「 楽園のカンヴァス」(原田マハ著 新潮社 2012.12.25 20刷 294ページ)
ミステリーのようでミステリーではない。10年前に刊行されたときに話題になった本。山本周五郎賞受賞作品。著者はキュレーター(美術館や博物館などで、展示する作品の企画から運用まで全般を請け負う仕事。アーティストの選定から作品の借り出し交渉、展示場の構成、カタログ制作、宣伝、搬入、返却まで一切の責任を担う人。日本語に訳せば学芸員だが、本来のキュレーターの仕事の範囲と権限がはそれに比べてケタ違いに広く、かつ強力という。海外にはスター化した花形キュレーターも珍しくない。「とっさの日本語便利帳」から)をした後、カルチャーライターになった。
美術分野の長編小説で1900年代初頭にいた税関吏アンリ・ルソーという画家の作品の真贋を問うたもので、有名な「夢」(1910年 ニューヨーク近代美術館=MoMA所蔵)と似ている「夢をみた」の作品は若いころのピカソが描いたという説に驚いた。