「銀の猫」(朝井まかて著 文藝春秋2017.1.25 第1刷 332ページ)
江戸時代、主人公「咲(さき)」は嫁ぎ先の義父から贈られた猫の銀細工である「銀の猫」をお守り袋に入れて大事にしていた。その後咲は嫁ぎ先から離縁され、ある程度裕福な家で介護人奉公を生業にした。血だけがつながっている世間知らずのだらしない母親のつくった借金を主人公は介護人奉公をして返していく。江戸時代の介護状況がわかる小説だ。
今日はザックを担いでの登山ではなく、ゲレンデスキー。
昨日(土曜日)は札幌定山渓の奥にある朝里岳登山を目ざしたが、風が強い予報があり、中止にした。
今年最後の雪山はニセコひらふにあるスキー場でスキー三昧に決めた。
スキー客は8割から9割は外国の人。レストランで昼食をとったが、値段がべらぼうに高い。下界の値段からすると4割から5割に高い。「荷揚げに費用がかかっていないのにこの値段は何だ!」と一人して憤慨した。貧乏な日本人相手ではなく外国の富裕層向けに設定しているのだろう。この次に行くときは自分でつくった弁当を持参しよう。
雪質は申し分ないが、このままなら日本国内のスキー場に限らず、観光業そのものが外国に乗っ取られるのは時間の問題。どこにいく日本の観光は。
9時から15時までスキーをして帰宅した。
「なんで僕に聞くんだろう。」(幡野広志著 幻冬舎 20220.2.5 第1刷 269ページ)
cakes「幡野広志の、なんで僕に聞くんだろう。」(2018.10.31~2019.10.28掲載分)の中から37コラムを選んで刊行された。
人の悩みはすべて人が原因だ。人の悩みを解消できるのも人しかいない。言葉で人の歩みを止めることも、背中を押すこともできるならば、できるかぎりぼくは背中を押す人でありたい。(269ページ おわりに)あなたはどうしたいの?、このひとことからはじめればいい。
著者はがん患者だ。がんになった写真家になぜかみんな、恋の悩み、病気の悩み、人生の悩みの相談をした。37人の相談者の内容が濃い。回答も濃い。
「60歳からの新 +田原総一朗+弘兼憲史+菊地和子ほか」(宝島社 2018.12.10 第1刷318ページ)
4年前に刊行されているからすでに物故者になっている人がいる。近藤誠、内海桂子がそうだ。13人の賢者が明かす老後の生活と考えかた。一人暮らし、老後資金、働き方、食事、医療と薬、リビングウイル、遺産相続。
曽野綾子はこういう。「日本ほど素晴らしい国はない」「恩恵を受けたら必ず対価を払う」「趣味道楽とは自分だけのもの」「生きることは働くことです」「身体は自然にするのが一番」
世の中をいい加減に生きることができればと思う。
今日の行先は小喜茂別岳(通称、ポンキモ。標高970m)。喜茂別町から札幌に抜ける途中に中山峠があるが、その1合目付近から小喜茂別岳を目指す。
出発したときの気温はマイナス6℃。山頂はマイナス12℃。風もあったので体感温度はもっと低く、前日に降った雪がひざ下くらいまでぬかるので、山スキーのラッセルが苦しい。
標高差約500mを2時間で登り、下りは昼食の休憩を入れて1時間半。
時折吹雪いて、目出し帽を顔面につけても寒い。まだ体が寒さに慣れておらず、手の指先や足のつま先が冷たくて痛くなった。昨日のイチャンコッペ山と比べ各段の寒さの違いだった。
本格的な冬山に入った。
山頂標識は3mくらい上にある。
千歳市にある支笏湖近辺の山に登った。
「イチャンコッペ山(828m)」。イチャンコッペは、アイヌ語で イチャンは鮭・鱒の産卵穴 で、コッペはコイ・ペツ=(波・川)で川の流れが強く波立っていたことによる。
標高差690m。登り2時間10分。下り1時間20分。登る前からアイゼンを着用して、雪は深くないのでスノーシューは持たずに出発した。
天気は荒れることなく、良好で寒い以外は快適だった。
恵庭岳。左が支笏湖。
支笏湖の向こうの山は「樽前山」
「定年後の居場所」(楠木 新斗 朝日新書815 2021.5.30 第1刷 263ページ)
「定年後」「定年準備」などの著書がある。サラリーマンの終着駅「定年」は新たな人生の始発駅。定年後の居場所はあるか。
仕事、お金、趣味、地域の絆。定年後の人生は人それぞれと言ってしまえばそのとおりだが、定年後に充実して過ごすためには「自分がいい顔になることに取り組めがいい」とのこと。
「生きかたの哲学」(丹羽宇一郎著 朝日新書 2022.9.30 第1刷237ページ)
著者は伊藤忠商事社長と中国大使を務めた。「嘘を言わず、自分に忠実に生き、いつでもベストを尽くす」ことを説いている。
「日本の高山植物 どうやって生きているの?」(工藤 岳著 光文社文庫1220 2022.9.30初版第1刷 252ページ)
大雪山を中心に高山植物を調べている北大大学院准教授の研究者だ。著者と大雪山のどこかで会っている。
大雪山で気になっているのがチシマザサでその分布が増えているのだ。ササの強力な蒸散作用で土壌が乾燥化し、背の高いササで高山植物は埋もれてしまい、生きられない。
高山植物は消えていき、種のもつ多様性が減ってしまう。地球温暖化よりも季節外れの寒波や異常気温、集中豪雨、台風、竜巻の発生頻度など「気候変動」と言っていいぐらい地球規模でおかしくなっている。
巻末に「ヒサゴ沼の全景」写真があったが、ここに著者の研究拠点がある。しばらくこのヒサゴ沼にも行っていない。来年あたり訪れてみたい。
「小さな神たちの祭り」(内館牧子著 潮出版社 2021.3.11 第1刷 235ページ)
本書はドラマ「小さな神たちの祭り」(tbcテレビ60周年記念ドラマ、同著者・作)の脚本をもとに書き下ろした。
いちごの花言葉は「幸せな家庭」。2011年3月11日の東日本大震災から10年経ち、大震災の記憶は薄くなりつつある。家族を亡くした主人公は死者のタクシーに乗り、亡くなった家族を見る。
大震災で亡くなった人は、実はどこかで生きているのではないか。生きた人と死者が交わることがあるのか。大切な家族を失い、故郷を失った人の心はそう簡単に癒されることはないが、死者は別のところで元のまままに生きているに違いないことを思えば少しは生きる希望が湧いてくる。
今日の行先は中山峠にある「蓬莱山(980m)」。雪の深さや質はどうかと思っていたが、まずまずのコンディションだった。
スキー場の左を直登する人もいるが、去年と同じようにスキー場を避けて写真でいうと右の林の中を登った。標高差180m。
中山峠スキー場は1週間で営業をやめ(ほかのスキー場がオープンし、ここは初級コースのスキー場で客が来なくなるから来年の4月までクローズだそうだ)、閉まっていた。
頂上標識は3m上にあった。
頂上にはテレビ塔が立っている。登り1時間少し、下りはあっと言う間の10分で終了した。今シーズン初の山スキーだった。
土曜日の9時から15時まで所属する山岳会で搬送訓練や本格的な冬山シーズンの前の冬山装備の点検を実施した。
山岳遭難防止の意識を常に持ちたい。
「死の医学」(駒ヶ嶺朋子著 集英社インターナショナル新書092 2022.2.12 第1刷 246ページ)
巻末に参照した文献を掲載している良書だ。臨死体験、体外離脱、憑依など奇妙で信じがたい体験談が多く見聞きする。
科学で解明できないのかが本書の目的だ。脳科学が進み、脳が死にどう対処するのか。
95ページには「魂の座が側頭葉にあると考えればいいのです」(メルヴィン・モース)。側頭葉のシルヴィス裂という溝の端、側頭頭頂接合部に魂が宿っている。すがすがしいまでに明解でないか。(駒ヶ嶺)
不幸をも生きる力にするのが人間の脳だといえる。
「人間における運とツキの法則」(藤尾秀昭著 令和4年10月25日 第1刷 70ページ)
30分もあれば全部読める。著者は致知の代表取締役社長兼主幹。人間学をテーマにした月刊誌を出している。
人間の運命は時世のいかんでうまくいく時もいかない時もある。だが、そこで一喜一憂してはならない。人生に運とツキというものは確かにある。しかし、運もツキも棚ぼた式に落ちてくるものではない。人生はかすかな一念の積み重ねによって、決まる。(5ページ)
何があっても不平不満は起こさないことに決めている。
25ページにはこんな文があった。「不幸の三定義というのがある。一、決して素直に「ありがとう」といわない人、一、「ありがとう」といっても、恩返ししない人、一、「ありがとう」と唱えただけで恩返しはできたと思っている人」。この逆のことを心がけていくところに運命をひらく道がある。 この本の定価は1320円。
「陽だまりの彼女」(越谷オサム著 新潮社 2008.4.20発行 253ページ)
ファンタジーノベル。恋愛小説。真緒には驚くべき過去があった。浩介は転校し、真緒と離れ離れになったが、10年ぶりで再会する。
現実にはあり得ない物語だから小説になる。10年以上前に出た作品をいま読んだ。