歌庭 -utaniwa-

“ハナウタのように:ささやかで、もっと身近な・気楽な庭を。” ~『野口造園』の、徒然日記。

春の息

2011年04月01日 | 徒然 -tzure-zure-
四月になりました。

ソメイヨシノも、咲き始めています。


最近は、現場。庭、つくってます。

年末年始ずっと、同時進行で詰めて来た沢山の案件が、先日からついに施工スタートしたところ。

絵が、現実になっていく。どどどっと、まとめて一気に出来ていく。

必ずしも紙の上で想定していたようにはいかない。ので、
現場合わせで、咄嗟に判断して、調整することも多々在り、

緊張感もありますが、
自分が試される、頑張りどころでもある。

そんなところ。


、と、
同時進行で、新しい案件の打合せとかも。


要するに、
大忙しです。





車で あっちへとこっちへと、走りながら。

花を追ってしまう。



空にしみ出すほどにふくれ上がっていっぱいの、モクレンの白いクリーム色やら、

桜の、白っぽい薄桃色がちょこっとずつほころび始めた、紅い梢の点々やら。


菜の花の、立ち上がる、目の醒める黄色、

ユキヤナギの、垂れ下がる、目の醒める白色、


ムラサキハナナの、わかりやすい紫色、

ボケの、わかりやすい朱色、


トサミズキの、透けるような淡いやわらかい黄色、

エトセトラ。


事務所詰めの毎日では どうしても限界があるけれど、
現場に出る毎日になると、新しい発見が、たくさんになる。


世界は それぞれ そこに そうしてあるだけで、ものすごくインスピレーショナルだなあと思う。

「あ、いいなあ、」
「このこと書き留めたいな。」「ああ、これ撮りたいな」
と想った瞬間を、心にとりあえず書き留めては、少しずつ忘れたりしながら

大事に蓄積していく。




ざーっと、走り抜ける天気雨。
久しぶりに遭った、天気雨。

その雨のあとの、アスファルトから立つ香り。

多摩川に架かる橋に さしかかったときに見たのは、
スモーキーイエローゴールドの黄昏。

透明な黄金と くすんだ黄色のあわいの、
光と陰の融けた、絶妙な光り方をした色だった。



その後の、

ムラサキとピンクのあわいの色の、幻想的な、うすい紅。

ムラサキと蒼のあわいの色の、富士山のような、うすい蒼。





日々どんどん増えて行く 新しい発見。


目で追っては、
ひとつずつ吸い込んで。

ついつい疲れて、書き残しそびれて、流れてしまいながら、
でも、大丈夫、ちゃんと残っている。


嬉しいことも 哀しいことも、
ぜんぶ蓄積されて。いつかの何かの種になり、芽になるはず。





今年も ちゃんとやって来た春。

ソメイヨシノって、なんか他の桜と違って、やたらキュンと、胸が苦しく、切なくなるなあ。

と想ってたら、

 「桜は 見る人の心境を色濃く反映させます。」

って、

一年ぶりに食べた「桜そば」の説明書きに、書いてあって、
ドキッとした。


 「満開の美しい姿を見せては短い期間にすぐ散る姿から、

  はかなさや別れを。
  
  また厳しい冬を乗り越え春になれば見事な花を咲かせることから、 
 
  新たな季節の始まりや生命を。

  皆様は桜を見てどの様な印象を受けられますか?」



この前、KALDIで見つけた、本田屋製、奥出雲「桜そば」(もちろん季節限定)。
その説明書きに書いてあったことば。



さて。

四月。自分の周りでも、いろんな動きがあります。

それぞれの門出。大きな節目。


がんばりましょうね。
花たちに和ませてもらいながら。


そして、
新しい道をいざ歩き出す、その前に ひとつ、

焦ってずっこけないように、ゆっくり、呼吸をして。







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