徐仙日乗 読書 道絶えずば、また 松井今朝子 集英社文庫
読了 読書メーターと重複
三部作らしい。と言ってもユルメの三部作で登場人物が共通する程度。第一部が劇場、第二部が「大奥」(大名だけど)、そして本編は「お寺」と言える。犯罪が起こるがそれは話を繋ぐ位の意味しかなく、面白かったのは寺籠りの生活とか芝居者の社会とか。例によって歌舞伎年表の大事な部分をさりげなく背景にしつつ劇界を描いている。南北や鼻高幸四郎(五代)全盛の市村座に対し、対抗策として上方から中村歌右衛門を招聘した中村座が三代目坂東三津五郎と共演させたのは、「ああ、こういう事情だったのか」と納得。作者も勉強したのだろうが、当時の寺の存在が面白いし興味深い。父を失った若い女形が高僧の説法にコロリとまいってしまったり、貞操?の危機にあったりと見せ場たっぷり。細かい所だが、会話の合間にキセルを扱う描写が他の作家には真似が出来ない芸当。作者は歌舞伎の舞台を思い出しながら書いたに違いない。
読了 読書メーターと重複
三部作らしい。と言ってもユルメの三部作で登場人物が共通する程度。第一部が劇場、第二部が「大奥」(大名だけど)、そして本編は「お寺」と言える。犯罪が起こるがそれは話を繋ぐ位の意味しかなく、面白かったのは寺籠りの生活とか芝居者の社会とか。例によって歌舞伎年表の大事な部分をさりげなく背景にしつつ劇界を描いている。南北や鼻高幸四郎(五代)全盛の市村座に対し、対抗策として上方から中村歌右衛門を招聘した中村座が三代目坂東三津五郎と共演させたのは、「ああ、こういう事情だったのか」と納得。作者も勉強したのだろうが、当時の寺の存在が面白いし興味深い。父を失った若い女形が高僧の説法にコロリとまいってしまったり、貞操?の危機にあったりと見せ場たっぷり。細かい所だが、会話の合間にキセルを扱う描写が他の作家には真似が出来ない芸当。作者は歌舞伎の舞台を思い出しながら書いたに違いない。