのですね。
ついでに「Elderly Instruments」も覗いてきました。楽しい。
最近は海外サイトもチラチラ見るのですが、ここは知らなかったです。
弦、安いですね。海外からまとめ買いがお得なのかなぁ。
昨日のこと…ポジションマーク用のルース(裸石)が届いたのですが、
買ったものと違う!!
って…私がポッチっと間違えていたのでした。
文字だけみて買うときは、注意ですね。学習しました。
既成の穴を埋めて再度寸法の近いテーパー穴をあけるという作業は一般のかたは不可能に近いことでしょうし、専門家でも結構大変なことだと思います。
エルダリーから購入した友人がプロショップに持ち込んだら断られた、と泣いていました。
もちろん、他の人と差別化を図りたいとかインパクト重視の目的にもOKですね。
でもやっぱり、装着にコツが必要なのがとても面倒です。そこが辛いところ。
Elderlyはおもちゃ箱的な面白さがあるでしょう?
時々ここで弦をまとめ買いしたり、スチールギター用品を買ったりします。
C6調弦で1~4弦がプレーンのスチールギター弦セットなんていうのがあるんです。
GHSの弦ですが、Elderlyのオリジナルセットみたいですね。
ポチッとした後に読み間違えに気付くのって、 ですよねー。
使えないまま持っているのもまた、定め。
確かに、このペグをリプレースメントとして扱うのは難しい側面がありますね。
製作する側の立場からすると、新規製作での装着の方がラクだと感じます。
交換の場合はいろいろケアしなければならないのが最大のネガですね。
モノが素晴らしいだけに、そうした面が強調されてしまうのでしょうけど。
今度はモダンなストレートペグ風の製品も欲しいですね。
交換は、さほど難しくなさそうです。
耐久性とルックスで疑問は感じますが・・
あくまでも個人的感想ですが、
「取付け/取り外しの際にプライヤー状の工具で挟むのは絶対NG、簡単に歪んで使用不能になります」とか、
「メイプルとマホガニーではネジ山の喰い付き方が違います」とか、
どのテーパーリーマーが仕様に合致するのかとか、
そういう事も書いてあるとなお良いかもしれません。
これはあくまでも「経験に基づく私個人の感想」ですから、
この事が全ての人に当てはまるという事ではありません。
尤も、説明にはちゃんと
「加工にはある程度の木工技術を必要としますので、経験のない方にはお勧め出来ません。」
と書かれているので心配は無用でしょう。
円の中心を合わせるのは当然としても、再穴あけによって残った部分の強度が問題と思います。その上、その部分は常に力が掛かりますので接着剤の役割が大きいでしょう。
ペグ本体に付けられているネジの食い込みの影響もあるので「ある程度の木工技術」は絶対必要と思います。
コアロハが私に作ってくれたセプターのヘッドは外注で作成されているため、工場に届いたときにはペグの穴が開けられていました。
このため、「埋め木=>再穴あけ」の作業をしてくれたのですが、別な理由から私に届いたものは「三台め」であったので、この作業を三回もおこなってくれたのかとおもうと頭が下がる思いです。
いや、厳密に言えば戻りますけども、外観レベルでの完全な復帰は厳しいでしょうね。
逆にこのペグが標準装着されているウクレレを普通のペグにするのも加工が必要ということになります。
つまりは、ある種の「決断」が必要なペグと言えるかもしれません。
大袈裟でしょうか?
コアロハのネックもCNCでしたね。
すると、あの「4箇所同時ドリルプレス」は使われていないのでしょうか?
それにしても、パパは凄い方なのですね・・・。
ネックを削れる卓上パーソナルNCなんてのがあれば個人的に嬉しいのですが、
それよりもペグをヘッドに内蔵してみる方が面白そうな気がしています。
そのメリットを訊ねられても即答できないのが痛いところではありますが・・・。