北海道の四季登山と読了記

週末の休みを利用して登山しています。ときどき本も読みます。

(074-0813) 京の大工棟梁と七人の職人衆

2023年08月30日 | 四季の山登り(2023.1.1~2023.12.31)

「京の大工棟梁と七人の職人衆」(笠井一子著 河出書房新社 2020.11.30初版 227ページ)
北海道砂川市のいわた書店の岩田徹さん、イチオシの本である。1999年6月に草思社から刊行された同書が廃刊になり、復刻版としてまた世に出た。
その岩田さんの文章を紹介する。(一万円選書)
「ルポライターの笠井一子さんがまとめた『京の大工棟梁と七人の職人衆』。数寄屋(すきや)大工、左官、表具師、錺師(かざりし)、石工(いしく)、簾師(すだれし)、畳師、庭師。失われつつある日本の美意識と文化を築いてきた。京の棟梁と職人の、匠の技と感覚、仕事と心を知ることができる1冊です。「最後の数寄屋大工」と言われ中村外二さんと家造り・庭造りの職人たち。それぞれがドキュメンタリー番組になるくらいひとつの道を極めてきた人なんだけど、自分にこの仕事は向いていないんじゃないかとか、悩んで迷って、それでも技を磨いていくんですね。どんなプロフェッショナルたちも葛藤を抱えながら、自分の山に登っているということがよくわかります。「仕事とは」―働く意義にぶつかった人にはぜひ読んでほしい本です。

こういう人たち、職人が昔もいまもいる。日本の良さを再発見できる1冊の本だ。

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(2023-46)  今年の登山は十勝連峰が続く

2023年08月27日 | 四季の山登り(2023.1.1~2023.12.31)

今日の行先は十勝岳の隣の山、「三段山(1748m)」。
まだ暑い。気温は30℃を超えている。登り始めの標高は1011m地点だから下界よりも6℃は低いと思うが、それでも暑い。
標高差700mを2時間半で登った。登山道がしっかりしていて、迷うところはない。冬に数回頂上に山スキーで登ったことがあるが、夏に登るのは初めてだ。登山口は上富良野町の吹上温泉から。
頂上に着くと虫が舞っていた。行動食を食べ、15分で頂上を後にした。

三段山へのルートは今回の吹上温泉コースと十勝岳温泉からのコースがあり、吹上温泉コースのほうの距離が長い。

上昇気流に乗った雲が湧いてきた。

富良野岳方面

左に噴煙を揚げている十勝岳。稜線に地震計が見えていた。

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(072-0811) 芥川賞受賞 ハンチバック

2023年08月23日 | 四季の山登り(2023.1.1~2023.12.31)

「ハンチバック」(市川沙央(いちかわ さおう)著 文藝春秋2023.9 224ページ~260ページ 上下)
令和5年上半期、第169回芥川賞受賞作。著者は重度障害者。作品は重度の障害を抱えながら生きる一女性の日常と心象風景で差別と正義のあえぎがある。ハンチバックとは「せむし」の意味だと本書を読んでわかった。主人公は妊娠と中絶を望んでいる。この小説の生々しい表現の描写がすごい。選者全員の賛成で芥川賞にふさわしいとした。自分の知らない世界があることを気づかせてくれた作品だ。

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(071-0810) ウラ技大全 学べるライフハック200

2023年08月21日 | 四季の山登り(2023.1.1~2023.12.31)

「ウラ技大全 学べるライフハック200」(わくわく生活ラボ編 えほんの杜2023.2.13 初版第1刷 271ページ)
なんともためになる本である。ふしぎ!なんで!
小さな技が生活を楽しくさせてくれる。ウラ技の秘密まで丁寧に説明している。表紙には「30分で氷が作れるウラ技」「栓抜きなしでビンのフタを開けるウラ技」「アリが入ってこなくなるウラ技」「くしゃみを止められるウラ技」「緊張をほぐしてリラックスできるウラ技」「ハイトーンボイスを出せるウラ技」「残ゼロ電池がちょっとだけ復活するウラ技」といったものが200紹介されている。

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(2023-45) 手強い

2023年08月20日 | 四季の山登り(2023.1.1~2023.12.31)

日高山脈の山は手強かった。
向かった先は、南日高にある「楽古(らっこ)岳(1471m)」。前日に登山口にある無人の楽古山荘に宿泊した。
3時半に起床し、行動開始は5時10分。頂上着が11時45分。沢登りで登り6時間半だった。過去2回遡行しているが水害で渓相が変わっていた。
途中の滝で2回ロープを出し、後続者を確保した。高巻きも2回。ほとんどをトップで登った。最後の沢の二股を右に行き、間違え、ハイマツ帯をブッシュ漕ぎすること1時間。
頂上から標高差1200mの後半(下り)は疲労困憊で歩みが遅くなった。

途中、霧が濃くなり、流れ落ちて来る水と霧で全身が濡れた。

頂上に得たいのしれない虫が跋扈していた。なんという虫なのか不明だが、繁殖のため一か所に集まっていた。看板の上にびっしりとついているのが虫の一団だ。草にもたくさん固まっていた。
前夜に降った雨で沢の水量が多かった。

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(070-0809) 最強脳『スマホ脳』ハンセン先生の特別授業

2023年08月19日 | 四季の山登り(2023.1.1~2023.12.31)

「最強脳 『スマホ脳』 ハンセン先生の特別授業」(アンデシュ・ハンセン著 久山葉子訳 新潮新書 2021.11.20発行 204ページ)
前作の『スマホ脳」にはジョブズはなぜ、わが子にiPadを与えなかったのか、うつ、睡眠障害、学力低下、依存、おそるべき真実とあった。
訳者あとがきにある。「運動をすることで頭が良くなる」「一流の頭脳は運動すること集中力、記憶力、発想力がアップし、ストレスにも強くなる」。
著者の結論
1 脳の成長は止まることがない。脳はいつでも変えられるし、成長させられます。
2 脳を助ける一番良い方法は運動です。
3 普段からスポーツをしていなくてもいいし、運動が得意でなくてもかまわないのです。脳はどんな運動をしているかは気にしません。とにかく運動さえすればいいのです。
楽しくなければ意味がない。運動というのは、人と競うものではありません。何から何までやる必要はない。どんな運動で効果がある。
週に3回、最低30分の運動をその間ずっと心臓がドキドキして、なるべく何度も息が上がるように。

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(069-0808) きみのためのバラ

2023年08月18日 | 四季の山登り(2023.1.1~2023.12.31)

「きみのためのバラ」(池澤夏樹著 新潮社 2007.4.25発行 211ページ)
バリ島、カナダ、ヘルシンキ、ブラジル奥地での話など諸外国の8編の短編集。
父親から暴力を受け、家庭では日本語が出てこなくなり、英語でしか話ができない17歳の少年の話。
外国語が自分を回復するための手段になる。アメリカ大陸を経てメキシコに渡りすべてが変わり、列車の中で離れた車両にいた少女にバラを渡す「きみのためのバラ」。
「連夜」は沖縄に住み始め、女医と10日目で体を重ねることを止めた話。

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(068-0807) さざなみのよる

2023年08月17日 | 四季の山登り(2023.1.1~2023.12.31)

「さざなみのよる」(木皿泉著 2018.4.30 初版 221ページ)
著者の小説「昨夜(ゆうべ)のカレー、明日(あした)のパン」に続き2冊目を読了した。
著者は夫婦の脚本家。43歳の小国(おぐに)ナスミの死は家族や友人、関係が薄かった人まで広がる小説。以前NHKで放送されたドラマ「富士ファミリー」の派生作品である。
人の死が終わりではなく、水面のさざなみのように波紋として広がっていく。主人公の死によって新しい命につながっていく。

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(067-0806) エンド・オブ・ライフ

2023年08月16日 | 四季の山登り(2023.1.1~2023.12.31)

「エンド・オブ・ライフ」(佐々涼子著 集英社インターナショナル 2020.2.10 第1刷 315ページ)
終末医療に臨む患者と看護師たちの話である。著者は「エンジェルフライト 国際霊柩送還士」や「紙つなげ!彼らが本の紙を造っている 再生・日本製紙石巻工場」を著している。
京都の診療所で在宅の終末医療に携わる人と家族を追った。感情を抑えつつ、現場の様子や自分の母の在宅医療を語っている。終末期の過ごし方に正解はない。いくつもの選択肢がある。
著者のあとがきに「私たちは、誰も死について本当はわからないということだ。これだけ問い続けてもわからないのだ。もしかしたら生きている、死んでいるなどは、ただの概念で、人によって、それは異なっているのかもしれない。ただひとつ確かなことは、一瞬一瞬、私たちはここに存在しているということだけだ。もし、それを言いかえるなら、一瞬一瞬、小さく死んでいるということになるだろう」
「最後の瞬間まで、誠実に生きていこうとすること。それが終末期を過ごす人たちが教えてくれた理想の生き方だ。少なくとも私は彼らから、『生』について学んだ」(314ページ)

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(2023-44) 沢登り

2023年08月11日 | 四季の山登り(2023.1.1~2023.12.31)

先週末の土日は天候不順で登山は中止。
北海道の夏はまだ暑く、登山道を歩くのは「しんどい」ので山の日の祝日の今日は沢登りにした。

一枚岩が続くきれいなところ

ゴルジェを抜けるところは「へつり」で

通称カマンベツの沢と呼んでいる幌別川支流の沢を遡行した。最終地点は三段の滝まで2段まであがったところ。沢の中を3時間。足だけでも水に浸かっていると暑さを忘れることができる。標高差273m、距離にして8キロすこしだった。

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(066-0805) 滅びの前のシャングリラ

2023年08月10日 | 四季の山登り(2023.1.1~2023.12.31)

「滅びの前のシャングリラ」(凪良ゆう著 中央公論新社 2020.10.10 初版 330ページ)
1か月後、小惑星が地球に衝突し、地球の生き物は滅びる。学校でいじめを受ける友樹(ゆうき)、人を殺したヤクザの信士(しんじ)、恋人から逃げ出した静香(しずか)。荒廃していく1か月間で4人はどうなるか。1か月でモラルもなにも無くなる世界。常識的思考と願望、悲観と楽観、絶望と希望、好意と悪意が混ざり合う。向かう先は滅亡だ。
あり得ない話ではない。
シャングリラは、理想郷のことで、イギリスの小説家ジェームス=ヒルトンの「失われた地平線」中、仏教徒のユートピアであるシャンバラをモデルにして描かれたユートピアとあった。

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(065-0804) 虹いろ図書館のへびおとこ

2023年08月08日 | 四季の山登り(2023.1.1~2023.12.31)

「虹いろ図書館のへびおとこ」(櫻井とりお著 河出書房新社 2020.9.30 5刷 283ページ)
北海道砂川市のいわた書店の岩田さん一推しの本。
主人公は小6女子。父親の仕事の都合で転校した先でいじめに遭ってしまう。相談相手も逃げ場もない主人公が行ったのは図書館だった。
平日の日中に来る主人公の事情を察したのは図書員のイヌガミさん。そこに同じ状況の中学生男子もいた。「図書館の自由に関する宣言」で主人公と男子中学生がいることをイヌガミさんは言わない。
図書館で主人公は多くの本と出合う。学校で習わないことを図書で知る。
北海道岩見沢発の「氷室冴子青春文学賞」を受賞した著者のデビュー作だ。

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(064-0803) 静かな大地

2023年08月07日 | 四季の山登り(2023.1.1~2023.12.31)

「 静かな大地」(池澤夏樹著 2003.9.30 第1刷 629ページ)
朝日新聞朝刊に2001年6月12日から2002年8月31日まで掲載された長編小説だ。同じ題名に「静かな大地—松浦武四郎とアイヌ民族」(岩波書店1988年花崎皋平(はなざきこうへい)」がある。
本書は明治維新後、淡路稲田家の旧家臣が静内に入植した一家の物語である。
牧場をアイヌとともに開いたが、和人の妬みや経営能力の不足から団結が崩れ、一家の主人三郎の思いは潰され、猟銃をとって自殺を遂げる。三郎の牧場が日清日露戦争の馬の養成に成功し軍馬を含めて日本で優秀な馬を多く産する牧場を和人は妬み嫉み、放火された。
作中の語り手(女性)は著者の母方の祖母という。弱者のアイヌを差別してきた北海道開拓の歴史がある。自然を畏敬し、征服する発想がないアイヌの人たち。アイヌはアイヌモシリ(アイヌの静かな地)に生きる先人として尊敬すべき人々であったのだ。

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(063-0802) 楽園のカンヴァス

2023年08月04日 | 四季の山登り(2023.1.1~2023.12.31)

「 楽園のカンヴァス」(原田マハ著 新潮社 2012.12.25 20刷 294ページ)
ミステリーのようでミステリーではない。10年前に刊行されたときに話題になった本。山本周五郎賞受賞作品。著者はキュレーター(美術館や博物館などで、展示する作品の企画から運用まで全般を請け負う仕事。アーティストの選定から作品の借り出し交渉、展示場の構成、カタログ制作、宣伝、搬入、返却まで一切の責任を担う人。日本語に訳せば学芸員だが、本来のキュレーターの仕事の範囲と権限がはそれに比べてケタ違いに広く、かつ強力という。海外にはスター化した花形キュレーターも珍しくない。「とっさの日本語便利帳」から)をした後、カルチャーライターになった。
美術分野の長編小説で1900年代初頭にいた税関吏アンリ・ルソーという画家の作品の真贋を問うたもので、有名な「夢」(1910年 ニューヨーク近代美術館=MoMA所蔵)と似ている「夢をみた」の作品は若いころのピカソが描いたという説に驚いた。

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(062-0801) 羊飼いの暮らし

2023年08月02日 | 四季の山登り(2023.1.1~2023.12.31)

「羊飼いの暮らし」(ジェイムス・リーバンクス著 濱野大道訳 早川書房 2017.1.25 初版 385ページ)
著者は英国湖水地方やその周辺で600年以上にわたって歴史ある牧畜一家の長男である。著者と祖父、父とその一家の歴史がこの本だ。
著者が暮らす共同体では読書や勉強は恥ずべき行為であるという。父の背中を追って幼いころから農場で働き、一人前の羊飼いになるだけを目指す。
美しい英国湖水地方の風景の描写がいい。「夏」「秋」「冬」「春」の丘陵とその動物たち。家族農場が広がる美しいパッチワークのような田園風景が浮かんでくる。

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