充電日記     

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『精選日本国語大辞典』の「石臼本」

2021年08月23日 | 語彙・地名
という言葉があるそう。集積の度合いが木の臼では足りなくて、石の臼を持ち出してきたものか。あれも、これもと内容を取り込んで、でも、取り込んだままだとカサ張るから圧縮して・・・・という過程を繰り返すかのようにしてできた本、ということか。

・『広辞苑』などはその趣がありますね。大きくて重いし。これに対抗するかのような『大辞林』『大辞泉』『日本語大辞典』とかもその感じですが、もう少し、具体性のある書き振りのものが、より「石臼本」らしい。

・『広辞苑』で料理をひいても、どのようなものであるかを説明する過程で作り方には触れるで賞が、詳しいレシピは載せませんよね。それを載せてるようなヤツ。もう今では作れないかもしれない。ちょっと古いんですが、1冊で百科事典を構成するものが、作られたことがありました。でも、それもまだ事典的か。『The日本』とかはまだ事典的で、石臼本ではないか。

・で、コトバンクの『精選日本国語大辞典』の記述にもどりますが、「随筆・蘿月菴国書漫抄(1827頃か)」に用例がありますよ、と示されています。たしかに国会図書館所蔵本には、石臼本のことが出ています。ただ、これ、ちょっと複雑で、「蘿月菴国書漫抄」というのは、随筆と言えばいえるんでしょうけれど、あちこちの本から抜き書きしたものなんですね。少なくとも「石うす本」の記述がある部分は、そういう造りが連続するところにあるんです

・冒頭、「同上」とあります。で、直前の項の冒頭をみると「同上」。どんどんさかのぼっていきます。と、冒頭に「異説区 島(ママ)江正路誌」とありますね。そう、この石臼本の記述は、蘿月菴のオリジナルではないのです。そもそも「国書漫抄」との書名からすると、日本の作品を手あたり次第に読んで、気になったところを抜き書きしたもの、なんだと
思います。で、「石臼本」も、烏江正路(上田正路)の書いた『異説区々』という本からの抜き書き、というわけなのでした。

・したがって、『精選日本国語大辞典』としては、〔蘿月菴国書漫抄(1827頃か)所掲、上田正路・異説区々〕とか、〔上田正路・異説区々(蘿月菴国書漫抄(1827頃か)所掲〕とか、書いておくのがよい。もちろん、よりよい本文が見つかれば、〔随筆・上田正路・異説区々〕とするのがよさそう。あるいは今の段階でも、このように書いてよいかもしれません。

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