schuntama Ukulele

Eile mit Weile.

一夏のマホ

2009-07-31 21:27:13 | Works in Progress
「人様のウクレレに穴を開ける」シリーズ、第3弾。
NUAの先輩、Jさんからお預かりしたティーズ・テナーにピックアップを取付けます。
シリーズ第1弾、Kさんのカマカ・コンサートの作業の模様はこちらを、
シリーズ第2弾、Yさんのカニレア・テナーの作業はこちらをご覧ください。
「おれ様のウクレレに穴を開けた」のはマーチンSOだけですが、写真を撮っておけばよかったすなあ・・・。


 

モノはこちら、ティーズのTM-120vm/cstというテナーです。おそらく「vm」はヴィンテージ・マホガニー、「cst」はカスタムだと思います。とにかくこれは歴としたオーダー品で、ティーズの高橋さん作。マホガニーって、こんなに綺麗なんだなあ・・・とウットリするほど極上の材が使われています。言わずもがな、Jさんのお気に入りの1本なのです。そんな貴重な1本をお預かりしてドリルで穴を開けるワケですから、作業終了までクシャミひとつの粗相も許されません。


 

さて、作業に先立ち弦を外し、アクリルの鏡を箱に入れてピエゾマイク取付けの為の立地条件を確認します。仮配線したピエゾをあちらこちらに移動させながら音を確認しつつ、位置を決定いたします。今回のピックアップはご覧の通りのツイン仕様、ボリュームポットもバランサーも無しの直結仕様です。


  シャカ!


 

そんなこんなで、穴開け完了です。
下穴開けには、今回の記念品としてJさんから頂いた6mmドリルビットを使用いたしました。仕上げはStew-Macのエンドジャック専用リーマーです。前回もベタ褒めしましたが、実に素晴らしい切削感。塗膜のチッピングもありません。




穴から覗いた箱の中。あまり見る事の無い風景は新鮮な気分であります。




取付けにあたって悩ましいのは、ギターと違って箱の中に手が入らないという事です。赤ちゃんなら手が入りますが、彼らに作業能力はゼロでありましょう。そこで、ジャック・フィッシング・ツールという物を使ってエンドジャックの取付けを行います。ホームセンターで売ってる綿ロープにそっくりだと思うでしょう?


 

で、その綿ロープにそっくりなジャック・フィッシング・ツールをジャックに差し込み、テープで固定します。もう片方を穴に通して引っ張り上げれば、ハイ!然るべき場所に収まるのであります。この段階でエンドブロックの厚みを確認し、ナットの位置を決定しておきます。


 

いよいよ取付けます。鏡で確認しながら、予め見当を付けた位置に貼付けます。プロの方は別として、こうして確認しながらでないと、妙に偏った位置だったりファンブレースを踏ん付けたまま貼付けちゃったりする恐れがあるのです。配線とトップ裏の干渉もチェックします。ここが接触したままだとビビリの元となります。




弦を張る前に、アンプに接続して動作チェックを行います。マイクの位置でコンコン叩くと、一際大きな音で反応します。ちなみに、よくある「ぶーーーん」といったノイズ(指でアースすると消える、あれです)はありません。写真では判断のしようが無いですが、一応・・・。シャカ!の小指でフルボリューム状態を、人差し指で電源オン状態を指し示しております。ハウリングは位置によりけりですね。この状態では全くの無音です。

※これまでのピックアップ装着にあたり、ことノイズ対策においてはshu-sanから多大なる御助言を頂きました。shu-san、大変ありがとうございました。


 

弦を張る前に、ちょちょいとトリートメントさせて頂きました。エンドジャックには、おまじないを。




さ、完成です!
弦は、Jさん支給のオルカス。ブラック・フロロカーボンと表記されています。試奏した印象は、フロロの割にあまりギラギラした感じが無く、マホガニーとの相性も良い様に思いました。このウクレレ自体の素性が素直な事もあるかと思います。いやあ、それにしてもこのウクレレ、いいなあ・・・。

ということで、Jさん、お待たせいたしました!