徐仙日乗

日記、随筆

徐仙日乗 読書 南の風 獅子文六

2020-03-27 21:29:00 | 日記

徐仙日乗 読書 南の風  獅子文六 朝日文庫

読了 読書メーターと重複


文六センセイの小説でよく出てくる「茫洋として大人物風で会社勤めに向かない、その反面自分の信じた事、原則は守り抜く、育ちの良い」大男・六郎太が主人公。どうやら作者の父親がモデルのようらしい。他の作品にも出てくるお馴染みのキャラクターだが、鹿児島県・薩摩の風土、文化がバックボーンになっているのが「都会的な文六センセイ」としては珍しいのではないか。鹿児島との縁は「海軍」執筆取材の余禄かと早とちりしたが、あれは日米開戦以降の筈で、鹿児島への愛着は父親と中津藩・福澤諭吉・慶應と云うラインから元々持っていた物らしい。文六センセイはリベラル、個人主義のイメージがあったが六郎太が家刀自とも云うべき母親との鹿児島への帰省で大西郷や薩摩の気風に己の原点を見出したって辺りはユーモアもあるけれど、時局への迎合?若しくは読者サービス?か。明治人としての文六センセイの別な面が読み取れる。


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