徐仙日乗

日記、随筆

徐仙日乗 読書 女二人のニューギニア 有吉佐和子

2017-05-29 21:58:36 | 日記
徐仙日乗 読書 女二人のニューギニア 有吉佐和子 朝日文庫
読了 読書メーターと重複

あんまり面白過ぎて、この手のルポ、ノンフィクションを他の作家が書いたらどうなるのかなぁ?なんてことを考えてしまった。関川夏央によると本作は文化人類学者畑中幸子を描いたノンフィクション風小説と捉えている。作者の見たままって形式だが、明らかに自分を戯画化している。作者の体験はどう考えても災難と呼んだ方が良いくらいで、招待した畑中女史も結構ヒドイ。災難と言える理由を上げると、電気無し、水道無し、道路無し、低地のネイティヴでも文明に触れたのが10年程前!、研究対象のネイティヴは言葉を採集中で意思の疎通も困難、畑中女史はこう云う環境でランプを点けてタイプライターでレポートを綴る。足の爪を剥がして、子供以下の存在に成り下がった有吉佐和子は兎に角相手の仕事を邪魔しない様に心掛け、何か役に立てないかを模索する。これって結構心理的にキツイ日々だと思うのだが。作者はこの時期だけは睡眠薬の世話にならなかったらしい。文化人類学者のフィールドワークって殆ど探検家ではないかと感心してしまう。食料はメインが中国製のコンビーフ缶!と奇跡的に育ったトマト。現代では当たり前の色々な「便利」が当時は無い!そして帰国後(これも迷子!のヘリコプターが着陸して来たせいで、殆ど救助されたも同然)マラリヤに罹災して我が子に遺書を書く程の覚悟を迫られる。凡人同士だったら、喧嘩別れとか訴訟にもなりかねないって気もするが、有吉佐和子は本書を「書き出すとネタがいくらでもあるのでドンドン書けた」って調子で週刊朝日に連載した。ああ、それなのに本書は笑いの連続なのである。結論、小説家はウソつきである。

5月28日(日)のつぶやき

2017-05-29 03:20:49 | 日記